ドラマ『犯罪者』での共演を経て二人が持つと決めた視点とは
世界の理不尽に、表現者・担い手として何をすべきか。斎藤工×水上恒司が理想の現場で築いた連帯感
2026.07.30 19:00
2026.07.30 19:00
大事なのは、対極の視点を持ち合わせること
──さっき斎藤さんが「受け継がなくてもいいものまで受け継いでいる」とおっしゃいましたが、年齢を重ねていく中で、こういう慣習や価値観は下の世代に受け継ぎたくないなと思うようなことってあると思います。そういう負の遺産を引き渡さないためには、まず理不尽を感じたときにせめて加担しないことが大事だと思っていて。お二人にも、俳優として、人として、こういったことには加担しないと決めていることはありますか。
斎藤 蓋を開けたら加担していたということが往々にしてあるので。その問いに対して胸を張って答えられないというのが今の僕の実情かなという気がします(笑)。
水上 知らず知らずのうちに加担しちゃっていることはありますよね。この『犯罪者』で描かれているような、わかりやすく大きな悪事とか過ちに加担したことはない人であっても、小さな何かというのは絶対あると思う。まずはその自覚を持つことが大事なのかなと。

斎藤 そう思います。その上でこれは大事にしたいと僕が意識しているのは、何かを考えるときに一方の視点だけで見ないということです。僕は去年、ガザのドキュメンタリーをたくさん拝見し、それらの作品をみなさんに推薦していたんですけど、ガザで起きていることを自分の言葉で語るには、イスラエルとパレスチナ、両方の視点を持たなければいけない。気づいたらどちらかの視点に寄りかかって甘んじる自分がいることをよくわかっているからこそ、対極の視点を常に持ち合わせることを自分に課したいと思っています。
水上 わかります。たとえば僕が何か正しいことをしたとして、でもそれによって別の人の何かが損なわれたり、生活が立ち行かなくなってしまうこともあるかもしれない。そうすると、その人から見たら僕は悪じゃないですか。
斎藤 宮崎駿監督が「正義の反対は悪ではなく、もう一つの正義である」ということをおっしゃっていますが、まさしくですよね。
水上 向こうには向こうの正義がありますもんね。だから本当に難しいですけど、僕は許すことが大事なんじゃないかなと思っています。もちろん虐げられた人にとって、その傷や苦しみは簡単に消えるものではない。そんな人に、簡単に許してあげたらなんて絶対に言えません。許すことって、本当に難しくて。僕だって、じゃあ自分は何をされても許せる人間なのかと言われたら、全然そんなできた人間じゃない。でも、誰にでも簡単にできることじゃないからこそ、許すことを目指す必要があるんじゃないかなって。まだまだ道半ばではありますが、いつかちゃんと許せる人間になれたらと思っています。

斎藤工/スタイリスト:三田真一 アシスタント:那須野
ジャケット・カットソー・パンツ:ヨウジヤマモト プールオム
シューズ:スタイリスト私物
ヘアメイク:くどうあき
水上恒司/スタイリスト:能城匠
ジャケット・タンクトップ・パンツ・シューズ:ボッテガ・ヴェネタ
ヘアメイク:Kohey



