映画『パリピ孔明』現場で感じたことは?独自の創作観に迫る
「得意不得意はわからないけど、演じるのはすごく楽しい」詩羽がフラットに向き合う自分らしさ
2025.04.30 18:00
2025.04.30 18:00
現在連載中の原作マンガも大人気、2023年制作のTVドラマもSNSでトレンド1位を記録するなど、話題を振り撒き続ける『パリピ孔明』が映画化。『パリピ孔明 THE MOVIE』では、現代に転生した天才軍師・諸葛孔明(向井理)とアマチュアシンガー月見英子(上白石萌歌)が、日本を代表する3大音楽レーベルが頂点を競う史上最大の音楽バトルフェスに参戦し、ライバルたちと激しい戦いを繰り広げていく。映画のライブシーンでは数々のアーティストが登場して大迫力のパフォーマンスを展開。『パリピ孔明』ならではの笑えるシーンもてんこ盛りだが、同時に音楽の豊かさも存分に味わえる、最高のフェス映画になっている。
そんな作品で英子と鎬を削ることになるシンガーソングライター・shinを演じているのが詩羽だ。兄である孔明のライバル司馬懿の末裔・司馬潤(神尾楓珠)と協力して音楽の世界に羽ばたこうとする彼女が放つオーラは、水曜日のカンパネラでもソロでも活躍を続ける詩羽でなければ表現できなかったものだろう。これまでも印象的な役をいくつも演じてきた彼女の今作への思い、そしてshinというキャラクターを通して見えてくる、詩羽としてのアーティスト観にも迫った。

shinのことを結構羨ましいなって思うんです
──詩羽さんはドラマ版の『パリピ孔明』にも本人役で出演されていましたが、今回は新たな役での出演となりました。
はい。ドラマの方では詩羽として出させていただいて、今度はまた別の役っていうのがなかなかない機会で。おもしろいなって思いましたね。
──しかも今回演じられたshinというキャラクターはシンガーソングライターという役どころで。実際に詩羽さんが生きてきた世界とも通じ合うところがあったんじゃないかなと思いましたがいかがでしたか?
そうですね。ミュージシャンという意味ではすごく通じている部分もあったと思います。だけど水曜日のカンパネラとは全然違う方向性だなっていうのは思っていたので、そこの差は出していきたいという気持ちで演じさせてもらいました。shinとして歌うときはまっすぐさ、素直さをいちばん意識していました。
──それは普段、水曜日のカンパネラやソロで歌っているときとはまったく違う感覚なんですか?
水曜日のカンパネラで歌っているときは、あれはもう演じるというか、1つのキャラクターとして歌い上げているところがあるんです。だけどshinとしては、歌うことが楽しいっていう純粋な気持ちがあるのかなと思ったので、そこは意識しましたね。
──shinの性格や辿ってきた道を考えたときに、自分と通じる部分を感じたりしましたか?
まっすぐさは同じなのかなと思いますね。だけどshinのほうが素直で、私の方が素直じゃない(笑)。そういう違いがあるなとは思います。
──詩羽さんは素直じゃない?
そうですね。shinほどまっすぐに歌を誰かに届けるっていうことが私にはできないので。

──shinを演じる上で、何か特別にやったことや考えたことはありました?
そんなに多くは考えてないですが、素直でいることっていうのはいちばん意識していました。自分だったら言えないようなことも、shinならきっとまっすぐ言うんです。まっすぐ人をひとりずつ見て、まっすぐその人に純粋な気持ちを伝えられる。そこに決して悪意はなくて、本当に素直で、本当に歌が大好きで、それこそお兄ちゃん(司馬潤)のことも本当に大好きっていう。その素直さは私にはないので、自分の素直じゃないところを出さないようにしようっていうのは気をつけてました。
──確かに、いろいろな策謀が渦巻くなかで、shinだけがめちゃくちゃ純粋に音楽に向き合っている感じがありますよね。
そう。私はそういうshinのことを結構羨ましいなって思うんです。ああいうふうに素直に音楽を愛していて、だからこそたぶん音楽にも愛されている。誰に対してもまっすぐな気持ちでぶつかっていける子だと思うので、その素直さにはやっぱり憧れる部分はありますね。

──でも、音楽への愛情みたいな部分では詩羽さんもshinと変わらない部分がありますよね。
いやいや、全然shinのほうが大きいんじゃないですか?(笑) 私は音楽は好きですけど、shinほどまっすぐ音楽を愛して音楽に愛されるっていうのとはちょっと違っていて、おもしろい空間を作り上げてパフォーマンスするクリエイターとしてやってる部分もきっとあるので。音楽を純粋に愛するまっすぐな思いはshinのほうが全然あるのかなって。
──なるほど。shinとして歌った「again and again」という曲も普段詩羽さんが歌っているのとは違うタイプの曲で。崎山蒼志さんによる提供曲ですが、あの曲はどうでした?
崎山くんだからこそっていう曲だと思いますね。本当に私には作れない曲だなっていうのは純粋に思いましたし、それをshinとして歌う上で、普段の歌い方とどう変えるかとかはちょっと考えながら歌ったりしました。
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