愛とリスペクトを寄せ合うタッグが7年ぶりの共作を語る
田村芽実×吉澤嘉代子の“身を削らない”ものづくり論 二人の「書きたい」はどこから生まれる?
2026.09.30 18:00
2026.09.30 18:00
欠落も獲得の一つだと思えるようになった
──台本を読ませてもらって、作品の中に通底する喪失感や欠落感に惹かれました。お二人は「失うこと」や「他の人は持っているのに自分だけ持っていないこと」とどう向き合いながら生きていますか。
田村 欠落感に関しては、私は日々感じまくりです。この仕事をやる上で「変わってる」って褒め言葉だと思いますし、若い頃はそう言われたらうれしかったんですよ。でも、さすがにここまで来たらちょっとヤバいかもなと。たとえば、ガス代が払えないとか(笑)。お金はあるんですよ。でも、コンビニまで支払票を持っていくのとか、引き落としの手続きができなくて……。
吉澤 めちゃめちゃわかる。本当に手続きができない。
田村 知らないところでサブスクとか払いまくっちゃって。
吉澤 わかる! わかりすぎる! 公共料金とかね。
田村 もう本当にダメです。
吉澤 確定申告とか。
田村 先延ばし先延ばしになっちゃう(笑)。
吉澤 本当、いろんな無駄なお金を払ってきたよね(笑)。

田村 そういうことで、すごい落ち込んだりします。またその落ち込み具合も半端なくて。当たり前のことができない自分に嫌気がさしちゃう。
吉澤 私は子どもの頃からあんまり社会と接してこなかった感覚があって。大多数の人が通る道を通ってないことにコンプレックスがずっとあったんです。でも、何かを手に入れられなかったことって、得られなかったという感覚を得られてるということだと思うんですよ。それでまた1曲書ける。だから、欠落も獲得の一つだと今は思います。
田村 みんながやったことをやっていないというのは私もすごいわかります。私も中学のときはもう仕事をしてたから、半分も学校に行けなくて。部活はもちろんやってなかったし、学校を途中で早退して仕事に行くみたいなことが普通にあったし。高校は通信で、そもそも学校という感じでもなかった。仕事って会社とかグループとかファンの方とか、自分じゃない他者のために頑張るじゃないですか。でも学校のイベントはもっと自分たちのためって感じがして。そういう目標に向かって、みんなで力を合わせた経験がないことにコンプレックスがあって、今回の公演は大きな文化祭じゃないですけど、昔できなかったことを今やり直してるような感覚がありますね。
吉澤 なるほどなあ。
田村 学校に行っても、女の子と遊ぶことはたまにあっても、アイドルだったんで、男の子と遊ぶみたいな記憶は一つもないですし。
吉澤 そうなんだ。
田村 それこそ、例えば修学旅行ひとつとっても、誰にどう写真を撮られて切り取られるか分からないから、男の子の隣を歩かないようにしよう。とか、すごく気を張っていたんですよね。
吉澤 そうだよね。男の子とプリクラ撮っただけで大変なことになるもんね。

田村 すごい憧れだった! 男の子とプリクラか〜って。
吉澤 楽しそうだよね。
田村 あります?
吉澤 あるよ(笑)。
田村 可愛い〜!(笑) 嘉代ちゃんの音楽が好きなのも、嘉代ちゃんの持つ童心みたいなものに共鳴するところがあるからなんだろうなって思います。
──最後にもう一つ質問です。劇中に「夢」という言葉が出てきます。ぜひお二人の今の夢を聞かせてください。
吉澤 私は自分で曲をつくって歌うという、自分にとっていちばんほしかったものを手にできたので、これができれば長く続いたらいいなというのが夢です。おばあちゃんになるまで歌えたら、これ以上のことはないなと思っています。
田村 もうずっと歌い続けてください!
吉澤 めいめいの夢は?
田村 私も、大好きな大竹しのぶさんと親子役で共演できたり、グランドミュージカルで主演をやらせていただいたり、今年いろんな夢が叶っちゃったところがあって。だからこそ、これからは誰かの生活に密着して、その人の夢を叶えるお手伝いをしたいという新たな夢に向かっていきたいなって。今回、児童養護施設の方へのご招待枠を設けたのもその一つで、いずれは児童養護施設をつくるとか、そういったことにも新しくチャレンジしていきたいと思っています。
吉澤 すごくいいと思う!
田村 それこそ自分の子どもを持つのもいいけど、里親になったり、児童養護施設をつくったり、血のつながってない子どもたちを育てて。大きくなったその子たちが、おばあちゃんになった私のもとに「大丈夫?」と様子を見にきてくれる未来も、自分の生き方に合ってる感じがするなって。いろんな子どもたちと交流を持って、その成長を見守ったり、手助けができたら。




