2026.06.11 19:00
2026.06.11 19:00
片山友希は、面白い。映画『茜色に焼かれる』で一躍脚光を浴び、目の肥えたシネフィルから愛される存在に。テレビドラマでも連続テレビ小説『ブギウギ』『いつか、無重力の宙で』『探偵さん、リュック開いてますよ』と独特の存在感を放っている。
だが、彼女の面白さはそのフィルモグラフィだけではない。生まれ育った京都弁による語り口は、まるで気取ったところがなく、こんな友達がいてくれたら楽しいだろうなと思わせる素朴さと茶目っ気がある。それでいて、ちゃんと自分や周りを客観視できる分析力を兼ね備えていて、軽妙さと冷静さの間を彼女は自由に行き来する。
そんな片山友希が主演を務める映画が、6月5日(金)より公開中の『FUJIKO』。1977年の静岡から始まる、激動の時代をたくましく生き抜くシングルマザーの物語だ。片山が演じる富士子は、さまざまな理不尽に奥歯を噛みしめながらも、決して自分からリングを降りたりはしない。何度ダウンを喰らっても、最後には爽快なカウンターパンチをお見舞いする面白い女だ。
面白い女が面白い女を演じる。そんなのもう面白いに決まっている。

映像を見て、私こんな顔してたんやって知りました
──いろんな困難に直面しながらも、沈んでは這い上がってくる富士子の生き様が最高でした。
本当ですか。ありがとうございます。富士子って自分の意見を素直に言える人。助けてほしいときに助けてほしいって、家族にすら言いにくいことも言えるのは富士子が素直だから。人に支えられて生きてきた富士子の人生は、富士子の人望があってのことだなと思いました。
──しかも単に助けられるだけの人ではなく、ちゃっかりしているしたたかさもあって。
保険の営業で1位を獲ってますからね(笑)。リリー(・フランキー)さんとのシーンは営業スタイルの富士子なので、他のシーンとトーンを合わせなくていいと監督もおっしゃっていて。自分が本当に営業をかけるつもりで、リリーさんのテンションに合わせてやろうと決めて臨みました。

──富士子は、木村太一監督のお母さんがモデルになっているそうですね。
なので、クランクイン前に監督とお母さんと3人で食事に行きました。あと、監督とも初めましてだったので、仲良くなりましょうという会をつくって、二人で食事に行ったり。
──監督の思い入れのある人物を演じるというのは、プレッシャーに感じなかったですか。
それがなかったんですよ。というのも、今回、完成稿になる前からずっと台本をもらっていて。これでいきますよという最後の本打ちにも参加させてもらいました。そのときに、このシーンはこういう考えでつくられたんだというのを直に聞けたのが大きかったです。
本当は、準備稿の段階ではもっといろいろエピソードが入っていたんです。それをいろいろと削ってやっとこの台本になったんですけど、なくなってしまったエピソードも私は読んでいたから、自分の中で富士子の歩みが補完されて、改めて深掘りをしなくても、富士子の一挙手一投足が理解できたし、プレッシャーを感じることもなく、スッと入っていけました。
──まだ娘の麻理を産んだばかりの富士子は、姑(YOU)や小姑(瀬戸さおり)にあれこれ言われても反撃できない、抑圧されたキャラクターでした。
あのあたりのシーンは、YOUさんと瀬戸さんと実際にお芝居をすることで得られるものが大きかったです。お二人とも嫌な見方をしてくるんですよ。その目線からもらえるものがあって。麻理を取り上げられるシーンも、リハの段階では本物の赤ちゃんではなく、人形でやっていたんです。で、いざ本番になって、赤ちゃんを抱いた瞬間に人形にはない温度や重さ、泣き声にふれることでスイッチが入った。そのシーンに限らずですけど、やっぱりお芝居というのは相手がいることで自分も変わるんだなと感じることがすごく多かったです。
──お父さんの葬儀の後の会席も見応えがありました。あのときの片山さんの顔がすごくて。言葉では説明しづらいんですけど、口がうにょってする感じの。
あそこもイッセー尾形さんの「勝手なこと言うんじゃねえよ」の一言で、自分では準備していなかったのに、ばんって涙が出てきたんですよ。周りの人たちがね、イッセー尾形さんのことを「まずい蕎麦屋だ」って言ってるのもムカついてきて。そういういろんな感情が溢れ出てきて、あの表情になりました。
やっぱり自分でいろいろ事前につくっていっても、現場に行ったら考えてたのと違うことがいっぱいあるから。そのときに起きたことをどれだけ受け入れて、どれだけ反応できるかがお芝居の難しさであり、楽しさだなって思います。

──じゃあ、あの表情は意図してというよりも。
自分では全然わかってなかったです。あとで映像を見て、初めて私こんな顔してたんやって知りました(笑)。なんですかね。富士子もいろいろ我慢してたんですかね。
──片山さんも我慢してたらああいう顔になるんですか。
なるんじゃないですか。わからへんけど、そうなんやと思います。だから、父親、母親の反応が楽しみですね。もしかしたら、よくああいう顔するわって言うかもしれない(笑)。
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