2026.06.11 19:00
2026.06.11 19:00
自分をよく見せようという欲が見えない役者でいたい
──クランクアップのシーンはどこでしたか。
ラストの車に乗って運転しながら音楽を聴いてるシーンですね。

──どういう気持ちで終えましたか。
私の父親が音楽がすごい好きで、運転しながらいつも窓のところに肘を置いて指でリズムをとっているんです。それをふっと思い出して、父親の癖を入れたいなと思ってやったのを覚えています。
今回、監督の家族の話やから、自分の家族のことも入れたいなと思って。富士子の髪飾りとかカチューシャとか、昔母親が使っていたカチューシャとかを使ってるんです。実家に帰ったときに「これ使っていい?」って貸してもらって。
子育てについても母親が言ってたことを入れてみたり。子どもを保育園に預けるシーンがあるじゃないですか。そこも監督は子どもを預けることに対して、ちょっと罪悪感を持ってほしいということを言ってたんですけど、母親が昔、「母親側がごめんねって気持ちでいると子どもに伝わって泣いちゃうから、そういうときは心を鬼にしてパッと渡していきなさい」と言ってたので、監督に相談して、富士子もポンポンッて麻理を渡して出ていく感じにしました。
──本作は、主人公の富士子の名前がそのまま映画のタイトルになっています。そんなふうに、もし『YUKI』というタイトルで片山さんの人生を映画にするとしたら、トップシーンはどこから始まりますか。
えー。3人姉妹なんで、お姉ちゃんと遊んでいるシーンじゃないですか。3人姉妹の末っ子っていうのが結構自分の中では大きくて。ちっちゃい頃はよく可愛がってもらった記憶があります。

──3人姉妹の末っ子という生い立ちが、片山さんのパーソナリティにどんな影響を与えているんでしょうか。
地元の友達が一人っ子で、新入社員のときに上司と話すのにめっちゃ緊張したという話をしていたんですよ。それは、その子がお兄ちゃんお姉ちゃんがいなくて、年上と接する機会が少なかったからじゃないかというふうに言ってて。そう言えば、私はよくお姉ちゃんの友達にも遊んでもらってたからか、年上の人に対しても全然緊張しなかったなって。なんか、今、そういうことをふっと思い出しました。
──では、映画『YUKI』の見せ場となるハイライトはどこになりますか。
いや、ハイライトはまだないんじゃないんですか。うん、ないと思います。
──てっきり『茜色に焼かれる』のオーディションとか、賞を受賞したときを挙げるのかなと思いました。
いや、違いますね。もちろん大事な作品ですけど、なんやろう、仕事に関しては、もっともっとって思っちゃうんですよ。『茜色』で得られたものがあっても、じゃあそれを次に生かしていきたいって気持ちになるから、ハイライトとは思わない。もっとこうしたい、ああしたいという気持ちが尽きない限り、ハイライトは来ないんじゃないかな。

──今、片山さんの中に渦巻く「こうしたい、ああしたい」ってなんですか。
面白い作品に出たい。脚本が面白いと思える作品に出会いたいっていうのがいちばん大きいです。
──片山さんは、どういう役者でありたいと思いますか。
なんやろう。地続きでありたい、と思っていて。さっきの話につながるけど、欲を見せない人。自分をよく見せようとか、お芝居で泣かせようとか、そういう欲が見えない人。本当にその人に見える俳優さんはカッコいいし、自分もそうなれたらと思っています。
──では最後にもう一つ。映画の中で、ロックンロールが富士子を突き動かすきっかけになりました。片山さんを奮い立たせてくれる1曲といったらなんですか。
ちょっと待て。これ、すぐに答えるのむずいっすね(笑)。なので、最近大好きな曲という答えになるんですけど、Stuff(スタッフ)というアメリカのバンドがいて。1970年代とか80年代に活動していたんですけど、父親からカッコいいでって教えてもらって。この曲を(と、スマホでStuffの「Love of Mine」を流す)、最近よく聴いています。

デニムパンツ、ヒール:POOLDE/イヤカフ:avgvst/ネックレス:NUUK/grapevine by k3
『FUJIKO』場面写真 © 2026 FUJIKO Film Partners



