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INTERVIEW

初タッグ作『四月の余白』で委ねた「許し」への答えとは

人間は一貫性がないから、不完全に描く。𠮷田恵輔×一ノ瀬ワタルが問う“大人の本質”

2026.07.03 18:00

2026.07.03 18:00

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体罰は是か非か。過去のあやまちは何年経っても許されることはないのか。現代を取り巻く問題に真正面から切り込んだのが、𠮷田恵輔監督による最新作『四月の余白』だ。

素行に問題のある子どもたちを預かる全寮制更生施設「みらいの里」。その寮長・西健吾は、体罰も辞さない教育方針と、元半グレの元受刑者という経歴でマスコミの注目を集めていた。

そしてまた「みらいの里」に新たな少年・海斗がやってくる。まるで他人の痛みなど知らないように暴力をふるう海斗と西はどう向き合うのか。純粋性と狂気性を併せ持った難役に、一ノ瀬ワタルが挑んでいる。

自らが多感な時期に出会った非行少年や彼らを取り巻くコミュニティをモデルに本作を書いたという𠮷田と、𠮷田組初参加となる一ノ瀬。二人は本作の提起する問題に、どんな答えを出すだろうか。

𠮷田恵輔監督、一ノ瀬ワタル

西が痛めつけられてるとキュンキュンするの(笑)

──お二人は本作が初タッグですね。

𠮷田 脚本を書いているときに、ちょっと暗くて地味な映画になりそうだなという予感がして。もっと違うアプローチができないかと考えているときに思い浮かんだのが、一ノ瀬さんでした。一ノ瀬さんなら、俺の概念を壊してくれそうだなと。これだけ撮っていても、映画を撮るときはやっぱりワクワクしたいんですよ。一ノ瀬さんが来たらワクワクする気がした。お願いしたのは、そんな子どもみたいな理由です。

一ノ瀬 (とても大きな声で)ありがとうございます! 実は自分、𠮷田監督初めてじゃないんですよ。オーディションに行ったことがあって。

𠮷田 確か2回くらい来てる。

一ノ瀬 (とても大きな声で)そうなんですよ!

𠮷田 そのとき、スキンヘッドだっけ?

一ノ瀬 (とても大きな声で)そうです! そのときは悪役を極めようと思っていた時期で。バリバリのヤクザに見えるようにと、オーディションにスーツで行くみたいな。それで、まあ落ちたんですけど、今回ご一緒できて、すごいいい雰囲気でお芝居させてもらえて良かったです。

──ちょっと話の腰を折るんですけど、一ノ瀬さん、めちゃくちゃ声が大きいですね。

一ノ瀬 そうですね。コソコソ話はできないです!

𠮷田 この一つ前の取材がリモートだったんですよ。リモートだからあんなに大きな声で喋ってるのかと思ってたんだけど、リモートじゃなくてもその声なんだね。

一ノ瀬 あははは!! そうですね。今日の取材だけで3回くらい言われました、声が大きいって。

𠮷田 現場では西だったから、カメラが回っていないときも西の声のトーンだったじゃない? だから気づかなかったけど、取材だとこんなに大きいんだ(笑)。

一ノ瀬 普段喋ってるときは腹から出してるんで。役によっては腹に力を入れず、(ボソっとした声で)このへんの声で喋るとまた雰囲気変わるじゃないですか。そういう使い分けはやってますね。

──「映画を撮るときはやっぱりワクワクしたい」と監督はおっしゃいましたが、この映画を撮ってて、どんな瞬間にワクワクしましたか。

𠮷田 俺ね、西が痛めつけられるときにすっごいキュンキュンするの(笑)。普通のおじさんがやられてると見てらんないんだけど、一ノ瀬くんみたいな体格の人が殴られてると、濡れた子犬みたいな感じがして胸がキューンとなる。だって、このキャラクターの人が頭から血を流してても。

一ノ瀬 死にはしないですね。

𠮷田 そう。死にはしないの。なんなら次の日普通に飯食ってそうだし(笑)。そういう安心感が一ノ瀬くんにはある。だから、血のり塗ってるときとか、いいな〜って思ってました(笑)。

一ノ瀬 あははは! いや〜、ありがとうございます。

𠮷田 あとは西が優しい言葉をかけるときも、おじさんなんだけど、謎の母性みたいなのを感じてキューンとしたなあ。

一ノ瀬 ありがたいです。𠮷田組は本当に近年稀に見るくらいのいいチームだったんですよ。みんなが一致団結してて。そこにワクワクしました。あとはやっぱり台本ですね。もう台本を読んだときからワクワクが止まらないというか、すごいな𠮷田監督、と。

映画『四月の余白』本予告

𠮷田 そこは、どういうところが?

一ノ瀬 体罰を描きますという話を聞いて、今までもそういう体罰は是か非かみたいな議論はあったじゃないですか。ただ、自分が生きてきた中でも、言葉が通じない子というのはいて。昔、キックボクシングジムで内弟子をやってたんですけど、併設されている空手道場に、お母さんの顔を殴るような子がいて、そういう子が道場に預けられるんです。で、そんな手に負えなかった子たちが空手を通して成長していくんですよ。憶測ですけど、あれはやっぱり殴られることで痛みを知ったからなのかなと。だから、𠮷田監督の描かれている題材にはすごく興味の惹かれるものがありました。

𠮷田 体罰の是非でいうと、俺は正解はグレーなところにあると思ってるんだよね。体罰は良くない。でも、ルールからはみ出している子に対してホワイトなやり方だけではどうにもできない。グレーを扱える大人の存在というのが案外重要なんだろうなと。俺らの時代にはいたんですよ、そういうグレーなおじさんが。その人から教わることって結構あって。要は、俺らみたいになるなよっていう人がいたほうがわかりやすいんですよ、子どもからすると。でも、今はそういう人との付き合いはやめなさいって時代だから、なかなか難しいですよね。

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人がやったことは、いつ許されるのか

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PARTNERS

作品情報

四月の余白

©2026 N.R.E.

©2026 N.R.E.

四月の余白

2026年6月26日(金) 新宿ピカデリーほか全国公開
配給:アークエンタテインメント

公式サイトはこちら

スタッフ&キャスト

監督・脚本:𠮷田恵輔
音楽:世武裕子

出演:一ノ瀬ワタル/夏帆 上阪隼人 篠原 篤 占部房子/山﨑七海 和田 庵 髙田万作 松木大輔 小沢まゆ パトリック・ハーラン

𠮷田恵輔

アーティスト情報

1975年、埼玉県出身。学生時代に塚本晋也監督作品の照明を担当。自主制作映画『なま夏』(06)で注目を集め、同年、『机のなかみ』 で長編映画監督デビュー。その後も、『さんかく』(10)、『麦子さんと』(13)、『ヒメアノ〜ル』(16)、『愛しのアイリーン』(18)、『BLUE/ブルー』(21)、『空白』(21)、『ミッシング』(24)など話題作を次々と発表。

一ノ瀬ワタル

アーティスト情報

1985年7月30日生まれ、佐賀県出身。2009年『クローズZEROⅡ』で俳優デビュー。『サンクチュアリ -聖域-』(23/Netflix)で主演を務め、力強い存在感で注目を集める。近年の主な出演作に、ドラマ『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(25/TBS)、『イクサガミ』(25/Netflix)、『インフォーマ』(25/ABEMA)、映画『炎上』(26)、『ヴィレッジ』(23)などがある。

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