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INTERVIEW

ベテラン俳優たちの会話劇『海をゆく者』が9年ぶりに復活

「70歳だなんて笑ってしまう」小日向文世が今もなおストレートプレイで緊張する理由

2023.12.15 12:00

2023.12.15 12:00

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自分たちでも今回の作品が貴重だなと思う

──年齢を経ることで、作品に対して印象が変わった部分はありますか?

自分自身が演じるロックハートという役よりも、平田さんが演じるシャーキーと克実君が演じるリチャード、この兄弟の最後の会話とかにぐっとくるものはありますね。ただ、稽古してても70歳の親父同士で顔を近づけあってると笑いそうになっちゃうんだけど(笑)。でもそれがいいんですよね。よくやってるな俺たち、ってジーンとしちゃう。

──それこそ共演者の皆さん、かなり長いお付き合いなわけですよね。

だって、大谷なんて自由劇場の同期なんですよ? ちょうど30年前にシアターコクーンで僕は『ハムレット』をやらせてもらったんだけど、そのときのローゼンクランツ役が浅野。平田さんは僕が芝居を始めた頃はもう活躍していたし、みんなに知られる存在だった。高橋君なんかも、彼がまだ、離風霊船といういう劇団にいた頃からの付き合いだし。若いときはやっぱり、みんなそれぞれ尖ってましたよ。でも今はもう、全員がいい感じで丸くなってますね。

──ちなみに、一番丸くなったと思うのはどなたですか?

……大谷かなあ(笑)。自分の老いにすごく自覚的な気がする。ただ、大谷の場合は自分で劇団を立ち上げたりとか若い頃のエネルギッシュさを知ってる分、ギャップでそう思うのかもしれないですね。でも本当に、多分もうこのメンバーが揃うことは二度とないと思うんです。だってあと5年後だったらほとんどが75歳でしょう? 全員が元気で居られるかどうかわからない。だからこそ、今回の作品が貴重だなと自分たちでも思うんですよね……こんな70近いおっさんばかりが集まるような舞台、若い人が面白いと思ってくれるかな? という不安はあるけど(笑)。

──そこは大丈夫だと思います! 稽古の合間は皆さんどんな会話をされてたりするんですか。

どうしても芝居以外の話で盛り上がるんですよね。ここが痛い、どこが調子悪いとか、あとよく盛り上がるのは酒を飲んだときに夜中におしっこで目が覚める回数(笑)。初演のときはそんなことはなかったんだけどね……いや、再演のときはしてたな(笑)。

2009年『海をゆく者』舞台写真(撮影:阿部章仁)

──昨年、今年と舞台出演も続きましたが、意識的に舞台の本数を増やしているという部分はあるんでしょうか?

それは、本当にたまたまなんですよ。2021年に松尾スズキ君演出の『パ・ラパパンパン』に出演して、そこからこの作品で6作目なんですけど、実はそのときは既に合計6本出ることが決まってたんですよね。でも、どれも面白そうだし、断れない作品ばかりで(笑)。そういうのがたまたま続いてしまったという。その前までは1年に1本くらいのペースにしていたんですが、映像のお仕事もあるし、物理的に無理かな……というのもあったので。

──舞台出演が多くなる日々を改めて経験して、改めて「演劇・舞台」について思うことはありますか?

やっぱり「舞台」は大変だな、と。とにかく本番中はリラックスできないし緊張しますね。もちろん映像のお仕事も大変だけど、生身のお客さんの前に自分を晒すことはないわけで。そういう意味で、舞台の緊張感は別ものですね。そう考えたら劇団時代には年間4〜5本とかシアターコクーンに立ってたわけだから、我ながらよくやってたなあと。あれも贅沢な時間だったけど、劇団が解散してからいろんな作品に声がかかり、そうするとそれぞれ違ったアプローチの仕方をしていかなきゃいけない。劇団って目指す方向、全体として向いてる方向が一つだから、あんなことができたのかもしれないですね。

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ちょっと変わった音楽の楽しみ方

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作品情報

海をゆく者

『海をゆく者』メインビジュアル

『海をゆく者』メインビジュアル

海をゆく者

2023年12月7日(木)~2023年12月27日(水)
会場:PARCO劇場
上演時間:約3時間(休憩20分含む)予定
料金(全席指定・税込):
・10,000 円
・ペアチケット18,000 円(枚数限定/一般発売日より先着販売/当日券取扱なし)
・U-18チケット3,000 円(観劇時18歳以下対象)
・U-30チケット5,000 円(観劇時30歳以下対象)
新潟、愛知、岡山、福岡、広島、大阪でも公演予定

公式サイトはこちら

スタッフ&キャスト

作:コナー・マクファーソン
翻訳:小田島恒志
演出:栗山民也
出演:小日向文世、高橋克実、浅野和之、大谷亮介、平田満
美術:松井るみ/照明:小笠原純・木下尚己/衣裳:前田文子/音響:高橋 巖/ヘアメイク:佐藤裕子/演出助手:坂本聖子/舞台監督:加藤 高・松嵜耕治/宣伝美術:河野真一/宣伝写真:岡田貴之/宣伝ヘアメイク:西岡達也/宣伝スタイリスト:森保人/宣伝PR:る・ひまわり/宣伝映像:尾野慎太郎/パンフレット編集:金田明子/プロデューサー:佐藤 玄/制作:千葉文香・梶原千晶/製作:宇都宮誠樹/後援:アイルランド大使館/企画・製作:株式会社パルコ/後援:TOKYO FM

小日向文世

アーティスト情報

1954年1月生まれ。北海道出身。”77年にオンシアター自由劇場に入団。
”96年の解散以降は映像でも活躍。”08年フジテレビ系列連続ドラマ『あしたの、喜多善男』では初主役。”11年の舞台『国民の映画』で第19回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。”12年公開の映画『アウトレイジビヨンド』では第86回キネマ旬報ベスト・テンで助演男優賞を受賞。“16年から『ぶらり途中下車の旅』の3代目のナレーターを務める。最近の出演作としてTBS『下剋上球児』がある。

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