芸人結成物語 by やついいちろう 第19回
怪奇!YesどんぐりRPG(前編)──生粋のギャグ戦士たちそれぞれの序章
2024.05.24 18:00
2024.05.24 18:00
やついいちろうがホストとなり、さまざまなコンビやトリオの成り立ちと歩みをたどる「芸人結成物語」。今回はトリオなのか?トリオじゃないのか?その名の通り摩訶不思議な活動形態をとる怪奇!YesどんぐりRPGが登場。
それぞれがピン芸人でギャガーという共通点を持つYes!アキト、サツマカワRPG、どんぐりたけしの3人で結成。最近ではどんぐりはヤバイTシャツ屋さん・ありぼぼと結婚、サツマカワはタレントのでか美ちゃんと結婚し世間を賑わせた。そんな彼らがインタビュー場所に選んだのは、アキトとサツマカワが出会った下北沢の劇場「下北スラッシュ」。3人の“第二の住処”と言えるこの場所で、まずは1人ずつの芸人人生を掘り下げていく。
北海道の事務所では稼ぎ頭だったアキト
やついいちろう 声の確認のために、最初に自己紹介してもらっていいかな?
Yes!アキト Yes!アキトです!お願いしまーす。
どんぐりたけし 「C-3PO、R2-D2、DTKC、どんぐりたけしー!」どんぐりたけしです!!
やつい やんなくて大丈夫、声の確認だから(笑)。
サツマカワRPG (超早口で)お願いしゃす! サツマカワRPGです!
やつい 何つったか全然分からない(笑)。
怪奇3人 お願いしまーす!
やつい 不思議なトリオだよね。ネタ的にも形的にも。繰り返してることでグルーヴしていくというか。だから3人でやる意味もあるんだけど。全員が全員の足も引っ張らないし、一緒にやるわけでもないしっていう(笑)。
どんぐり 助けもしないし(笑)。
やつい しかもピン芸人がコンビ組んだ場合ってちゃんとやるじゃないですか。ピンのネタにツッコミを入れていくみたいなパターンが多い中、交わらないで交わるみたいな。
サツマカワ (笑)3人ともボケもツッコミもできなかったんですよ。
やつい ボケはできるでしょ!
サツマカワ ギャグしかできなくて。
やつい そうだよね。だから3人になる前の、1人ひとりの芸人になるまでの話を聞いてからの方がいいかなと思うんですけど、この中だと一番後輩は誰なの?
どんぐり 僕だけ1年後輩です。
やつい じゃあアキトくんから聞いていこう。北海道出身だっけ?
アキト そうです! お笑いも北海道で始めて。
やつい 北海道でそういうお笑いのシーンがあるの? 大泉洋さんとかスターがいるから、演劇の話はよく聞くんですけど。
アキト 実はお笑いもありまして。札幌吉本っていうのがあって、札幌だとそこが一番大きいんですけど、僕は皆さんご存知の夢カンパニー、一番売れてる芸人・僕でお馴染み夢カンパニー出身です(笑)。
やつい 夢カンパニー!(笑)
サツマカワ 当時のアキトで、一番売れてる芸人(笑)。
アキト そうです。稼ぎ頭で(笑)。
やつい いつからお笑い始めたの?
アキト 映像の大学に入って、映像頑張ろうかなっていう時期に、バイトで人材派遣の会社にいたんですよ。コンサートスタッフとかを束ねる。その会社が急に芸能を始めるって。
やつい それが夢カンパニーか!
アキト そうです。所属する1年前くらいからアマチュア芸人ちょこちょこやってたんですけど、そのことも知ってたみたいで。
やつい アマチュア芸人はなんでやってたの?
アキト それはもうお笑いが好きで、中高くらいからちょろちょろやってたってたんですよ。
やつい すごくない? 中学生からお笑い芸人として活動してたの?
アキト ……これ長くなりますよ?(笑)
どんぐり あんまり聞いたことないかも。
アキト 僕が高校をちょっとドロップアウト気味というか……めちゃくちゃ通ってなかったんですよ。
やつい え?! そういうところあるの? ワルな方?
アキト ヤンキーではなくて。進学校に行っちゃって、ついていけないなって感じがあって。
やつい 髭男爵パターンだね。
アキト そうです。男爵さんっすね。勉強頑張りたかったけど、ついていけなくて。そこでお笑いにハマって。
やつい その頃から面白いやつではあったってこと?
アキト 授業中とかボケてて。「この問題わかるやつ?」とか授業中にあるじゃないですか。そしたらみんなが俺に「誰行きます?」みたいな。俺は監督みたいな感じで「じゃあ山本行こうか」って、そういうボケですよ。でも勉強はガチだからみんなと温度が合わなくて。
やつい 一番辞めなそうなタイプだけどね。
アキト 自分でプレッシャーになってたっていうか。周りはいいやつだけど、ボケのハードルが上がっていっちゃって(笑)。
やつい 期待がすごすぎたんだ! お笑いの期待もすごいし、勉強の方もどっちもあって辞めちゃったの?
アキト そうです。でもお笑い好きだったんで、行ってない時もそれこそエレキコミックさんは見てました。
やつい あれ! そんな年齢?
アキト 中学ぐらいから、“やっつんバーガー”とか見てました。
サツマカワ “やっつんバーガー”“やっつんカラオケ”とかね。
アキト 「笑顔の下に暗い過去」とか。
やつい あのフレーズみんな好きだよね! もっと推せばよかった。
アキト みんな知ってますから! それで自分もお笑いやりたいなってなって。こもってると何かやりたくなってきて。ギャグも好きで、路上でギャグやってて(笑)。
やつい 最初からアウトプットするね! 思春期だと嫌だって人も多いじゃん。いきなり客前だもんね?
アキト 割とそういうのは昔から大丈夫でしたね。
やつい それ強いよね。普通一番嫌じゃない?
どんぐり 確かに(笑)。
アキト しかも札幌なんで、引っ込み思案な人が多い中で言うと目立つキャラで。
やつい 恐れを知らないというか。その時から今みたいな芸風なの?
アキト その時はネタというか、ギャグ一個一個見せてやっていました。それを夢カンパニーの社長さんが知ってて。嵐のコンサートの誘導やってたら社員の人が来て「うちに所属して芸人やらないか?」って(笑)。
やつい 「あの路上の子」って、ちょっと有名だったんだ。それでタレント募集しなきゃいけないから、と。
アキト そうです。第一号です。稼ぎ頭で(笑)。それが最初ですね。
やつい 大学には行ったんだ?
アキト まあ一応……くらいですけど。通信高校通って。それで大学卒業の時に上京してチャレンジしたいってなりました。
やつい 夢カンパニーを辞めて。
アキト はい。そこからフリーで。
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