2026.05.23 16:30
「乃木坂46 14th YEAR BIRTHDAY LIVE」より Ⓒ乃木坂46LLC
2026.05.23 16:30
改めて解剖した乃木坂46の構成要素
続いては、“乃木坂とダンス”、“乃木坂と歌”、“乃木坂とかわいさ”というテーマに沿ってのブロック。そして各ブロックの幕間では6期生がソロでのスピーチで進行を務めた。
まずは森平麗心が登場。ライブへの思いやダンスがシンクロした時の気持ちよさについて語ったのちに菅原咲月センターにて「Wilderness world」をパフォーマンス。5、6期生のみの編成であった当曲、すなわち楽曲リリース時の参加メンバーを全て刷新するという大胆な試みであった。

続く「命は美しい」のセンターは遠藤、「Actually…」はオリジナルのセンターである中西が務め、より凄みを増した遠藤のダンスのキレ(間奏では参加メンバーのダンスパートを設けたアレンジが施されており、それぞれのキレもまた一段と凄みを増していた)、より狂気を帯びた(曲中見せたトランス状態に陥ったような笑顔にその片鱗を感じた)中西の表現力で場内を圧倒してみせる。井上と岩本蓮加のダブルセンター体制によるグループ屈指のダンスナンバー「インフルエンサー」ではステージに立ち昇る火柱と、曲中終始細かく動く花のような手の振りで文字通り激しく火花を散らすかのようなパフォーマンス。

鈴木佑捺は元々自分がファンであったこと、そして加入してみて改めて気付いた歌声の魅力について語る。そこから柴田柚菜の一人歌唱で「誰よりそばにいたい」がスタート。歌い出しを柴田、そしてサビ前を海邉朱莉が担当。それぞれテレビ番組『乃木坂スター誕生!』の活躍でも知られる歌唱力の高いメンバーである。低めなキー設定であるが故に細かなピッチが要求される当曲を柔らかに、そしてラストでは主旋律にハモりを加えるなど、雄弁な歌声でパフォーマンスしてくれた。
一転高めのキー設定である「私のために 誰かのために」は伊藤理々杏が張りのある高音で力強く牽引。鈴木、賀喜、森平という4人でのパフォーマンスであったが、それぞれがステージ花道の端へ立ってのソロパートからラストのサビで4人がセンターステージへ集結するというフォーメーションの進行であった。ここでメンバーがセンターへ移動中、お互いの顔を見合わせながら変化していった表情(ややもすると不安げなソロでの表情が集結時に柔らかな笑顔へと移り変わっていく様)が先述した“みんなで一緒に作り上げていく”という感覚と重なり、再びの深い感動を覚える。中西、林瑠奈、奥田いろはの3人はフェイクやハミングをふんだんに盛り込み、決め打ちなのかアドリブなのかがわからないほどのスリリングなアレンジで「Rewindあの日」を聴かせ、ラストは当ブロックのメンバー全員参加で「悲しみの忘れ方」を歌唱。
学業専念のための活動休止から今年4月よりグループへと復帰した小津玲奈は推しメンである弓木奈於からもらったという自己紹介を披露し、アイドルという存在だからこそ表現できるかわいさについてスピーチ。なんとここからは、乃木坂46公式ゲームアプリ「乃木恋 」の世界をライブ中に再現するというグループの歴史上前代未聞の劇中劇がスタート。主人公は池田瑛紗だ。

通学途中ぶつかった先輩男子に一目惚れという展開から「ロマンスのスタート」。先輩は彼女とかいるのかな……と思い悩む池田。場内の至るところから「いないよー!」の声が飛び交う(笑)。先輩にアピールするために手作り弁当を渡そうとなったところで「白米様」。ここでは以前から当曲に参加する“いちほまれ”こと一ノ瀬美空と“ミルキーあーや”こと小川彩に加え、新メンバーとして「ビリヤニ」のダブルセンターを務めた“バスマティ・マイ”と“バスマティ・ライス”こと瀬戸口心月と矢田萌華が参加。いざ手作り弁当を渡そうとすると他の女子と食事をしている先輩の姿を見てしまい「嫉妬の権利」、失意の池田がつい来てしまったお気に入りの水族館で「魚たちのLOVE SONG」を披露した。
ここでは水族館の魚(クマノミ)として筒井あやめ、以前は山下が扮していたタコの着ぐるみは愛宕心響(苗字に“たご”が含まれるから?笑)が受け継ぎ、水族館なのになぜか黒見明香がカマキリとして登場。筒井の語尾が“ぎょ”になっていたり、黒見のカマキリがアチョーと発言したり(黒見はカンフーの剣舞とヌンチャクを特技として挙げている)、池田が“カマキリは3年振りくらいに見た気がする”(黒見のカマキリエピソードは2023年1月放送の『乃木坂工事中』B級ニュースが由来)とメタ発言を繰り出すなど、別の意味で丁寧に巧妙に練り上げられた掛け合い、というかコントを披露(笑)。だがこれも4期生の『ノギザカスキッツ』や5期生の『超・乃木坂スター誕生!」の再演と考えれば、これはこれで周年ライブらしいグループの歴史になぞらえた粋な構成であり、またもや深い感動を覚えた。
最後には失恋から立ち直るおまじないとして十二星座が歌詞のモチーフとなっている「あらかじめ語られるロマンス」をパフォーマンス。曲終わりでは池田に愛宕が「元気になっタコ?」一ノ瀬が「またコメった時は」などと最後の最後まで抜かりのない台詞の応酬を見せ、参加メンバー全員でのカーテンコールと共に当ブロックが『リアル乃木恋ミュージカル 恋する池田と愉快な仲間たち 第一回公演』であるという衝撃のオチが明かされる。リアル乃木恋ミュージカル、こんなにもめちゃくちゃなセットリストがこんなにも面白く成立することが証明されてしまったのだから、これはもう新コンテンツとしてなんとか第二回公演以降も継続でお願いしたい。
大越ひなのがこれまでの流れを振り返りつつ、先の“かわいさ”のブロック(という名のシュールなミュージカルであったが)を引っ張る形で唐突に「君のこと、好きになっちゃったかも」と胸キュン台詞を言わされるという天丼ネタ(直後に大越の照れ笑いというオマケ付き)のような構成も実にシャレが効いていて、本公演の構成作家的な人物が気になってきたところだったが、そんな雑念をぶっ飛ばしてくれたのは続くテーマ“乃木坂とファン”であった。ファンがグループのライブにとって本当に大きな存在であり、曲によってはファン主導で起こったコールが必要不可欠な構成要素にすらなっていることなどを大越が語ったあとに打ち鳴らされる軽快なスネアドラム。どんな雑念もこの曲を前にしてはぶっ飛ばざるをえない「I see…」である。そしてまさにこの曲こそサビ前にお決まりとなっているファン主導のコール“超絶かわいいカ・キ・ハ・ル・カ!”が必要不可欠となっている楽曲なのだ。スピーチからの流れが気持ち良すぎる。

「裸足でSummer」では、もはや新たなセンターとして楽曲を昇華させた感がある川崎桜のイントロの口上。こちらも回を重ねるごとに凄みを増しており、言わば他グループにおけるガチ恋口上の導火線と言ってもいいくらいの破壊力で前曲に勝るとも劣らないコールの嵐を巻き起こす。これにもまた頼もしさとカッコ良さを強く感じさせてくれた。続けてパフォーマンスされたのはアンダー楽曲ながら新たなキラーチューンへと頭角を表しつつある「不道徳な夏」だ。コールパートの巧みな配置、オシャレなビートやスピード感などライブ映えする要素を多数搭載した当曲、センターを務める金川紗耶もまた頼もしくカッコいい、渾身の煽りを見せてくれる。ファン参加型の楽曲の固め打ちとなったブロックのラストは「真夏日よ」であった。メンバーの歌唱パートとファンのコールパートが終始同時進行するという“乃木坂とファン”の関係の集大成ともいえる楽曲。メンバーはファンへ、ファンはメンバーへ、互いの愛を思いっきり交わし合える、最高の空間、瞬間であった。
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