2026.04.28 19:00
2026.04.28 19:00
恋は失えるもの、愛は失えないもの
──彩世について話を戻すと、光に実らない想いを寄せている一方、彩世自身も特に何も思っていなかった村田から好意を寄せられるようになります。全然知らない人から好意を寄せられるのって、うれしい人とそうじゃない人がいると思うんですが、加藤さんはどちらですか。
「え……?」ってなります(笑)。私の何を知ってるんじゃい、みたいな。うれしい、もちょっとはあるんですよ。でもそれ以上に、いつか私の本性が知られて嫌われるかもしれないと思っちゃう。根っこがネガだから。表面的な部分だけ見て私を好きになられても、本当の私は違うよって引いちゃうんですよね。
──じゃあ、彩世の初期対応はわかることがありそうな。
それはめちゃくちゃわかります。私だったら「は?」って反応もできない。ただただ困るだけになると思います。

──さっきの話につながるところですが、村田ってめちゃくちゃポジティブじゃないですか。無駄に明るくて、押しも強くて、気持ちをちゃんと言葉にしてくれる。そういう人と一緒にいるとほだされてしまうのも、わかるところがありますか。
自分を明るい思考に導いてくれる人がいるのはいいですよね。私自身、悩み事が常にある人間なので、明るい影響を与えてくれる、引力のある人は素敵だなって思います。
付き合っていくうちに徐々に好きになっていけばいいという考え方もすごいわかるんですよ。相手のことを最初から100%好きになることって私もほとんどないので。
──そんな恋愛の渦中に身を置く彩世は、恋を「泥沼」と表現します。
恋は泥沼とも思います。でも、意外と乾いてるなとも思いますね(笑)。私の中で、恋は失えるもの、愛は失えないものという定義があって。どんなに好きでも、どんなに別れが苦しくても、人は恋を失ったって生きていける。愛のほうが泥沼なんじゃないかな。

──じゃあ、加藤さんの言葉で「恋は××」を言い表すとしたら?
砂漠ですね。
──あ、もう花も咲かない。
咲かないんですよ、全然(笑)。
──そもそもですが、恋という感情を信用していますか。
あんまり信用していないです。やっぱり恋ってなくなるものだから。いつかなくなるものを、そんなに信用できない。恋って一瞬だけ燃え上がる衝動みたいなもの。移り変わっていくものに興味がないんだと思います。
──その衝動に身を委ねるのが楽しくて、人は恋におちるんだと思います。
だから、みんな何度も恋を繰り返してるわけですよね。その気持ちはわかるけど、私自身はその衝動に身を委ねたいとはそんなに思わない。
──じゃあ、加藤さんにとって愛ってどこから生まれるものなんですか。一般的な考えでいくと、愛は恋を経由して育まれるものという気がしますけど。
えー。愛ってどこから始まったんですかね。なんだったんだろう。私にもあるんです、これって愛だったんだなと思った出来事が。でも、最初は愛だとは思っていなかった。なんというか、離れて時間が経って初めて気づいたんです。もう二度と会えなくても、どこかで幸せでいてくれればいいって。こんなふうに望む気持ちが愛なんだって。

──目の前からいなくなったとしても、愛は失われるものではないと。
ではないです。愛は、一生。私の中では、何があっても変わらない「状態」みたいな感じです。
──面白いですね。たぶん加藤さんは恋愛初期のときめきとか、そういうものを信用していない。
信用していないです。知らないわけじゃないんですよ。それこそ演じる上では必要なものだし。私もそういうときめきは経験がありますけど、信用はしていない。
──恋リアとか観ます?
観れないです。苦しくなっちゃって。
──少女漫画は?
あんまり。昔は読んでましたよ、小学生とか中学生の頃は。矢沢あい作品は全部通ってて、『NANA』やっぱり大好きです。
──あれはもうバイブルですからね。『NANA』ってどの登場人物に感情移入するかで性格がわかると思うんですけど、加藤さんはどうですか。
私、ヤスです(笑)。
──「人の庭荒らす暇あったら、てめえの花咲かせろや」と(笑)。
そうそうそう! ヤスになりてえ、って思いました(笑)。

──それこそヤスは決して報われない想いを胸に秘め続けているわけで。
そうなんですよ。そこが強いなと思います。あのお話の人間関係って、ヤスの一歩ですべてが崩れちゃう。キーを握ってるのは、ヤス。実は『NANA』の主人公ってナナでもハチでも蓮でもなく、ヤスなんです。
──ヤスみたいになれそうですか。
いつかなります。まあ、そもそもああいう状況になること自体がないと思いますけど、大切な人に対してはヤスみたいな気持ちでいたいです。
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