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COLUMN

オタズネモノ by 庄村聡泰 #5

「括らない、括らせない」Laura day romanceのしなやかな反抗

2023.07.25 18:00

2023.07.25 18:00

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どうも読者の皆々様方「オタズネモノ」こと庄村聡泰にございます。まだ梅雨のある日に行われた取材にて、今回ご登場いただいたのは「ポップ」なる一言では到底語り切れぬ個性派にして叙情派、Laura day romance。結成のきっかけとなった学生時代のサークル活動の話や、アコースティックとエレクトリックの波間を揺蕩う音楽性、その影響元や独自の咀嚼と解釈。そして今後の展望までをオタズネモウシテ参りました結果、トータル12,000字オーバーというなかなかの文章量に……(笑)。

バンド名に込めたバランス感覚

──まず、バンド名をガールズ(※)の楽曲「Laura」から取られたという話を聞いたのですが、ガールズ好きだったのは誰だったんですか?
※ガールズは2007年結成、2012年に解散した米インディー・ロック・バンド

鈴木迅(以下、鈴木) ガールズへの気持ちがあったのは僕ですね。

井上花月(以下、井上) 私は知らなかったんですけど、聴いてめちゃくちゃいいバンドだねってなって。

鈴木 固有名詞を入れたかったので、せっかくだったら好きなものから取りたくて、その中で「Laura」が残ったっていう感じですね。

Laura day romance
左から井上花月(Vo)、礒本雄太(Dr)、鈴木迅(Gt)

──ガールズも今出てたらもっと取り上げられてただろうバンドだと思いますが、具体的に何が響いたんですか? 当時の洋楽でも第一線で活躍しているような感じではなかったと思うので。

鈴木 あの時期はアマチュア感みたいなのを持ったバンドがたくさんいたと思うんですけど、ガールズはバランス感覚が他のバンドと違ったんです。すごい純真な人が1人がいて、それを制御する人がいてっていう。そのプロフェッショナルさとアマチュア感のバランスを僕としてはやりたかったんです。そうやって整頓しつつ、アマチュア感にしかないグッとくる感じもある。その象徴がガールズだと思っていたので。

井上 今初めて聞いた、そうだったんだ(笑)。

──鈴木さんが発起人となって、結成は学生のときですか?

鈴木 そうですね、大学2年生の終わりくらい?

井上 私がちょうどその時にやってたバンドを休止したタイミングで、迅くん(鈴木)からボーカルやってくれって連絡が来て、やるってなったんです。

──同じ部活だったんですか?

井上 サークルが同じで。私は大学違うんですけど、他の人たちみんな同じ大学で、私はインカレで通ってて。

──その頃からお互い光るものというか、面白いと思った部分があったんですか?

鈴木 そうですね。コピーバンドサークルだったんで、いろんな音楽をやるんです。誘ったメンバーで、特にかっちゃん(井上)は何やってもある程度“かっちゃん”って感じというか、コピーしても染まりすぎてなくて、コピーの寄せ方もちょうどよくて。あと、音楽性を縛らない声だなって思ったんですよ。J-ROCKっぽい声の人もいたし、洋楽ばっかりやっててその歌い方に慣れている人もいたんですけど、何やっても染まりすぎてなくて、余白の多い印象でした。

──具体的にどのコピーやってる時にそういうのを思ったんですか?

鈴木 椎名林檎さんとか? 大学生って椎名林檎さんになりたいっていう人がめっちゃいて(笑)。でもそれもある程度、距離感をもってコピーしてて。

井上 だって無理だもん(笑)。だから自分なりにやってた。

井上花月(Vo)

──ある意味椎名林檎をちゃんと解釈してた存在だったというか、wanna beにいったところで……みたいなのもあった上での歌い方ができてたってことですか? そもそもその考え自体に行きつかなかったりしますよね。その時のこと、覚えてます?

井上 当時、椎名林檎さんについてそこまで詳しくなかったので、私なりにものまねの練習とかもしてたんですけど、途中で「あ、全然声の出し方が違う人だな」って気づいて。彼女はうまく地声を尖らす感じで出してるように聞こえて、それができなくて。だから寄せることに関しては、若干諦めて歌ってた記憶がありますね。でも椎名林檎さんがコピーした中でも一番私から遠いって思ってたので、一番遠いところを見てくれてたんだなって今思いました。

──面白いですよね。何が刺さったのかって。

井上 びっくりしました。全然もっと違うところかと思ってた。

──逆に当時得意だったレパートリーというか、自分に近い存在だなと思ってやっていた曲はありますか?

井上 チャットモンチーさんとかが小学生の時から好きで、よくものまねしてたので、自分なりに歌い方の癖やコツをつかんで。Cymbalsさんとかも得意だったような気がします。

Laura day romance / fever (official music video)

──井上さんから見たサークル時代の鈴木さんの印象は?

井上 あんまりよくなかったですね。

鈴木 (笑)。

井上 上手い人だなと思ったんですけど、そんなに仲良くなくて。ちょっと距離ある人だなってずっと思ってたので、誘われたときびっくりして。けど、実際デモとか聴かせてもらったらすごくよかったので。

鈴木 微妙だったらやらなかったんかな?

井上 かも(笑)。すごく可能性がある感じがしました。だから一緒にやることにしたんですけど、初対面の印象とか最悪で……最初の最初、1年生がやるライブの時に、それこそ東京事変の「透明人間」のギター弾いてたんですけど、それがめっちゃ上手だったんです。ギター上手な人が高校生まであまり周りにいなくて、「すごい上手でした」って話しかけたんですよ。そしたら、一切目を合わせずに「あざっす」みたいな感じで終わらせられて。

鈴木 最悪やな(笑)。

井上 こいつヤバいやつだと思って、そこから全然仲良くしてなかったんですけど。でも、サークルの中でも上手だし、音楽のセンスとかを見てたらすごくよくて、かっこいい音楽ばっかりコピーしてるし。人間性は置いておいて音楽がいいなって思って(笑)。 後々人見知りなだけなんだなって気づいたんで、仲良くなれば全然大丈夫でした。

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ドラム礒本の加入までのいきさつ

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作品情報

Laura day romance 4th digital EP『Sweet.ep』

『Sweet.ep』ジャケット

『Sweet.ep』ジャケット

Laura day romance 4th digital EP『Sweet.ep』

2023.4.12 Digital Release

配信はこちら

収録曲

1. 書きたい
2. 春はバス
3. アイデア(エレ片コントライブ『Nana aita pe’ape’a』OPテーマ)

Laura day romance 3nd digital EP『Works.ep』

『Works.ep』ジャケット

『Works.ep』ジャケット

Laura day romance 3nd digital EP『Works.ep』

2023.1.25 Digital Release

配信はこちら

収録曲

1. 灯火管制の夜
2. sweet vertigo
3. cry for the moon

Laura day romance 2nd digital EP『Awesome.ep』

『Awesome.ep』ジャケット

『Awesome.ep』ジャケット

Laura day romance 2nd digital EP『Awesome.ep』

2022.11.16 Digital Release

配信はこちら

収録曲

1. olive drive
2. cardigan
3. maintenance

Laura day romance 1st digital EP『Seasons.ep』

『Seasons.ep』ジャケット

『Seasons.ep』ジャケット

Laura day romance 1st digital EP『Seasons.ep』

2022.8.24 Digital Release

配信はこちら

収録曲

1. 潮風の人
2. tender icecream
3. the boy blue

イベント情報

Laura day romance「Show Sale Ad-lib and Wasting」

Laura day romance「Show Sale Ad-lib and Wasting」

2023年8月30日(水)
会場:新代田FEVER
開場 18:30/開演 19:30
料金:ADV ¥4,400/DOOR ¥5,000(1ドリンク別途)
(問)新代田FEVER 03-6304-7899

Laura day romance「Show Sale Ad-lib and Wasting」

Laura day romance

アーティスト情報

2017年結成 Vo.井上花月、Gt.鈴木迅、Dr.礒本雄太からなるバンド。

2017年結成。2018年1st EPをリリースするや否や各店舗で売り切れ続出し、1st Single「sad number」が耳の早いリスナーの間でスマッシュヒット。サーキットフェスやイベントでは軒並み入場制限がかかり、「SUMMER SONIC」にも出演。これまでにアパレルブランドや化粧品ブランドとのコラボや、Vo.井上花月のモデルとしての活動など、ジャンルを超えたボーダレスな活動も展開。

カルチャー/文学的な歌詞を織り交ぜ、エヴァーグリーンなポップセンスをもつメロディーと、メンバーのバックボーンに存在するUKオルタナティヴサウンドが混ざり合った、ニューエイジの日本語ポップスを紡ぐ新世代。

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    #インタビュー#オタズネモノ#庄村聡泰#黒子首

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