2023.11.09 17:00
作品を見て全くの別人だと思ってほしい
──秋田さんは今作が舞台出演3作目となります。舞台でのお芝居の面白さはどういうところに感じますか?
お稽古の時間がすごく長くて、何回も繰り返してお稽古をする。そのうちに、自分が最初に考えていたものと、完成形で変わっていることもよくある。それが、面白さの一つかなと思います。お稽古期間に、みんなで意見を出し合って、より良いものにしようという空気感がすごく楽しくて好きです。あとは、全公演を通して1回も全く同じお芝居がないというのも面白いなと思う点で。一つ前に出演した『幽霊はここにいる』では、演出家の稲葉賀恵さんが毎朝「今日はここをこうしてください」とダメ出しをしてくださって。それが、“やろうとしていることは同じだけど、お芝居は一緒じゃない”ということではなく、もはや、やろうとしていることから違うような変化だったりするんですよ。観ている方でも気付くくらいの違いもあったりして。同じ脚本でも演出によって全く違うお話になる。それもすごく面白いなと思いました。
──“お芝居を作っていく”という工程がお好きなんですね。
そうですね。それで良いものを見せて、笑ってくれたり反応があったときにすごくうれしくなります。それでいうと杉原さんはすっごく反応してくださるんですよ。稽古を見ながら笑ってくださるので、ありがたいしうれしいです。
──そんなカンパニーで作る舞台『SHELL』ですが、本作で秋田さんご自身としてはどのような成長や変化をしたいと思っていますか?
今回は、“空間を体で表現する”ことが多くて、日常生活ではやらない動きもするんです。今は苦戦しているのですが、それはお芝居にも通ずるところだと思うので、ちゃんと伝わるような動きができるようになりたいなと思っています。
──舞台『SHELL』は、“人間の「貌(かたち)」とは何か”をテーマに作られた物語です。これにちなんで、秋田さんを形作ったものを聞いていきたいのですが、真っ先に思い浮かぶものはなんですか?
雑誌の「nicola」ですね。もともと芸能の仕事に興味はなかったのですが、「『nicola』の世界に入りたい」と思ってオーディションに応募したことがきっかけで、今の私があるので。私、本当に「nicola」を愛読しすぎて、発売されてから次の号が出るまでの1ヵ月、毎日学校から帰ってきたらずっと読んでいて。どのページに何が載ってあるのかを記憶していたんですよ、「あの企画って何月号だっけ?」と聞かれてもすぐにパッと出せるくらい。オシャレを好きになったきっかけも「nicola」です。といっても読んでいて「おしゃれってすごい!」と思ったわけじゃなくて、「nicola」のモデルさんがキラキラしすぎて、読んでいたらいつの間にかおしゃれも好きになっていたという感じで。それくらい「nicola」には影響を受けていますし、本当に「nicola」には感謝しています。
──以前ピアノとギターを弾いていたことがあるそうですが、音楽はよく聴かれるんですか?
はい。好きなのはビートが効いているもの。でも基本的に友達が聴いている曲のなかで「いいな」と思ったものがあればそれを検索したり、おすすめで出てきたものを聴いたりと、結構何でも聴くんですよ。その中で気に入った1曲をエンドレスで聴く感じです。最近は1nonlyという海外のアーティストの曲をよく聴いています。
──上京して2年以上。地元の京都には今でも帰られますか?
なかなか帰れないのですが、時間があればすぐ帰りたいくらい京都は大好きです。時間がゆっくり流れている感じがして、その空気感が自分に合っているのかなと思います。それこそ「nicola」の企画で京都に撮影に行って、舞妓さんも体験したんですよ。観光客の方にたくさん写真を撮られた思い出があります(笑)。いつか京都を舞台にした作品にも出てみたいですね。
──俳優としての今後の展望はいかがでしょう。
どんな役でも演じられる女優さんになりたいなというのはずっと思っています。私が出ているいろいろな作品を見て、全くの別人だと思ってもらえたら一番うれしいです。実際にそう言っていただけることが時々あって。「あの作品に出ているの、気づかなかった!」って。そう思っていただけるのがすごくありがたい。どんな役でも馴染めて、どんな俳優さんともお芝居ができる女優さんになりたいなと思っています。