2026.04.25 17:00
櫻坂46「5th YEAR ANNIVERSARY LIVE」より ⒸSeed & Flower LLC
2026.04.25 17:00
期別曲が教えてくれた未体験の音楽ゾーン
圧巻だったのは続く「桜月」であった。自らの思慕を胸の奥へと秘めながら、それを決して表に出すことなく想い人を送り出す歌詞の世界と会場を見守る空が交錯した瞬間、感極まって涙を見せながらパフォーマンスするセンター守屋麗奈を始めとするメンバーたち一人一人の姿がこの世のものではない程に美しく、儚く映った。

そしてここからがもう、圧巻の連続であったのだ。桜(櫻)を題材としながらもまた全く違った趣きを持つ楽曲「マモリビト」が続けられる。三期生楽曲である当曲のセンターを務める小島凪紗はステージ中央のピアノに座っており、YouTube「櫻坂チャンネル」内の「櫻坂軽音楽部」でキーボードを担当していることでも知られる彼女はそのままリリカルなタッチで「マモリビト」のメロディを切々と奏でる。その中で壇上に姿を現したのは三期生ではなく、四期生。当曲センターの小島がピアノとして、楽曲を歌でもダンスでもなく演奏家として先導する中、まさに歌詞にある通りの「若く(ここではメンバーの実年齢ではなく経歴として解釈)強い後人」である四期生がそのパフォーマンスを担ったのである。「桜月」に続いて楽曲の世界と現実、眼前で繰り広げられている世界が完璧に繋がる瞬間を目の当たりにさせてくれたのだ。


続く「光源」がまた凄かった。浅井恋乃未がセンターを務める四期生楽曲だが、こちらはグループが得意とするアップテンポな四つ打ちのビートを下敷きとしていながらも上物として鳴らされている楽器のほとんどがアコースティック楽器であり、音像も他の楽曲、それこそ「承認欲求」に代表されるような重低音を意図的に抜いており、アップテンポの四つ打ちビートを鳴らしながら浮遊感を感じさせるという斬新な形に調整(ミックス)されている、いわば櫻坂46流のフォークトロニカ(アコースティック音楽と電子音楽を融合させたジャンル)であり、しかもフォークトロニカのテンポは基本スロー〜ミディアムなのでそもそも“アップテンポなフォークトロニカ”という形自体が極めて稀有。さらに当曲はサビ前、そしてサビの中にもダイナミックな運指のスパニッシュなアコギまでもが大々的にフィーチャーされており、なのにも関わらずなぜか互いを邪魔しあうことなくサビのメロディと共存できているという本当に世界的に見ても特異な構造を持った楽曲(に、自分は聴こえている)なのである。
“アップテンポなのにフォークトロニカでありつつ、なぜか各所でスパニッシュギターが弾きまくられるアイドルの期別楽曲”だなんて、これは少なくとも自分の中では前代未聞の未体験の新感覚。筆者はドラマーのため、このくらいの言語化が精一杯なのだが、コードなどの知識があればもっと具体的に説明できるのだと思う。興味が尽きないので、どなたかの音楽的な解説をマジで聴きたい。

そんな四期生の「光源」の後に登場した三期生は、「4thアニラ」のレポで“乱暴に言えばアイドルグループによるポストロック、あるいはシューゲイザー的なアトモスフィアへの超弩級カウンター”と言語化させていただいた「静寂の暴力」でアンサー。楽曲の凄まじさもさることながら“アイドルのライブに無音をもたらす楽曲として完全に定着してしまった”ことがさらに凄まじい。これはもう語るより音源を聴き、MVを観てもらった方が早いと思うので、先の「光源」と合わせて是非。いやはや期別曲の狂いっぷりが凄まじいぞ櫻坂46。

その凄まじさに完全にやられてしまっているBuddiesを叩き起こしたのは武元唯衣だ。ステージ後方のモニターに燦然と「CHOREOGRAPHER DANCE TRACK YUI TAKEMOTO」の文字が輝き、続くダンストラックの振付は全て武元の手による物であることが明かされる。「The growing up train」での活動をもっての卒業が発表されている中で手掛けたこちらもまたまた、凄かったのだ。メンバーは入れ替わり立ち替わり、鏡映しのシンクロダンスや椅子に扉に大型の手持ちライトなど道具を使用しての演出も盛り沢山。ラストに武元がポーズを決めると上空に多数のドローンが出現し、隊列を変え、上空に「Addiction」のネオンサインを描き出すとそのまま高らかに「Addiction」がパフォーマンスされる。

続く「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」でBuddiesの熱狂が最高潮へ高まろうとする中でドロップされた「何歳の頃に戻りたいのか?」では、センター山﨑の煽りシャウトで場内は大爆発。からの「マンホールの蓋の上」冒頭の“Whatcha say we do?”でのBuddiesたちの張り裂けんばかりのコールでまたも大爆発。個人的には当曲のメロディがまた上空へ高らかに抜けていった瞬間、攻撃的なトラックメイクに上がるばかりであった「マンホール〜」のサビがいかに歌謡曲的な艶やかさを持つ美メロであったことに今さら気付かされた次第だ。

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