2024.02.15 18:00
2024.02.15 18:00
バンドは永遠に完成しない奴らの集まり
──今作で演じられたキャラクターはどうでしたか? 物語が深層に近づくにしたがって感情を発揮していくというか、魂をぶつける場面もありましたが。
キャラクター的にもすごく面白かったです。正解のないキャラクターで、非常に闇の深い。
──複数回ご覧になる方もいるだろうなと思いました。
そうですね。何回か見れば咀嚼できるのかもしれないですね。僕も脚本を読んだだけだと分からなかったので、監督に「なんなんすかこれ?どうしたらいいですか?」って質問攻めって感じだったんですけど、撮影していくうちに納得できたし、初号を観た時に「こういう描写で表現したかっ!」という感じで。違和感をわざと持たせているんだなっていうカットもたくさんあって、内田監督やっぱりめちゃくちゃ面白いなって思いました。
──土屋さんとは共演歴もあるとのことでしたが、畑違いのミュージシャンでもある佐久間さんとのやり取りはいかがでしたか?
彼は先天的に人を巻き込む力があって、フロントマン気質でしたね。入って来るだけでバッと明るくなるからフロントマンに多いタイプですね。人たらしなところもあるし、気の合うところもすごくありました。学校でクラスメイトだったら絶対に友達になってたと思います(笑)。ひと回りくらい歳は離れているんですけど、そういうイメージですね。
──金子さんは色々な側面を見せてくれる俳優さんというイメージがあるのですが、音楽活動ではどんな作品にも“あっくんのドラム”って判子が押されているイメージがあります。昨年はフジロックのBAD HOPも観させてもらって。
そこが大きな違いなのかもしれないですね。ある程度のキャラは、音楽が好きな人が聴いたら分かりますよね。BAD HOPの現場は、俺とKenKenのスケジュールが奇跡的に合って、いけるってなったんだけど、本当に直前に来た話で、3日で20トラックぐらい覚えてバタバタだったんだけど、すごく楽しかったですね。いい経験をさせてもらって、フジロックのGREEN STAGEは初めてだったので、「やったー!」という思いもあり。ミュージシャンだけどバンドマンだっていうところは大きいですよね。
──あっくんとして判子押してやるぞっていう意識が?
どうしても出ちゃうというか。それを求めていただけるのであればサポートの現場とかも行きたいなと思うんですけど、そうじゃないものを作るのに優れているミュージシャンもたくさんいるから、マナーを持って適任者がいるからって説くこともありますね。よく「RIZEみたいにしてください」って言われるけど、「ここではハマるか分からないですよ」って言いながらやることもあるし。バンドってそのくらい不思議なものじゃないですか。永遠に完成することのない、めちゃくちゃな奴らの集まりで好きでやってるから、そこに意味を持たれるのであればぜひ参加したいって思っています。BAD HOPのメンバーはバンドとやったことないって感じだったんですよ。大事な場面を任せてもらえたので、誠心誠意取り組みました。
──仕事の流儀的な話にもなりますね。俳優として行く現場と、バンドマンとして行く現場はそれぞれ価値基準が変わってくるという。
同じようなことなんだけど、物理的に真逆だから。俳優の現場では監督の言うことを極力聞きたいけど、バンドの現場では極力誰の言うことも聞かないみたいな(笑)。それが時間をかけて同じ感じになってきたのは面白いなと思います。でも俳優部の仕事がこの15年くらいで活性化されていなかったら、もうちょっと肩ひじ張っちゃってた人生だったかもしれない。バンド一本だったら、「近寄るな!」みたいに、全てに焼きもちを焼いて攻撃的なところは直っていなかったかもしれないです。寛容さと獰猛さというか、相反するんだけど結果同じみたいな。ドラムだからっていうのもデカいですよね。
──寛容さが元々あったからかもしれないですね。
撮影の現場でも「俺ドラムだからな」って思うことがすごくあります。相手ありきというか。特に助演が多いから、座長や監督の苦しみっていうのは、まさにボーカリストとかプロデューサーみたいなところがあるから、目くじら立てていられないというか。でも「やってみよう」の精神は持っていたいから、それを楽しめるか。僕は恐怖を感じる遺伝子が少ない人間といっぱい組めてるから(笑)、あらゆる現場で一つになってきた気がしています。