舞台『HiGH&LOW』で味わえた“声優の仕事にない感覚”とは
「心を動かすことをやめない」夏川椎菜が20代最後に挑む、原点にして外の世界
2026.07.16 18:00
2026.07.16 18:00
蒼木陣さんと私は凸凹。だからこそ生まれるものを作れたらいい
──ご自身から出てくるものとは全く違う役柄を演じるということに対して、現時点で楽しみを感じていますか? それとも不安?
不安はかなりありますね。そもそも舞台というだけで、普段のお芝居の形とは違うものですし。しかもノンバーバル(言葉を使わない非言語の演劇)のような演出があるそうなんです。自分が武器にしている声を封じられるので、そういった意味では、楽しみではありつつ、不安もいっぱいあります。

──確かに普段声優業をメインでやられている夏川さんにとって、ノンバーバルというのはかなり挑戦になりそうですね。
そうなんです。だからセリフがあるところのお芝居も、声に情報をたくさん入れるよりは身体表現が大事になるのかなと。舞台の出演経験自体はありますが、演出家さんも違えば、世界観も全く違うので、ちょっとずつ慣れていくしかないのかなと思っています。
──この作品はダンスチームが出演するなど、全体的に身体表現が多い作品になりそうですもんね。
はい。メインの出演者含めて身体表現を得意とされている方たちがたくさんいらっしゃるので、勉強しつつ、なんとかくらいついていこうと思います。
──とはいえ、夏川さんが演じる千愛は、作品の中で唯一ドラマチックなパートを担います。
お客さんは女性が多いと思うので、一番共感してもらわないといけないキャラクターかなと思いますし、私としてはやっぱり千愛のシーンで、観ている方に泣いてもらいたい。そこまで感情を持っていけたらいいなと思っています。
──今の時点で、千愛はどのような人物だと捉えていますか?
カスの里で生きてきたことによって、カスみたいな人たちとしか接してきていないので、風馬と出会って初めて恋とか人を愛するという感情に気づくのかなと思います。物語の中でも成長や変化をしているキャラクターだなと思いますし。

──そんな千愛を夏川さんがどう演じられるのか楽しみです。
現時点での課題はやはり“カス感”ですね。スラム感をどう出していくか。スラムまでいかなくても、『HiGH&LOW』でよく描かれているような下町の商店街感や喧嘩している男の子たちと仲が良いみたいなことも、私自身経験がなくて。むしろ避けてきたところがあるので、そこはひとつ殻を破っていかないといけないなと思います。そういう場所を探して行ってみたらいいんですかね? ちょっと空気感を味わってみるみたいな。
──ちなみに夏川さんが通われていた中学・高校は共学でしたか?
共学でした。でも荒れている感じの学校ではなかったですし、どちらかといえば、真面目な人と仲良くなっていたので……。
──本当にここにきて初めて触れる世界だと。
はい。だから絶対に自分の中の知識だけでは行き詰まると思うんです。今のうちに『HiGH&LOW』シリーズをはじめ、アウトローなものをいっぱい吸収しておかないとなと思っています。
──先ほどのお話でも少し触れられましたが、千愛は風馬をかつて助け、風馬と愛し合った過去があります。風馬役の蒼木陣さんにはどのような印象がありますか?
蒼木さんと共演したことはないのですが、この作品の読み合わせ兼ワークショップみたいなものを開いていただいた際に蒼木さんもいらっしゃって。そこで初めてお会いしました。蒼木さんは読み合わせから「動きたくてたまらない!」という感じで、最終的に椅子の上に立って読まれていました。私は普段声優としてお芝居をしているので、座ってお芝居をするとか、立っていても動かないのが基本なんですよ。だから蒼木さんのその姿は衝撃的でした。でも舞台でお芝居をするということは、動きがあって、その上にセリフが乗っているわけで。セリフにすべての情報を詰め込むのではなくて、そうやって動きや立ち居振る舞いにも情報を入れるようなお芝居をしないといけないんだなと思いました。
──それこそ蒼木さんは舞台出演が多い方ですもんね。
劇中で一番掛け合いの多い方が、舞台でのお芝居を得意とされているというのはすごく心強いです。いっぱい学ばせてもらおうと思っています。
──逆に蒼木さんが、夏川さんから学びたいこともたくさんあるでしょうしね。
そうだったらうれしいです。そういう意味では私たちは凸凹なので、そんな私たちだからこそ生まれるものや、見せられる関係性が作れたらいいなと思っています。
──そのほかに共演が楽しみな方はいらっしゃいますか?
川久保拓司さんは、以前舞台を一緒にやったことがあって。そのときもすごくお世話になったので、めちゃくちゃ心強いです。キャスト発表されたときに川久保さんのお名前を拝見して「知ってる人いる!」と思って、思わず連絡しちゃいました。あとは佐藤日向ちゃん。佐藤日向ちゃんも声優としても活動されていて、そういう境遇が似ているので、心強いです。あとは土井ケイトさん。吐澤檸檬という役なんですが、その檸檬って脚本を読む限り結構アクが強いので、どんなお芝居で見せてくださるのか、とっても楽しみです。

──そのほかに本作で楽しみなことがあれば教えてください。
私が今まで演じてきたものや関わってきた作品からはずいぶん離れたところにある作品なので、私のファンの方が1番びっくりしていると思うんです。だから、普段の自分とのギャップや新しい引き出しを見せられたらいいなと思います。とはいえ、まずは引き出しを作るところから。稽古期間も無駄にせず頑張っていきたいなと思います。
次のページ
