連続ドラマ初監督作での狙いと今の演劇界に思う本音とは?
「嘘をつけない人ほど、こぼれ落ちるものがある」根本宗子がセリフを書きたくなる俳優像
2026.07.08 17:00
2026.07.08 17:00
「演劇って楽しいよ」って、言っていきたい
──改めて今の根本さんのお仕事の状況を見ると、脚本家・演出家・監督だけでなく、俳優としての出演も今年は多いですよね。7月には舞台『超、Maria』の再演で作・演出だけでなく出演もされますし、9月にはナイロン100℃作品への客演。今後、どのポジションをどういうバランスで活動したいとか、考えていたりしますか?
脚本、演出家、監督が一番やりたくてやっていることではあるので……0を1にする役割が本来やりたいことなんですよね。俳優として自分が出る時は、自分がいたほうがうまくいくか、自分がいないほうがうまくいくかだけで決めています。2021年に一度、俳優業を辞める宣言をしたんですよ。それはもともと、足に持病があることや、今後の自分のキャリアだったり、女性としてどう生きていくかとか、いろいろ考えた結果だったんですけど。でも別にマイナスな意味ではなく、一旦そこで区切ろうというか、身体的な負担がかからない方向にしよう……と思っていた時期だったんですよね。ただそこからまたいろんなことを経て、自分の人生観にも変化があったりで。もちろん身体的な事も含めてできることとできないことがあるので、積極的に役者としてバンバン出ていくとかではないんですけど。

──ナイロン100℃への客演の経緯は。
ケラさんからはずっと「役者は辞めないほうがいい」って言われていて、ある日お会いしたときに「本当にやらないのか、やる可能性があるのか今教えて!」と言われまして。
──それは断れないですね(笑)。
でもオリジナルで役を書いていただくというのは、すごく愛情を感じるんです。自分も書く側でもあるので、それはわかるじゃないですか。なので、もし書いていただけるなら出させていただこうと。2026年は『超、Maria』で自分が出演もするというのが割と早く決まっていたので、じゃあこの『エミリとマリア』までは作り手に回って、後半は出演が続く、そういう年になります。
──ところで……ちょっと毛色の変わる質問なんですが。岸田國士戯曲賞を受賞したダウ90000の蓮見翔さんが受賞者対談で「演劇は流行ってない」と発言したことがSNS等で話題になりまして。根本さんは、演劇は「流行っていない」と思いますか?
(笑)そうですね……そもそも、今はコンテンツが映像作品も、YouTubeとか、いろんなものがありすぎて。昔だったら月曜の夜は月9をみんなが見て、火曜日には月9の話をするような時代があったじゃないですか。そういう社会現象になるコンテンツが極めて出づらい時代にはなっていて。だから演劇が流行っているかどうかというよりも、「流行り」というものを作るのがすごく難しい時代だと思うんですよ。あと演劇はコロナ禍以降、戦争の影響もあって、資材の値段が上がることでどんどんチケット代が上がってるんですよね。どうしても敷居が高くなってしまっていて、もっと気軽に「今これやってるんだ、今日帰りに見よう」みたいな感じで演劇体験して欲しいんですけど、なかなかそれが叶わない。そういう意味で「演劇ブーム」を作るのは今の時代、すごく難しいだろうなと思います。自分が40代になるまでにもう一度ブームを作るような役割を担えたらとは思っています。

──演劇はどうやったらもっと身近になるんでしょう?
今、チケットを取るのも何ヵ月も前になっていて。でも2ヵ月先のその日にその作品が見たいかって、正直わからないじゃないですか。本当はせめて来週ぐらいのチケットが取れるようにしたい、と観る側としては思うんですよね。なるべく当日券でフラっと観に行けるような。もちろん作っている側からしたら、早めにチケットが売れていないと予算的に厳しいんですけど(笑)。でもそんな風に、もっと生活の一部に演劇が入れたらいいな、とはずっと思っています。何にせよ、演劇って楽しいよって言っていきたいですね。若い世代にかっこいいものと思っていただけるようにこれからも試行錯誤していきます。

ドラマ特区『エミリとマリア』場面写真 ©「エミリとマリア」製作委員会・MBS



