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INTERVIEW

映画『ARCO』で2度目の吹替に挑んだ16歳のリアルを暴く

繰り返すのは“今日も新しい感情に出会えた”感謝。黒川想矢が続ける自分同士の戦い

2026.05.01 18:00

2026.05.01 18:00

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将来が嘱望される、という常套句がこれほどふさわしい16歳は稀有だ。

『怪物』『国宝』と邦画史に残る名作に重要な役で出演し、鮮烈な存在感を示した黒川想矢は、世間の注目とプレッシャーを一身に背負いながら、俳優の道を突き進んでいる。

4月24日(金)公開の映画『ARCO/アルコ』では、自身2度目の吹き替えに挑戦。西暦2932年から西暦2075年へとタイムスリップした10歳の少年・アルコに、無垢な声で魂を吹き込んだ。

人の心を射抜く強い眼差しとは裏腹に、黒川は自らを「このまま大人になったら絶対つまんない大人になるのがわかっている」と卑下する。不安と、自己否定と、戸惑いに揺れながら。怪物でも国宝でもない、16歳の黒川想矢がそこにいた。

黒川想矢

目的に合ってないルールなら、破ることもアリなんじゃないか

──黒川さんにとっては『FLY!/フライ!』以来、2度目の吹き替えです。声の演技にリトライしてみて、どんなところに難しさを感じましたか。

距離感が難しいなと思いました。実際には遠くにいる誰かに向かって話している台詞だけど、演技をするときは目の前のマイクに向かって声を出す。その距離感の違いが難しくて。スタジオにこもってやっていると、距離感がよくわからなくなっちゃうんです。そこをちゃんと頭に入れて、これくらい離れているからもっと声を飛ばそうとか、逆に抑えようとか考えなくちゃいけないのは、普段やっているお芝居との大きな違いでした。

あとは、視点の違いとかも。

──視点ですか。

普段のお芝居だと、僕の視点から見えている景色があって、そこから受け取ったもので感情が膨らんでいく。でも、アニメの場合は第三者の視点から描かれているシーンが多くて、アルコの視点とは見えている景色がまったく違う。その分、受け取れるものが多いとも言えるし、逆にアルコの視点からはどう見えているんだろうと想像を膨らませなきゃいけないとも言える。そういう難しさがありました。

──自分の肉体を使って演じる普段のお芝居と、声のみのお芝居。役になるという感覚もちょっと違うんでしょうか。

似ているんですけど、ちょっと違うのかなと思います。たとえば、走っているシーンで「はあ、はあ」と息をするお芝居をするときに、自分ではちゃんとやっているつもりでも、声だけだとどうしてもリアルに聞こえなかったりする。そこをちゃんと客観視する必要があって。役になるというより、演技をするという感覚が声のお芝居のほうがより強い気がします。

──今回も空から落ちるシーンがあったじゃないですか。ああいうところの声の出し方なんて、めちゃくちゃ難しいんだろうなと思います。

本当にどうしようって思いました(笑)。もう想像するしかないですよね。自分が落ちているところを想像して。でも、飛んでるからちょっと気持ちいいのかなと考えたり。映像なら、落ちるシーンも自分で落ちてる感覚を実際に感じられる。でも、吹き替えは想像して感じなくちゃいけない。一つ間に挟むのが、ちょっと不思議な感じがしました。

──黒川さんは、普段からお芝居をするときは自分が役と一つになっているということをおっしゃっているじゃないですか。

そうですね。シーンごとに自分がそれを経験するっていう感覚です。

──そう考えると、声のお芝居はもうちょっと自分と役を切り離している感じですか。

そんな気がします。それが、客観視しているということなのかなって。

──改めてですが、ご自分の声は好きですか。

今こうして話しているときに聞こえる声は好きじゃないです。でも、録音されてる声って全然違う声に聞こえるじゃないですか。その声は嫌いじゃなくて。

──変な話ですが、それ、逆の人のほうが多い気がします。一般的に、録音で聞く自分の声が嫌いって言う人のほうが多いような。

そうなんですか。僕、今聞こえてる声のほうが好きじゃないんですよ。じゃあ、逆なのかな?

──ちなみに今自分自身に聞こえてる声は、録音で聞く声より高いんですか。それとも低いんですか。

結構低かったりします。だから、テレビとか映画から聞こえてくる自分の声を聞くと、ちょっといいなって思います。

──12歳まで飛行禁止というルールを破り、アルコはタイムトラベルの旅に出ます。やってはいけないと知りながら好奇心を抑えられないアルコの気持ちは理解できるものがありましたか。

理解できました。でも、最近はそういうルールがあるのはわかるけど、ちゃんと趣旨を守れているなら、別に全部鵜呑みにして守る必要もないんじゃないかって考えるようになりました。

──それは、どういう意味でしょう。

たぶんルールって、つくられた目的があると思うんですね。大事なのって、その目的をちゃんと守ることで。でも、いつの間にかルールを守ることばっかりが目的になって、本来の趣旨が忘れられちゃっていることもある気がして。目的に合ってないルールなら、破ることもアリなんじゃないかなって。

──それこそ小学校や中学校のときは校区というのがあって、そこから出ちゃいけないとかありましたよね。その例で言うなら、校区の外に出てはいけないのは身の安全を守るためだから、ちゃんと安全が保障されているなら、別に校区の外に出てもいいだろうと。

そうですそうです!

──という、大変自分に都合のいい解釈をしているわけですね(笑)。

本当ですね(笑)。よくないことですけど。

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PARTNERS

作品情報

ARCO/アルコ

©2025 Remembers / mountainA / France 3 CINEMA

©2025 Remembers / mountainA / France 3 CINEMA

ARCO/アルコ

2026年4月24日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
フランス/88分/カラー/ビスタ/5.1ch/原題:ARCO/字幕翻訳:浜本裕樹/映倫:G
配給:AMGエンタテインメント ハーク

公式サイトはこちら

スタッフ&キャスト

監督・脚本:ウーゴ・ビアンヴニュ 脚本:フェリックス・ド・ジヴリ
製作:フェリックス・ド・ジヴリ、ソフィー・マス、ナタリー・ポートマン
アニメーション監督:アダム・シラード 編集:ナタン・ジャカード 音楽:アルノー・トゥロン

声優キャスト:
【フランス語】
オスカー・トレサニーニ(アルコ)、マーゴット・リンガード・オルドラ(イリス)、アルマ・ホドロフスキー(ミッキ/イリスの母)、スワン・アルロー(イリスの父)、ルイ・ガレル(ストゥイー)、ヴァンサン・マケーニュ(ドゥギー)、ウィリアム・レブギル(フランキー)、ナタナエル・ペロ(クリフォード)

【日本語】
黒川想矢(アルコ) 堀越麗禾(イリス) 梶裕貴(ミッキ) 山里亮太(ドゥギー)
前野智昭(ストゥイー) 落合福嗣(フランキー) 伊駒ゆりえ(クリフォード) 日向未南(アルコの母)

2009年12月5日生まれ、埼玉県出身。5歳で芸能活動をスタートする。
2021年のNHK BS時代劇「剣樹抄~光圀公と俺~」で了助役を務め、2023年に公開された映画『怪物』(是枝裕和監督)での麦野湊役が高く評価され、日本アカデミー賞新人俳優賞など多数の賞を受賞。映画『国宝』(2025年)では、吉沢亮扮する主人公・立花喜久雄の少年時代を演じ、第17回TAMA映画賞で最優秀新進男優賞を受賞。第38回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎新人賞を受賞。

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