フジロックにも出演する世界のトップランナーが旧友に語る
ルイス・コールにとって“良い音楽”とは?新作から辿る音楽遍歴と制作哲学
2023.02.03 12:30
2023.02.03 12:30
サウンドの進化とジェネヴィーヴ・アルターディの存在
──ルイス・コールにも色んな時代があって、例えばKNOWERの『LIFE』らへんはルイス・コールのダブステップ/エレクトロニック時代だった。今回の『Quality Over Opinion』は、ルイス・コールの最初の3枚と『Time』のハイブリッドのような感じがした。それは意識的だった?
アルバムには20曲収録されてるから、そもそも確率的にそのスタイルに触れる可能性が高いというのもあるけど、意識的というより自然にそうなったという感じかな。もちろん新しいこともやってるけど、自分が数年かけて構築したものが出ている。だから意識的だったというより、1曲ずつどういうサウンドにするかを考えていた。
──このアルバムってかなり長い期間制作していたと思うんだけど、例えば1曲目の「Quality Over Opinion」とかは数年前からライブでやってた気がする。
そう! 多分2018年とかにもやってたと思う。例えば「Failing In A Cool Way」とかは2014年に作った曲だ。
──めちゃくちゃ前に作った曲だね(笑)。
そうだよ(笑)。
──1stアルバムが2010年ぐらいだよね? 2014年ってルイス・コール的にはどの時代だった?
良い質問だね。ソロ作品はそのとき作ってなくて、KNOWERの『LIFE』を制作していたよ。
──そっか。『LIFE』が2016年だもんね。
そう。さっきカズが言っていたように、今まで以上にエレクトロニック方面に向かおうと思っていた。スクリレックスをたくさん聞いて、「これをやりたい」って思っていたよ(笑)。
──前にルイスとジェネヴィーヴをインタビューしたとき、KNOWER結成当時について聞いたと思うんだけど、そのとき「2人でハードで激しいファンクをやろう」って言ってたのが印象的だった。
そう。最初、ジェネヴィーヴが曲のアイディアを持ってきて、僕はクソ弱くて普通のサウンドを乗せたんだ。みんながそういうものを求めていると思っていたし、安全にやり過ごそうと思っていた。そしたらジェネヴィーヴは「このクソみたいなものはなに? なんでいつも友達とライブするときにやってるようなクレイジーなことをやらないの?」ってちょっと怒ったんだ(笑)。だからそこから「ファンクグルーヴをやるならできるだけハードに、バラードをやるならできるだけ深く」という理念を持ってKNOWERの音楽を作っていった。
──そのジェネヴィーヴとの経験は、ルイス・コールのソロ作品にも大きく影響しているようにも感じる。
もちろんそうだよ。まだそのときは自分のスタイルを探っている状態だったし、初期のKNOWER作品は本当2人で実験している感じだった。
──それ以前のルイスは結構アコースティックギターを使ったり、ドラムもマックブックのマイクで録音したような音のものが多かったし。
そう! 曲によっては本当にマックブックのマイクでドラムをレコーディングしたよ(笑)。初期の何曲かは床にマックブックを置いて、内蔵マイクでレコーディングをした。
──良い感じにコンプレッサーがかかるよね(笑)。
クールでロックでファンクなサウンドになるよ。イカれてるサウンドだけど、当時自分がやってたサウンドにぴったりだと思った。
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