名作Musical『GYPSY』でグループ卒業後の第一歩を飾る
「ここからイメージを脱却していきたい」新たな夢に向かう富田鈴花が今、伝えておきたいこと
2026.05.09 16:00
2026.05.09 16:00
プレッシャーの対処法は、失敗してもいいやと考えること
──富田さんもアイドルをやりながら、いろんな縛りを全部1回捨てたいと思ったことはありましたか。
そう思う瞬間もあったかもしれませんが、そこでやっちゃえってなれるタイプではなかったです。私は結構、ルールに従順なタイプだと思います。ただ、顔と名前を覚えてもらうには髪型を固定しておいたほうがいいよってよく言われていたのに、コロコロ髪型を変えていたから、反抗的に見られることもあったかもしれません(笑)。

──髪型を変えるのは、ちょっとした反抗心だったんですか。
私は単純に曲のコンセプトによって雰囲気を変えたかっただけなので、反抗心ではなかったです。
お芝居の好きなところの一つが、作品ごとに違う人になれるところで。私は私の人生しか生きることはできないけど、役を通してならいろんな人の生き方ができる。これが私のやりたかったことだったんだなというのは、お芝居に出会って気づきました。
──ということは、別の人になりたい願望が結構強いタイプですか。
そうですね。卒業セレモニーのときに、ずっと誰かになりたかったけど、今は生まれ変わっても自分になりたいというお話をさせていただいて。その気持ちは本当なんですけど、それとは別に誰かの人生を生きる楽しさというのは大きいなって感じます。
誰かの人生を生きることで、自分の知らなかった価値観に出会える。私一人分の人生を生きるより、ずっとワクワクする。その楽しさを知っているから、ネガティブな意味ではなく、誰かになりたいという気持ちはずっと私の中にあります。
──じゃあ、もし自分のお母さんがローズだったらどうしますか。
うわあ(笑)。想像できないです。私のお母さんがローズとは正反対で、なんでもいいよって言ってくれるタイプなので。きっと私はローズがお母さんだったら何も言えないと思います。で、ジューンと同じようにどこかで逃げ出したい気持ちになるんじゃないかな(笑)。
──あんまり干渉されるとしんどいですしね。
すっごくしんどいです。私、干渉されるのが本当に苦手で。

──ローズがお母さんだったら、バラエティに出るたびに、「あそこのあのコメントが」とかダメ出しをもらうことになりそうです(笑)。
グループ在籍時に最初に付いてくださったマネージャーさんが、このときの立ち回りはどうだったとか、礼儀がどうこうとか、全部ちゃんと言ってくださる方だったんです。あそこまで熱心に指導してくださったから、グループが大きくなれたと思っているので、ローズにいろいろ注意されても、最終的にはありがたかったなって感謝すると思います。
──そもそもですが、人に期待されるのはうれしいですか。
あまりうれしくないです(笑)。期待されても、結果をお返しする自信が自分にはないので、全然期待されていなかったけど、あとからすごいんだねと言ってもらえるほうがうれしいかもしれません(笑)。
──この仕事をしていたら期待をかけられるタイミングはあるわけじゃないですか。
ありましたね。
──期待されるのが苦手な富田さんは、そのプレッシャーにどう対処していたんですか。
失敗しても良いや、と考えるようにしていました。たとえここで何か一つ失敗しても、それですべてが終わるわけじゃない。なんならその失敗があったおかげで、そのあとの成功がよりきらびやかになるという考え方もできるわけじゃないですか。だから、期待を感じてもあまり気負わず、自分のペースでやらせてもらっていました。

──そのスタンスって、最初から身についていたわけではないですよね。
そう思えるようになったのは、グループに入って4〜5年目くらいからだと思います。それまでの私はものすごく完璧主義でした。私にとっていちばん難しいのは、自分の弱いところを見せること。当時はそれができなくて、しんどい思いをすることがありました。
自信を失うときって、努力できていないときなんですよ。自分でもわかっているんです。あ、今、ちゃんと頑張れていないなって。当時は、そんな自分に気づくたびに落ち込んでばかりいました。
だから、後悔のないように頑張りつつ。でも時に頑張れない自分も許してあげることが大事。そこのバランスをとれるようになってからは、あまり思いつめすぎなくなりました。
──弱いところを見せるのが得意ではないとおっしゃっていましたが、ご両親と仲が良いじゃないですか。ご両親に弱音を打ち明けられるタイプではなかったんですか。
心配させたくなくて、逆に親には言えなかったです。やっぱり私の気持ちが落ちちゃうと、親も一緒に潰れちゃうんですよね。たとえば、ネットに私が傷つくようなことが書いてあると、私以上にきっと親が傷つく。だから、親にはエゴサーチしないでって思うんですけど(笑)。そこは共倒れにならないように、ちょっと気持ちがデリケートなときほど、親とはあえて線を引くようにしていました。

──改めてですが、富田さんにとってお母さんはどんな存在ですか。
うーん。友達みたいな感じです。出かけるのも、お母さんがいちばん多いですし。
あとは、私の芸能活動を誰よりも楽しみにしてくれている人。うちの親は芸能界が大好きなんです(笑)。それを知っていたから、親に喜んでほしくて、この世界に飛び込んだところがあって。
そう思うと、意外とローズたちと同じことをやっているのかもしれない(笑)。私が大きい会場に憧れるのも、昔親と行った思い出の場所だからだったりするんですよね。そこに立っている姿を親に見せたくて頑張っているというのはあります。本当、すごい関係だと思います、親と子って。
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