連続ドラマ初監督作での狙いと今の演劇界に思う本音とは?
「嘘をつけない人ほど、こぼれ落ちるものがある」根本宗子がセリフを書きたくなる俳優像
2026.07.08 17:00
2026.07.08 17:00
「芝居が好き」と「自分が好き」は違う
──今回は監督も務められましたよね。連続ドラマの脚本だけでなく監督もされていかがですか?
舞台を作る時と極めて近いやり方をさせてもらえたので、細かくこだわりたいところは可能でしたし、ありがたかったですね。あと、コロナ禍があったことで舞台の配信が増えたじゃないですか。配信が前提としてあることでどういうカット割りにするかを舞台作品でも考えることが多かったので、それが経験値として知らない間に生きてきたのがわかりました。

──ゲスト出演者の方々が、根本作品では常連の方たちばかりですね。
主演の2人が「初めまして」だったので、なるべく周りは知っている方で固めたいなと。ドラマは舞台と違って稽古なしで、本番の日に来てその場で撮る。そういうなかでは、一言言えば伝わる共通言語がある人をなるべくキャスティングするようにしつつ、少し冒険するようなキャストを入れる、というバランスで考えました。
──主人公2人の設定がまた、絶妙なリアリティがあるなと思いました。
「こういう人たちがここで喋っていたら面白いな」という設定で考えていったんですけど、不幸な感じには見えたくないな、というのはありました。恵まれた環境に生まれているけど、何かもがいている、というような設定にしたかったんです。あとは常に全力で間違うこともする、という猪突猛進な疾走感も大切にしました。

──すごくリアルに感じた反面で不思議に感じたんですが、根本さんは20代から舞台や映像分野で活躍されていますし、そうすると根本さんご自身は、今回の主人公たちのような世界とは日常生活は距離ができていったりしませんか?
いわゆる「芸能人の飲み会」のようなものが昔からすごく苦手で、そういう場にプライベートで行かないんですよ。港区女子と知り合ったこともないですし。学生時代の友達と会ったりすることが多くて、たとえば自分の幼なじみは子ども2人いて、話す話題も旦那さんの愚痴とか、子どもが言うことを聞かないとか……そういう「普通の30代後半が経験するようなこと」を周りで経験している人たちが多いので、そういうのが活かせているのかもですね。自分の仕事やいる場所は浮世離れしてしまったり、常識からズレることが起きやすい場所という自覚もあるので、なるべく浮世離れしないようにしています。
──俳優さんとプライベートな付き合いとかはないんですか?
仕事をする時としない時は分けたいタイプなので、俳優さんのプライベートは知らないほうがやりやすいんです。たとえば長井短さんとか、長年一緒にやってますけど、もう6年ぐらいご飯を食べに行っていないんじゃないかな。仲は良いんですけどね、そういう付き合いは30代になって特になくなりました。プライベートを知らないほうが、役を書きやすいですし。
──根本さんのなかで「一緒に仕事をしたい俳優」の基準は?
「お芝居が好きな人」とやるほうが楽しいので、そこは舞台でも映像でも共通していますね。「芝居が好き」と「自分が好き」は違うと思っていて、でも「芝居が好き」というベールをうまく被れる人もいるんですよ。本当に芝居がやりたくてやっているか、それは見極めるようにしています。あと、その人にセリフを書いていて楽しいかどうかとか。いるんですよ、セリフを書いていて楽しい俳優さん。相性もあるんでしょうけど、たとえば伊藤万理華さんとかそうですね。

──セリフを書きたくなるかどうか。
そうですね。オーディションの時も、セリフを読んでもらう時間自体は少ないんです。雑談を30分くらいさせてもらって、この人に興味持って書きたいと思うかどうかで決めてたりします。
──どんな人に興味を持つことが多いですか?
なんですかね……嘘がつけなそうな人?
──嘘をつかない。
嘘が下手そうだなという人のほうが、お芝居で、こぼれ落ちるものがある気がするんですよ。例えば、それを言ったら自分が不利になるという局面でも、正直にものを言ってしまうようなところとか。そういう部分を可愛らしいと思ったり、人として魅力的だなと感じるんですよね。タレントさんだと取り繕って、自分のキャラクターを作れちゃう器用さがある人が多いんですよ。だからこそ俳優はある種の不器用さ、嘘をつけなさみたいな部分がある人のほうが自分は興味があるし、役を演じて欲しいなと思うんです。あとは、声が特徴的な人も多いです。きつい言葉でもすごくまろやかに聞こえるとかあるじゃないですか。松本まりかさんとかもまさにそうだと思うんです、棘があるセリフでもあの声で、あの口調で言ってくださることで、おかしみが増える……みたいな。
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