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COLUMN

オタズネモノ by 庄村聡泰 #5

「括らない、括らせない」Laura day romanceのしなやかな反抗

2023.07.25 18:00

2023.07.25 18:00

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めまぐるしく過ぎた1年

──面白いですね。最近出されたEPの話に移りたいと思うんですけど、最初の『Seasons.ep』から連作っていう位置づけなんですか?

鈴木 そうですね。4連作で。春が出て、一周したので完結ですね。

──最初の『Seasons.ep』から四季というか。

鈴木 そうですね。4シーズン分を出すっていうのだけ決めて始めました(笑)。

礒本 マジでそれだけだったね(笑)。

井上 本当に疲れすぎて、1年間が秒でした。プリプロダクションのことをたぶん迅くんは考えてなくて(笑)。3ヵ月毎に3曲出すってことは、毎回レコーディングとプリプロがあるってことをたぶん忘れてたよね。

鈴木 そういうときもあります。

井上 (笑)一番大変だったのはたぶん迅くんなんですけど、ずっと制作してて、制作が終わったと思ったら次の季節が始まって。次の日からやるみたいな。ずっと繰り返された1年でしたね。休みが本当にほぼなかったのではないか。

──ちなみにDTMができないっていうのも聞いたんですが……。

鈴木 できないんですよ。サポートで入ってくれてるベースの方がやってくれていて。2ndからEPも引き続き。

──ベース不在のバンドにしては、割と大事な局面がベースになるところも多いなっていう印象があって。そもそもミキシングがベース好きな人のミキシングっぽくて。あのこだわりはどこからきてるのかな?と。

鈴木 エンジニアさんのカラーもあるのかなって思うんですけどね。そのビンテージ感とかロー寄りの感じとか。僕が特段指定しているわけではないんですけど。

──デモの時からベースに任せる比重が多いのは何でなんですか?

鈴木 なんでなんだろう? でもギターでやりつくした後に、これ以上ギターでやれることないっていうのが多いかも(笑)。そろそろうるさいってタイミングでベースの人に、「この辺でこういうのください」っていうのを言って、入れてもらうみたいな感じですかね。

──じゃあ、まずはギターありきで作ったところのバランスをとるっていう意味で?

鈴木 ですかね。第1段階としてはリズムが決まるんですよね。それからギターとかで面白くなるようにするんですけど、そこでトゥーマッチの時はギターを引いて、ベースでっていうようなことが。ベースは最後だと思います。

──ありがとうございます。まさに最新EP3曲目の「アイデア」なんかはリズム先行の曲だったってことですか?

鈴木 そうですね、あれはリズムボックスでひとまずリズム作っちゃって。メロディーより先にやるかもっていうくらい。

礒本 いかんせんリズムボックスで作ってるから、手が足りないですよね(笑)。最初できれば1回で全部やってほしいって言われて、「無茶言うな!」って話をずっとしてて、結局別録りでやったんですけど。

井上 釜爺とかしかできない(笑)。

礒本 まず利き手を逆にしてとか色々チャレンジした結果、たぶん無理だなって。ライブでどうやってやるんだろうな?って毎回考えるけど、リズムボックスとか使ってるときは手が3本いる問題はありますね。

──ミキシングもいい「ビヨンビヨン」が出てますもんね(笑)。ちゃんとチューニングされてない感というか、あれ超耳に残っていいんだよな~。

井上 24時間レコーディングで死にそうになってた日か! 寝ずに朝まで……。

鈴木 年末レコーディングです。30、31日だね。

井上 「アイデア」歌ったの深夜3時とかなんですよ。死にかけながら歌い終わりました。

──大変お疲れ様でした。ドラムでいうと「cardigan」も本来であればギターだけでリズム的側面を担ってるので、てっきりドラム入らないで終わるんだろうなと思って聴いてたんですよ。そしたら、中盤後半あたりからマーチングのパターンが入ってきて、でもありきたりなマーチングと一線を画すような形で。

礒本 プリプロのデモ製作の時に自由にやってたんですよ。僕がバズドラを踏んで、隣で鈴木が自由にタムを叩いてっていう時があって、その中からよさそうなところを抽出して作ってた感じで。

鈴木 リファレンスはハイムだったかもしれないですね。

井上 そういえばハイムもめっちゃ聴いてて、すごい好きです。そのドラムの感じはハイムでしたね。

──出てくるリファレンスをここまでしっかり噛み砕いてやってるバンドはいないってすごく思いました。みんな聴いてはいるんでしょうけど、ある意味一線を引いて、分解して抽出して、自分たちのものにするように、そもそも聴いていないような気がする。

鈴木 たしかに難しいですもんね、結構。

──今の日本の音楽のポイントはまた全然別枠の取り組みだったりとかしますから。そこに果敢に挑戦してる感じがするんですよね。同じくEP1曲めの「書きたい」のギターは結構歪ませてますよね?

鈴木 そうですね。たぶんバンドの中でも歪ませてる方の曲かなって思います。2nd出した後に方向性を、例えばアコースティックロックのバンドっていう形で縛られちゃうのが怖かったんで、EPとかはそこを1個ずつ外して行く作業というか、何でもやるんですよっていう風にやっておきたいっていうのもあったんで(笑)。

──EPの方が曲の濃度としては全然変わっちゃいないんだけど、もうちょいロック感というか、なんというか。

井上 バリエーション豊かな、いわゆるバンドっぽさが表れていると思いますね。

──特にその中でも衝動性を感じる曲でもあったから、EP4作の最後の1曲目として配置したのかな? みたいな感じもありますね。歌詞も面白いんですよね。あれはどういう?

鈴木 何考えてるんでしょう? 難しいんですけど、広告っぽくはしたくないと思いつつも、そういうパンチラインというか、「ん?」っていうラインがないと物足りない。日本語でやってる以上は、サラサラ流れたらもったいないなって思っていました。

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歌詞と響きへのこだわり

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作品情報

Laura day romance 4th digital EP『Sweet.ep』

『Sweet.ep』ジャケット

『Sweet.ep』ジャケット

Laura day romance 4th digital EP『Sweet.ep』

2023.4.12 Digital Release

配信はこちら

収録曲

1. 書きたい
2. 春はバス
3. アイデア(エレ片コントライブ『Nana aita pe’ape’a』OPテーマ)

Laura day romance 3nd digital EP『Works.ep』

『Works.ep』ジャケット

『Works.ep』ジャケット

Laura day romance 3nd digital EP『Works.ep』

2023.1.25 Digital Release

配信はこちら

収録曲

1. 灯火管制の夜
2. sweet vertigo
3. cry for the moon

Laura day romance 2nd digital EP『Awesome.ep』

『Awesome.ep』ジャケット

『Awesome.ep』ジャケット

Laura day romance 2nd digital EP『Awesome.ep』

2022.11.16 Digital Release

配信はこちら

収録曲

1. olive drive
2. cardigan
3. maintenance

Laura day romance 1st digital EP『Seasons.ep』

『Seasons.ep』ジャケット

『Seasons.ep』ジャケット

Laura day romance 1st digital EP『Seasons.ep』

2022.8.24 Digital Release

配信はこちら

収録曲

1. 潮風の人
2. tender icecream
3. the boy blue

イベント情報

Laura day romance「Show Sale Ad-lib and Wasting」

Laura day romance「Show Sale Ad-lib and Wasting」

2023年8月30日(水)
会場:新代田FEVER
開場 18:30/開演 19:30
料金:ADV ¥4,400/DOOR ¥5,000(1ドリンク別途)
(問)新代田FEVER 03-6304-7899

Laura day romance「Show Sale Ad-lib and Wasting」

Laura day romance

アーティスト情報

2017年結成 Vo.井上花月、Gt.鈴木迅、Dr.礒本雄太からなるバンド。

2017年結成。2018年1st EPをリリースするや否や各店舗で売り切れ続出し、1st Single「sad number」が耳の早いリスナーの間でスマッシュヒット。サーキットフェスやイベントでは軒並み入場制限がかかり、「SUMMER SONIC」にも出演。これまでにアパレルブランドや化粧品ブランドとのコラボや、Vo.井上花月のモデルとしての活動など、ジャンルを超えたボーダレスな活動も展開。

カルチャー/文学的な歌詞を織り交ぜ、エヴァーグリーンなポップセンスをもつメロディーと、メンバーのバックボーンに存在するUKオルタナティヴサウンドが混ざり合った、ニューエイジの日本語ポップスを紡ぐ新世代。

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