2023.10.13 19:00
2023.10.13 19:00
今はいろいろな青春を書きたい(えい)
──話を聞いていてすごく思ったけど、今回5曲全部を通して「これがえいです」っていうものになっていますよね。自分がどんな音楽に影響を受けてバンドをやってきたのかとか、この何ヵ月かの間に何と向き合って何を受け入れたのかということとか、そもそもなんでバンドをやってるのかっていうこととか、全部をすごく正直に書いてる。
えい わあ、そうか。でもちょっと躊躇したんですよ。bokula.は俺だけがやってるバンドじゃないから、自分自身のことだけを書いてどうするんだろうって、ここ(メンバー)に対してなんとなくの申し訳なさを覚えてたんですよ。でもそれがずっと障害だったというか。自分はこう書きたいけど、やっぱりメンバーに対するリスペクトがあるから自分だけを押し売りすることはできないなってなんとなく思ってたんですけど、それこそ本当に経験というか、このバンドを4年くらいやってきて、一回それを振り切って書いてみようとなったら「案外こっちの方がちゃんと伝わるんじゃないか」みたいなことに気づいてきて。そうですね。そこはわりと殻を破りました。
──「こんな僕ですが、何卒」はまさしくそうですよね。「僕です」っていう。
えい これは本当に葛藤しましたね。分かる? この気持ち。作詞作曲ならではの。
──そこがえいくんという人のいいところであって。普通曲書く人は「俺を見てくれ、俺のことを知ってくれ」が強い人だと思うんですよ。でもその時に「やっぱりバンドだから」とか「4人でやっていくから」とかいろんなことを考えるという。
えい 極端な話、この曲を書いちゃったら、たとえば今度はしゅんすけだけのことをテーマにした曲を作ってくれよとか……そういうことをしゅんすけが言ってくるとは思わんけど、そういうふうに取られちゃうんじゃないかって。
ふじい 俺のことを曲にしたところで、別にいい曲にはならんと思ってるけんな(笑)。
えい それは俺も一緒やけん。でも、自分にしかないストーリーはあるわけやん。だからそういうところで俺だけ出しゃばっちゃっていいんやろうかみたいなのが一応ありましたね。でもそれは本当に気を遣いすぎてたなって。本当にぶっちゃけ言うなら、この曲が僕はいちばん好きです。この楽曲が一番素直に書けたし、ライブでもきっとみんな好きになってくれるだろうし。なんかこれを作ったことで自分の中でドアが開いて、どこでも行けるなって思うんですよね。
ふじい 俺のこと曲にするってなったらあれになるもん。「応援団長やってて、彼女はそれなりにいたし」みたいなことになる。なんもおもんない。
──応援団長やってたんですか?
ふじい やってました。応援団長やって、卓球部で……卓球部だったんですよ。で、部長でも副部長でもないのに応援団長やって、相手は野球部のキャプテンで。
えい みんなストーリーがあるんですよね(笑)。
──そうやって自分に正直に書いて、しかもそういう曲を一発録りでバンド感をもって録音するという。まるで結成したてのバンドみたいですね。
えい 確かに。新しいことをやってるけど、意外と原点回帰なところはあったのかもしれないですね。
──こうして「青春」をテーマにして『Phantom youth』を作ったわけですけど、これを作るなかで気づいたこととかは今後にも生き続けていくでしょうね。
えい そうですね。「青春」というものに対してフォーカスを当ててみて、次のことも考えるわけですよ。この先もいろいろなものが決まっている中で、今後どうやってbokula.を作っていこうかと思っていて。軸は青春なんですけど、わかりやすくいえば、バスケ部の学生もいれば吹奏楽部の学生もいて、書道部の人もいるわけじゃないですか。いろいろな青春があるわけで、そういう別角度の青春を書きたいなというのを今は思っていて。
──自分にとっての、だけではなくということですね。
えい たとえば、サッカーやって全国大会に出て、という青春は別に、書道部からしたら全然青春ではないじゃないですか。それを視点を変えて見てみたいなという。ちょっとたとえがむずかったけど。
さとぴー わかる。
ふじい すごいわかる。
えい そういうことを考えながら今後曲を作っていけたらなと。そのためにもこれからの経験がすごく大事になってくるんじゃないかなって思ってますね。でも誤解されたくないのは、そういう人のために作るというよりは、そういう人たちの人生観を見て自分が思ったことを書きたいので。あくまでもテーマは自分自身というのは常に持ちながら書きたいなと思ってますね。