2026.09.11 18:00
2026.09.11 18:00
アーティストの歴史に対して面白さを感じる
──今回、奥平さんが演じた紀一は高い知的好奇心を持っています。奥平さんは役に臨むとき、役の背景を知ろうといろいろ調べるタイプですか。それともフィーリングを大切にするタイプですか。
作品によります。たとえば、今回であれば、紀一は図書館の世界に足を踏み入れる側の人間なので、僕が事前に図書館について調べる必要はないですが、『雪風 YUKIKAZE』のような作品であれば、当時のことで知っておくべきことはちゃんと知っておきたいなと思ったので、事前に旧海軍兵学校にお邪魔させていただいて、当時の資料を見たり、リサーチはしました。

──『いつか、無重力の宇宙で』では宇宙工学を学ぶ大学生を演じました。
あのときは自分一人では事前に調べようにも何を調べたらいいのかもわからなかったので、とにかく監修の方にいっぱい質問しました(笑)。そういう意味では、監修の方がいてくださるというのは本当に心強いです。今回も司書の方が監修で入ってくださっていたので、自分の役に関係ないこともいろいろ聞いたりしました。知らない世界の話をプロの方から直接聞けるのは、役者という仕事の特権。せっかくなら存分に使い倒そうという気持ちで聞いています。
──今のお話を踏まえると、わりと知的好奇心は高そうですね。
自分ではわからないですが、高いほうだと思います。何でも全般的に知りたいというよりは、特に自分の好きなものとか興味のあるものに関して感度は高いほうだと思います。

──紀一はいろんなことに対して「なんで?」「なんで?」と疑問を抱くタイプです。そんな感じで、ここからは奥平さんに関する「なんで?」を解き明かしていきたいのですが、絵だったりクラシックだったりお洋服だったり、奥平さんって好きなものが幅広いですよね。なんでそんなに好きなものが多いんですか。
なんでなんですかね(笑)。個人的には、歴史というものに対して面白さを感じる傾向が強いなと思っています。あとは、絵や服がそうですが、自分にそういうものを表現する能力がないので、そういったアートの才能がある人に関してはリスペクトがありますし、その方たちがつくったものに対して純粋にお客さんとして興味があります。
逆に言うと、映画にあまり興味がなくて(笑)。
──正直に言ってしまった(笑)。
映画を最近は意識的に観るようになりましたが、たぶんこの仕事をしていなかったら全然観てなかったと思います。絵とか音楽って、ずっと昔から人が娯楽として親しんできたものじゃないですか。そこには、今の僕の感覚では考えられないような発想とか背景があったりして。そういうのを調べるのが楽しいっていうのもあります。

──なるほど。たとえば音楽とかもただ曲を聴くだけじゃなくて、そのアーティストの背景とかも知りたいタイプなんですね。
そうですそうです。クラシックだったら、その作曲家の伝記とかも読みます。なんだろう。そうやって知ったほうが音楽に対する解像度が上がる気がするんですよね。せっかく好きになったんだから、もっと深いところまで面白みを見出せるようになったらいいなって。
──背景を知って、より興味が深まったことも?
たとえば、昔の芸術家って人間としてはろくでもない人が多かったりしません?(笑) ゴッホとか本当どうしようもない人だなって思いました。今でこそ世界中の人がゴッホの絵を知っていますが、生前売れた絵は1枚だけなんですよね。ゴッホはずっと売れたい売れたいと思っていたけど、生きている間は報われることがなく、死んでからこんなに有名になった。そういうのも皮肉だなと感じる反面、面白いなって。
今は表現をする人の人間性まで見られる世の中になっていますが、昔はもっと気楽というか、その人がどういう人かはどうでもよくて、ただ残したものがいいか悪いかの単純な評価で決まっていた感じとかもいいなと思います。実際、昔の音楽家って遊び人が多いんですけど、そういう人がつくる曲に限ってめちゃくちゃロマンティックだったりするんです。そんなふうに調べていく中で、点と点がつながって線になる瞬間が好きです。

──以前、Bezzyにご登場いただいた際は、レッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)が好きだというお話をされていましたね。
洋楽だとロックが好きです。それこそ最近本屋さんでビートルズの本を買いました。それがすごく面白くて。メンバー同士、仲が悪かったこととか普通に書かれていて。世界的な影響力を持ったアーティストだけど、中身は子どもっぽいところがあるんだなとわかったり。知らなかったことを知れるのは、本の楽しさの一つですね。
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