2024.06.12 18:00
大元の「個」に辿りつきにくいのが面白さ
──中塩さんはどういう経緯でジャズを?
中塩 僕が平川くんと、今まで自分が聴いたことない有名なアーティストを聴こう、みたいな話になって。平川くんがフランク・ザッパ、僕がマイルス・デイヴィスを担当して。
平川 棲み分けを。
中塩 2年前ぐらいですけど。それをやったときに聴いてたらハマっちゃって。そこからジャズしか聴いてないみたいなのが、ずっと今も続いてますね。それが結構ターニングポイント。
──でもマイルスもザッパもフィールドは違うけど、お互い影響を与えまくってた2人でもありますからね。サークルに入った当時、ザッパとマイルスとかを武装した状態だったら違ったかもですね。
平川 たしかにそうかもしれない。
中塩 いや、まだ甘いって言われちゃうと思います(笑)。素敵なサークルではあるんですけど。
黒羽 僕も音楽知らない側だったんですけど、別に知らんしって気持ちで。いろいろ言われても「勉強になります」って。
──そのサークルって、皆さんみたいに世に出てるバンドはいるんですか?
中塩 トリプルファイヤーは同じサークルです。
──Khakiとトリプルファイヤーを輩出したサークルって、そりゃなかなか変態しかおらんのだろうなって、なんとなく思いますけどね。トリプルファイヤーと対バンは?
中塩 やりました。吉田さん家にも招待されて行きました。誕生日に(笑)。俺はエッセイ買って読んでるぐらい好きだったんです。あと、吉田さんの後輩でSUSURU TV.のSUSURUさんも同じサークル出身。
黒羽 SuiseiNoboAzも。
──令和ロマンやダウ90000と対バンしてるから、SUSURU TV.ともあるかもしれないですよね。ここから音楽的なところを聞きたいんですけど、作詞作曲者が2人いて、自分で作った曲の作詞をお互いに任せるみたいなパターンもたまにありますよね。どっちがどういうプレイヤーで、こういう歌詞のパンチラインが好きで、こういう曲調が好きで、とかが何回聴いてもわからないところが面白いなと思って。
中塩 アレンジをそれぞれに任せて、どんなアレンジも許容して変な形になっていくというのがあるので。大元にあるそれぞれの個みたいなのは、辿りつきにくいというか。それが面白さかな、という印象があります。
平川 僕は「音楽をやるぞ」と思ってきた人生ではなかったので。ここまで精一杯やったのであとは皆さんお願いしますっていう感じで。そこがどんどん変化して、「それいいね」「それはダサいからちょっと……」って、曲が完成していく様が好きで。デモを作ってても、僕はドラムを叩けないし、ベースも弾けないんで、橋本が叩いたらこんないいものになるんだなとか、(下河辺)太一が弾いたらいいベースだなってなっていくのが好きなので。曲を作っている時の我がなさすぎて、いい意味でフレキシブルかもしれないです。そもそもルーツ的なものもないので。曲作らないとやることないぞ、みたいになって、作ったらできたぐらいの感じなんで、そのまま作ろうと。
中塩 平川くんは弾き語りで曲を持ってきて、それをバンドアレンジに。僕は最近気づいたんですけど、バンドミュージックを作りたいとなったら、バンドの全体像でしか曲が思いつかなくて、なんとなくの雰囲気で打ち込まないとできていかなくて。だから僕は打ち込みで作って、細かいアレンジとかは任せていて。アレンジの自由度は、平川くんの曲をやってもらってるときの方が高いのかなって。
──「The Girl」の作曲は?
中塩 作曲は僕です。
平川 作詞は僕が任命されたとかではないんですけど、最初は中塩のエセ英語みたいなので。
中塩 そう、ライブとかでずっとエセ英語で歌ってて。アルバム出すにあたって、歌詞あった方がいいよねって。どうしたっけ?
平川 黒羽と3人で。
中塩 それぞれ考えて。
平川 俺が1位。
中塩 うん、選ばれた。
橋本 優勝したね。
平川 一週間ぐらい考えて。ちょうど曲にもハマったからって感じです。
──緊張感がある曲というか、各々の楽器と歌が壊れるか壊れないかというギリギリのバランス感ですよね。ライブを観ててもそういう印象だったんですけど、蓋を開けたら中身が結構ゆるふわな感じですごいいいなと思います。「The Girl」の変拍子感は設計図を書いてたんですか?
中塩 たしかギターのエレキを録って、ドラムを打ち込んで、エセ英語歌って。ライブとかでやりつつ、みんなんでもみくちゃにアレンジして、出来上がった感じです。
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