連続ドラマ初監督作での狙いと今の演劇界に思う本音とは?
「嘘をつけない人ほど、こぼれ落ちるものがある」根本宗子がセリフを書きたくなる俳優像
2026.07.08 17:00
2026.07.08 17:00
「この人と仕事をしたい」と切望する人は、今相当な数になっているのでは? そう確信させる作り手の一人、根本宗子。演劇作品は言わずもがな、映像分野でも活躍する彼女が初めて連続ドラマの脚本を手掛け、自ら監督。それが現在放送中の『エミリとマリア』だ。
主演の松本まりかと高橋メアリージュンが35歳の独身女性を演じる今作、根本作品ではあるから当然“よくあるドラマ”で収まるわけはなく……。それは観てのお楽しみとして、今作が立ち上がったきっかけから、「一緒に仕事をしたい人」の定義、俳優としての活動について、そして「演劇」の話。根本宗子が今、考えていることとは。

「あー笑った」と、楽しい気持ちで寝てもらいたくて
──今回のドラマの企画はどのような経緯で始まったのでしょうか?
『もっと超越した所へ。』(2022年)という映画でご一緒したプロデューサーと雑談をしていたんですね。『もっと〜』では原作と脚本を担当させていただいたんですけど、「次に何かやるときは、「自分で書いて自分で撮る」というのはどうですか?」という話になり。確かにドラマの脚本を書くことはあっても連続ドラマはまだなかったというのと、あと連ドラの脚本を書くことはあっても、監督まですることはないだろう……と思ったんですよ。なので、自分で撮るならどういったトーンのもので、どういう人とやるのが面白いかを考えていくなかで、演劇っぽい会話劇の会話のラリーが多いもの、テレビドラマだけど少し異質な質感のものをオリジナルでやってみたいです……とお答えしたところからスタートした企画です。

──35歳の独身女性2人が主人公、という設定の発想はどこからだったのでしょう?
プロデューサー2人が女性で、私とも世代が近かったんですよ。我々世代の女性を主人公にするというのがみんなのなかでしっくりきたというのがあり、内容や設定が決まっていった感じです。彼女たちが喋っていることを聞いていると、これが面白かったんですよ。それをそのまま書いたというわけではないんですけど、この世代の女性同士の雑談って普段こうだよな、と。
──リアルなモデルケースが目の前にいたわけですね。
今、30〜40代女性のモヤモヤを描く、みたいなテーマの作品は多いじゃないですか。ソロ活ものもしかりで、需要も多いと思うんです。そんななかで自分が書くならどういうものだろう?と考えたとき、「特に明確な答えを追い求めてはいない」という人たちを主人公にするほうが自分らしいかな、と思ったんです。愚痴っているようだけど楽しそうだったり……大きなテーマを背負っているというよりは、日々会社で働いて帰宅して、このドラマを観て「あー笑った笑った」「自分の代わりに小言を主人公たちが言ってくれた!」みたいな感じで、楽しい気持ちで寝てもらえる。そんな作品のほうが、ドラマでやるんだったら良いかなと。だから、コメディーにしよう、というのは最初から決めていました。
──主演のお2人のキャスティングはどのように決まったのでしょうか?
松本まりかさんは長年舞台を観に来てくださっていて、「一緒にやりたい」と言ってくれている、というのは耳にしていて、でもお忙しい方なのでなかなか舞台ではご一緒する機会がなくて。でも今回はドラマ4話なので、だったらご一緒できるかも! とオファーしました。高橋メアリージュンさんも個人的にずっと好きで、でも舞台をバンバンやる方ではないので、こういった機会じゃないと役を書くことができないだろうと。お2人はプライベートでも仲良しらしくて、それを聞いていたんですね。普段よくしゃべっているお2人がやったほうが、こういう役はうまくいくだろうと考えたのもあります。でももう、ファーストコールでお2人が受けてくださったんですよ。脚本を書いている最中にキャスティングが決定したので、ほとんど当て書きができたのはありがたかったですね。

──ほぼ当て書きなんですね。
お2人が今出演されているドラマって、割とドロドロしているものだったり、お芝居も大きく乗せていく、というものが多い気がするんですよね。でも今回は、リアルなトーンでお2人が喋っていて、そこからちょっと感情がこぼれ落ちる……みたいなところが多くて。そこにスッと変わっていくのが、お2人とも阿吽の呼吸なんですよ。それは撮っていてとても楽しかったです。
──セリフの量について俳優さんからの反応はいかがでしたか?
多いねとは言われました(笑)。でもまりかさんを筆頭に、私の言葉数の多さを面白がってくださっていて。多分、あえて「大変」とは言わないでくださったところもあると思うんですけど。
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