『メテオラ』から新作、次世代アーティストへの思いを語る
マイク・シノダ不変のアティチュード 新鮮さを失わずに“音楽を楽しみ続ける”秘訣とは
2024.01.19 18:00
2024.01.19 18:00
チャレンジする気持ちが楽しさをくれる
──マイクは今までもペルソナ的な要素を使っているし、今回のアーティスト写真もアップですごく珍しいなと思いました。世界を股に掛けたセッションもそうだし、「Already Over」はいろんなリミックスが収録されていることもあって、ポジティブに音楽を楽しんでいて「遊んでるな!」と思えて嬉しかったです。そのような外に出て遊んでいこう、みたいな思いはどこから生まれたんでしょうか。
EP『The Crimson Chapter』のイメージと同時に頭の中に浮かんできたこともあって、美意識的に共通するところがあるのかな。ビジュアルは自分の中で厳格と言っていいくらいイメージを持っていたので、それをとことん追求したんだ。キャリアの最初から組んでいるフランクというディレクターと一緒にやったので、確たるイメージを効率的に表現することができたと思っているよ。
楽しさには、新しいことにトライしたいという気持ちが繋がっているんじゃないかなと思う。今までやってこなかったこと、しばらくやってなかったことを今やってみたいと思っていて、それが新鮮味をキープすることに繋がっているし、チャレンジする気持ちが僕に楽しさを味わわせてくれているとも思う。
──リンキン・パークの『メテオラ』が発売20周年ということでまた今年リイシューされましたが、改めて聴いてみると色々な要素がバランスよくパッケージングされていて驚きました。『メテオラ』がリリースされたのは、今ほどインターネットが発達しておらず、世界中の文化に簡単には触れられなかった時代でした。今はサブスクリプションのおかげで世界中の音楽を聴いて繋げられる世の中になりましたが、マイクの新しいことにトライして何でもバランスよくパッケージしてきた功績は本当に大きいと思います。あらゆるものがミクスチャーになっているシーンにおいて、自分がオリジナルだという思いはあったりしますか?
ありがとう! 僕らが始めたわけではなくて、僕らも既に色々なものが融合した音楽を聴いて、その上に音楽を作ってきた人間なんだよね。さっき話したようにヒップホップを好きで、パブリック・エネミーとかビースティ・ボーイズとか聴いていた人間だから。彼らがロックの音楽からサンプリングしたものを取り入れて音楽を作っていたのに触発されて僕らも音楽を作ってきたんだ。初めて行ったコンサートもパブリック・エネミーとアンスラックスだったりするしね。
自分がトラックを作るようになった時はいわゆるマッシュアップ的な作り方で、ギターとサンプラーと、ドラムの代わりにシーケンサーを置いて作り始めたので、サンプリングやサウンドをどこかから引っ張ってきて、そこにラップとか歌を乗せて、みたいなやり方をしていたんだ。ある機械が限られていたから、必要に迫られてそういった作り方を発明していった感じなんだよね。やりたいことをどうしたらできるだろうかって。
今の人たちは音楽がジャンルで分けられていた時代をむしろ知らないんだと思う。すでに色々なものが融合した音楽を聴いて育ってきたから、プレイリストもいろんな人が混じってるよね。そういう人たちが聴き馴染んでいる音楽に影響を与えてきた、自分なりの貢献ができたのであればものすごく誇りに思うよ。
──4ヵ国でのセッションを終えて、日本でのセッションに期待していることはありますか? (※インタビューはセッション前日に実施)
シドニーで第1弾をやって、そのあとがLA。ヨーロッパでも2本やってきたので日本は5本目になるけど、今回が今までで一番異質な形になるんじゃないかな。ミュージシャンは僕らで見つけたんだけど、今までセッションしたミュージシャンの中でも高い技術を持っている人たちが集まっているので、曲自体はシンプルなんだけどその複雑なバージョンをやってやろうかなと思ってるよ。複雑になると問題に繋がることももちろんあるんだけど、音数が増えてお互いの音がぶつかってしまうとかね。彼らの技術をもってすればそういうことにはならないと思うから、すごく楽しみなんだ。