タクフェス『北の島から』で再び味わう芝居の面白さとは
憧れの先輩は今も“カッコいいお姉さん”?矢島舞美×石田亜佑美が見せ合う新たな一面
2026.10.19 18:00
2026.10.19 18:00
誇れるものは特にないけど、そんな埼玉が大好きです
──では、今回の脚本を読んだ感想を聞かせてください。
矢島 宅間さんの作品って、家族愛とか、人と人とのつながりとか、とても温かいものをテーマにされているんですよね。涙もあれば笑いもあって、見てる人を飽きさせない驚きの展開もある。そこがすごく魅力だなと思います。
石田 宅間さんはいつもまっすぐな愛を描かれている印象があります。今回も脚本を読ませていただいて、難しく考えなくても自然と涙が出てくるような作品になるんじゃないかなと思いました。
──タクフェスは、作品そのものも間口が広くてわかりやすいですが、開演前から本当にお祭りのような雰囲気があって、観劇ビギナーでも楽しめるところがいいなと思います。
矢島 なので、お時間に余裕のある方はちょっと早めに劇場に来ていただけるとうれしいです。舞台ということで構えて入ってくる方もいると思うんですけど、タクフェスではそういったお客さまの心を解放させる意味も込めて、開演前からいろんなコーナーを用意しています。ぜひそこで笑って心をほぐしてほしいです。
石田 早くに来たら、お菓子がもらえるかもしれません(笑)。
矢島 そうだね。お菓子、うれしいよね(笑)。
石田 お客さま参加型のじゃんけん大会があって。なんだかんだ、そういう子どもの頃にやってた遊びがいちばん面白いんですよね。開演を待ちながら、ふっと童心に帰ったような気持ちになれると思います。
矢島 開演直前になると、私たち演者が気合い入れをしてる声が客席に聞こえてきて。それにお客さまが拍手で応えてくださるなど、タクフェスは演者もお客さまも含めてファミリー感がすごいんです。そこをぜひ楽しんでいただけたら。
──お二人はどちらもタクフェス経験者です。宅間さんからどんなことを学びましたか。
矢島 宅間さんって、いかにリアルであるかを大事にされるんですね。たとえば、私はずっと舞台って正面を向いて台詞を言うイメージがありました。でも、宅間さんはそういった「舞台だからこうしなければいけない」というルールに縛られず、その場で生きることをいちばんに考えていて。もしそっちのほうが自然なら、客席に背中を向けてもいいというふうにおっしゃるんですね。単に演出をつけるのではなく、まるでワークショップみたいに役者に考える時間を与えてくれる。役として生きるためにも、まずは自分と向き合う時間が大切なんだと教えてくれたのが、宅間さんでした。
石田 わかります。宅間さんの求めるお芝居って、すごくナチュラルなんですよね。役者って、どうしても先の展開をわかっているから、そこをベースに感情をつくろうとしてしまうんですけど、それをすると「まだ何も起きてないでしょ?」ってすぐに宅間さんに見抜かれるんです。そのたびに「そうだな」「確かに」と思うことばかりで、前回の『くちづけ』を通して気づくことがたくさんありました。

──頭の中にすでに入っている台詞を、まるでその場で初めて思ったように口にするのってすごく難しいことだと思います。どうやってその力を身につけましたか。
石田 私はとにかく相手のお芝居を受け取ることを意識していました。私のやった『くちづけ』は何度も再演されている作品だったので、過去公演の映像を観て、そのお芝居をなぞろうと思えばなんとなくできちゃうんです。でも、宅間さんは「今の(金田)明夫さんと芝居をして」とよくおっしゃっていて。目の前で明夫さんが見せる動き、表情、目線、それらを全部受け取ることだけに集中して、お芝居していました。そしたら、自然と明夫さんのつくった流れに私も乗ることができた。人から受け取ったものを出すという、お芝居の基本を改めて学ばせてもらった作品でした。
矢島 宅間さんって「この二人はこれからどうなると思う?」みたいな、台本に書かれていないことも全部クイズみたいに出してくれるんですよ。で、その答えが出なかったときは、演者同士で話し合って考える時間を与えてくれる。そうやってみんなでバックボーンをつくっていくうちに、自分の役もより明確になるし、仲間との絆も深まっていく。今こうやって振り返ってみても、一秒たりとも無駄な時間がなかったなと思えるくらい、濃い時間でした。
──そんなお二人が今回演じるのは、スナックでリゾートバイトをする華蓮と、そのスナックを切り盛りする凛子ママ。石田さんが年上の設定ということにびっくりしました。
石田 そうなんですよ。私もびっくりしました。
矢島 びっくりするよね。
石田 しかも結構上で。でも『くちづけ』のときに、宅間さんが「だーいし(石田の愛称)は本当はマコちゃんじゃなくて、(鈴木紗理奈が演じた)真理子ママみたいなチャキチャキしたタイプだな」とおっしゃっていたので、それで今回はこういう役になったのかなって。
矢島 私の演じる華蓮は、年齢自体、私よりずっと下なんですよね。こういう役をいただけたことにまずびっくりしたんですけど。華蓮は、島の外から来た人間で、この島に来たことで彼女自身も成長したり考えが変わっていく。あとは、人と人をつなげる重要な役割を持った役なので、そこを魅力的に表現したいと思っています。

──舞台となる北の島は、騒動の中心となる花村きょうだいにとっては故郷です。お二人にとって故郷はどういう場所ですか。
矢島 心が落ち着く場所ですね。昔からの友達が変わらず今も住んでいたり。私の環境がどんなに変わっても、変わらない場所があるのが故郷。帰るたびに「やっぱり地元だな〜」ってほっとします。
石田 私、石田は宮城出身なんですけど、宮城は人見知りな人が多いんです。
矢島 そうなんだ。
石田 らしいと言われています(笑)。そんな宮城で、街を歩いたら声をかけられまくって歩けなくなるぐらいの人気者になることが私の目標でした。
矢島 へ〜! 可愛い。
石田 実際、宮城でレギュラー番組を長くやらせてもらったら、ふらっと入った地元のお店で「番組観てます」と声をかけていただく機会が増えて。人見知りだと言われる宮城で、そういうふうに声をかけてくださるのって、本当に愛がないとできないと思うんですよ。だから、すごくうれしくて。恥ずかしがり屋なのに愛があるところが故郷の好きな部分です。
──そんな県民性はご自身も受け継いでいると感じますか。
石田 受け継いでいると思います。私も人見知りなので(笑)。でも、根っこの熱さはあると思っています。
──矢島さんの故郷は埼玉ですよね。埼玉にも県民性ってありますか。
矢島 あるのかな。埼玉ってどうなんですか。ちょっとぼんやりしちゃってる気がしますけど(笑)。
石田 そう言われてますよね。

──地元の名所や名産品といえば。
矢島 と言われて、パッと出てくるものがないのが埼玉なんです(笑)。
石田 宮城はいっぱいありますね。
矢島 いいなあ。
石田 とにかく何を食べてもおいしい。
矢島 そうだね。笹かまとかだっけ?
石田 あとは、ずんだ餅とか牛タンとか。王道ばっかり出しちゃったけど、どれも自慢です。
矢島 逆に言うと、これだと胸を張って誇れるものは特にないけど、そんな埼玉が大好きなのが埼玉の人かも。
石田 確かに。
矢島 (関東の中で)2番手でも3番手でもいっか、みたいな。でも、自分の中ではちゃんと地元に誇りを持っているのが埼玉の県民性ですね。
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