2026.07.21 18:00
2026.07.21 18:00
相手に委ねることも、大事だなって
──ここからは改めて北山さんの俳優業について聞いていきます。今回もそうですが、北山さんというと、『ただ離婚してないだけ』とか『君が獣になる前に』のようなダークな作品が印象的です。今の自分に求められているものについてどう捉えていますか。
確かにダーティーな作品に呼んでいただく機会はありますが、僕自身の役柄としては結構その中で翻弄されているというか、追い込まれる役が多いんですよね。求めていただけるなら、それには全力で応えていきたいし。そういう役の印象が強ければ強いほど、『産まない女はダメですか? DINKsのトツキトオカ』みたいに全然違う役が際立つ。振り幅としてはとても面白いなと思っています。
自分の中で、後輩から見たときに「面白いところをついてるな」と思われるポジションでいたいというのがあって。僕にとっては、それが風間(俊介)くんなんですけど。風間くんはマルチにいろんな役をやってる、まさにカメレオン。昔からずっと「かざぽんってすごいよね」という話をしていて。僕はずっと役者をやるならカメレオンであるべきだと考えていたので、自分も少しは近づけているのかなと思うと、いい年齢のとり方ができているのかなって、ちょっと自信になります。

──2020年代に入って以降、ぐっとドラマ出演が増えたのかなという印象があります。
前からずっとやりたいという話はしていたんです。そんな中、テレ東さんから『ただ離婚してないだけ』のお話をいただいて。あそこで思い切り自分を追い込めたのが大きかったと思います。やっぱりそういうチャンスってみんながもらえるわけではないので。『ただ離婚してないだけ』は1話目からいきなり濡れ場があって。そういう役をやれるのは、以前いた事務所では北山くんしかいないと言われて、やる気になっちゃったんですよね(笑)。なんで俺なんだろうとは思いつつ、そう言っていただけるならとことんやってやるよという気持ちでやっていたら、気づけば今に至るという。

──北山さんのあの死んだ目が良かったんですよね。
「からっぽの涙を流す」とかト書きに書いてあるんですよ(笑)。めっちゃむずいじゃないですか。もうずっとそういう戦いでした。しかも現場では時間も限られていて、何回もできない。「じゃあ一発本番で行こう。用意OK?」と聞かれて、とにかく出し切るみたいな。そういう世界線でずっと戦ってましたけど、今思うと本当にいい経験でした。
──『氷血』でも終盤はゾクゾクするような恐ろしい表情がたくさんちりばめられていました。
たぶんああいう場面って「うおおお」って感じでやっちゃうと、逆に怖くなくなると思ったんですよね。動の怖さより、静の怖さを表現したかった。あのあたりは、こんな人が実際にいたら怖いなという想像を膨らませながら演じていました。
あと、テクニック的なことで言うと、たとえば顔を踏むみたいなアクションも、カメラがどこに構えているかが大事なんですね。なので、そのあたりはカメラマンさんと「そっちから撮るなら、僕はこういったほうがいいですか」みたいなコミュニケーションをしっかりとりながらつくっていったという感じです。

──演技に対する考え方がいい意味ですごく客観的なんだなと思いました。人によっては、カメラ位置を考慮して芝居をするということをあまり望まない演者さんもいると思うので。
そこはやっぱりホラーだからというのが大きかったです。芝居の感情を優先したい気持ちもわかるけど、ホラーにおいてはそれ以上にカメラをどこに置いて、どういうふうに動かすかというギミック的なことのほうが大事だって思っていたので全然オッケーでした。
逆に繊細な芝居を求められる作品では、やっぱり芝居を優先してほしいというのは僕にもあるので、そこはもう監督と相談ですよね。
ただ、僕自身の考えとして、あまり自分のアイデアや意見に凝り固まらないほうがいいんだろうなというのはあります。自分では「こっちのほうがいいのにな」と思っていたものが、放送を観たら「なるほど。監督の狙いはこういうことだったんだ」って腑に落ちることが結構あったので。特にお芝居においては、相手に委ねることも大事だなって実感しています。
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