2024.05.22 18:00
2024.05.22 18:00
人として好きという気持ちが一番先にきた
──「久しぶりにスタジオでも入ってみない?」と誘ったのは誰から?
諸石 しげなのかな……。Shiggy Jr.がずっとお世話になっていたエンジニアの関根青磁さんが亡くなられて、そのお葬式で会う機会があったんです。その帰りに、当時のマネージャーさんとしげと3人でごはん行って話をした記憶があるんだよね。
原田 その日に、池田も一緒に帰ったのかな?
池田 森さんは現場で来れなかったんだよね。
森 俺は行けなかった。
原田 歩いてるときに池田が「今年は実はShiggy Jr.をやっていたら10年です」という話をしていて。池田が帰ったあとにマネージャーさんと諸石とお好み焼きを食べに行って。そこでマネージャーさんが「10周年なら何かやったら?」と言って。ライブ1回ぐらいであれば10周年だったらできるのかなって。あと、ずっと「Shiggy Jr.をやれ」と言ってくれている昔からお世話になっているテレビのディレクターさんの後押しもあって。それで池田に連絡しました。
池田 お正月に茂くんから「あけましておめでとう。なんかやらない?」と来て。震えましたね。「あけましておめでとう」がくるだけでも珍しいのに(笑)。
森 勧誘系だよね(笑)。セミナーの誘いみたいな。
池田 勧誘じゃなくてよかった。でも、心震えましたね。結局10周年イヤーには間に合わなかったんですけど、本当はそういう目的で再集結した感じです。
──3人(原田、森、諸石)はWeekend Brothersとしても活動をやられてましたが、Shiggy Jr.の曲もやったりしてた?
諸石 いや、全然してないです! そもそもWeekend Brothersとしてスタジオで合わせたことも1回ぐらいしかないよね。
原田 リリースしただけになっています。
諸石 もう概念になっちゃってる(笑)。
森 1回もライブすることなく。1回だけお店貸し切って飲み会開いたね。
池田 飲み会をやりたい人たち(笑)。
森 お店の過去最高売上だったらしいですよ。
池田 飲み会はShiggy Jr.でもやりたい! いい活動だ(笑)。
──再集結という言葉のラフさが今は心地よいのかもですね。解散前はアビリティが高いバンドだからこそShiggy Jr.のリリースを途切れさせないようにしようという思いがあったのかなって。ある意味仕事としては正しいけど、どこかかっちりしていたものを側から見ていて感じていました。まさに飲み会とかでも全然見たいし、パーティーの時に呼ばれるバンドみたいな、ワールドミュージックにはそういうのに名盤があったりするから、そういう活動も見てみたいし、このアレンジ力と演奏力、ボーカル力があったらそれこそカバーとかだけでも銭稼げるよって。
諸石 すごいリアルですね(笑)。
──メジャーフィールドでしっかりやってたからできなかったこともあるだろうし、そういうラフな活動も見てみたいなって。池田さんもオフィシャルで「単発ではなく」とおっしゃってましたよね。
池田 ペースとかわかんないですけど、続けられたら楽しいなって思います。みんなそれぞれの現場とか仕事があるし、そことのバランスを無理しない程度にやれたらいいなって。メジャーだと巻き込む人数が増えて、チームが大きくなっていくじゃないですか。だから先のスケジュールもどんどん決まっていくし、自分たちが影響を与える人の数が全然違うんです。けど、今は基本的にメンバー4人でやっているので、フレキシブルに考えていける。
なんて言うか、大きい目標を立てて向かっていくことの美しさっていうものもあって、それはメジャーですごく体験できたと思うし、お客さんもそれを感じてくれてたと思うんです。それを一度やり切ったあとにみんながそれぞれのことをして集まったとき、私はみんなの演奏が好き、人として好きだなみたいな気持ちが一番先にきたから。そういうものを一番上に置いて、誰かが無理するとか、決めたからやるとかじゃなく、みんながみんなとして活動できる場所としてあることが今は一番いいと思っています。そこじゃないと出ないShiggy Jr.の良さ、それこそインディーズの頃にあった良さがあると思うんです。もちろん演奏にはプライドを持っているけど、楽しくやっているというシンプルなことを一番大切に思っていて。それを守れるペースと形でできるのが一番いいんじゃないかなと、最近すごく思っています。
原田 僕は普段からあんまり考えて生きているほうではなく。だから、Shiggy Jr.の活動に対しても考えていることは実は何もないんです。けど、なんか自分ができることをやっていけたらいいなと思っていて、目の前のことをやってる感じです。だから逆に自分で何かを発信していこうという思いよりも、周りの人がおもしろがってくれるとうれしいなという気持ち。それでShiggy Jr.みたいなものを引っ張ってもらえるならそっちをやってみてもいいし。だから、どちらかと言うといろんなことに僕たちを誘ってほしいなと思ってます。できることはしていきたいなと。
──森さんは?
森 僕にとってはこのバンドをやっているということが大事な部分であって。最近もうひとつのバンド(THE 2)も解散しちゃったんですが、どこか帰属する場所があること、自分の表現とか何も言われずにできる場があることがありがたくて。それがこのShiggy Jr.というバンドのメンバーで、安心してできるという。そういう意味では、居場所を作ってもらったことにありがたみを感じます。なので、活動ペースは早くなくても、社会的な繋がりがあることがいいなと思っています。
諸石 俺的には楽しいと思えるイベントや対バンをスローなペースでいいからやれたらいいなと思ってます。今は大事な人や場所が増えたので、メジャーのときみたいに、毎日Shiggy Jr.を全力投球でやるという感じではなくて。だからこそポイントでワクワクすること、楽しいことだけをやっていけたらいいな。
森 一度メジャーを経験して、今の境地に立っていられてる。メジャーを経験して再集結をしたからこそ、このスタンスが取れるわけで、あんまり他のバンドではないのかなって。
池田 本当に。みんなのいい話を聞けてる(笑)。
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