2023.12.06 17:30
2023.12.06 17:30
ナメられようにし過ぎた18歳の溜口
やつい ふたりはどこで出会ったの?
溜口 日芸内で学生がそれぞれ演劇公演を打つんですよ。そこで出会いました。
やつい だって溜口くんは演劇がやりたくて入ってるから、自ら劇団を作ったりしたんじゃないの?
溜口 僕は脚本を書けないんで、自分では作らなかったです。他に書ける人がいたんで、その人たちと集まって自主公演をして。
やつい 最初はナメられちゃいけないって思ってた?
溜口 いや、でもみんなキラキラしてるんです。
やつい 初日はどんな格好で入ってきたの?
(※大学で保管されていた溜口の入学当時の写真をそっと差し出す)
塚本 えー! うっわ!! なにこれダッサ!!
溜口 え、これいつの俺だ?
(大学職員) 入学したときのガイダンスで一番最初に撮った写真と書いてもらったプロフィールです。
やつい これ放送作家コースの子だよ。
塚本・溜口 (笑)
溜口 このジャケットはたぶん前日とかに買って(笑)。
塚本 着慣れてない感じでてるね。
やつい ジーパンの膝がすげえ! 何度も謝ってきた人の膝してるよ。ぱっと見、今の方が若いじゃん。
溜口 やっぱりナメられないようにしなきゃだったんで(笑)。
やつい 「特技:コント」になってるよ。しかも、すっごい小さい字で。
溜口 自信がなかったんですよ(笑)。演技コースだけど、お笑いも知ってますってことを言いたくて。
やつい 目だけは役者の目をしてるね。
溜口 はははは!
やつい 「希望役柄:良い感じに思われる役」だって。「自分のタイプ:人見知りしちゃうアホ」とも。
溜口 もう勘弁してくれ(笑)。
塚本 20年前とかでしょ?
溜口 こんなんあったんだ……めっちゃ恥ずいですね(笑)。
やつい 色の使い方知らないな〜この服も(笑)。一応、靴の赤を差し色にはしてるんだね。
塚本 映画学科の演技コースが花形というか、周りから見たら本当に煌びやかな人たちの集まりなんですよ。だから負けじと、このジャケットを買った感じですよね。
やつい 逆に役どころ多そうじゃん。演劇は種類が必要だし、やっぱりルッキズムは必要だから。
溜口 (笑)でも僕も二枚目とかやりたくなるんですよ。みんな主役はやりたいですよ。
やつい 主役でも武田鉄矢さんパターンだよね?
溜口 いや、竹野内豊さんとか、反町隆史さんとかですよ。
やつい それは無理だって思うでしょ?
溜口 いいでしょ! まだキスシーンとかしたい年頃ですよ。
やつい 161cm、53kgの時点で気づくでしょ?
溜口 いや、今だったらわかりますよ!
やつい え、マジで竹野内さん目指してたの?
溜口 いやいや、目指してましたよ。
やつい マジで?
溜口 悪かったよ!(笑)そのときは完全に勘違いしてましたよ。
やつい じゃあ、同級生と組んでも「俺、主役ね」みたいなこと言ってたってこと?
溜口 いやいや、自分で選べるわけじゃないんですよ。
やつい そうなんだ。どういうシステムだったの?
溜口 授業で実習があって、日芸の中には監督コース、撮影・録音コース、脚本コースとか、それぞれのプロを目指す子たちがいて、班になってひとつの映画を作るみたいなカリキュラムなんですよ。なので、監督が配役決めるんです。
やつい 同級生にそんな威張られるの? 絶対に監督コース選んだ方がいいじゃん。
溜口 しかも卒業するためには監督に使われないと卒業できないんですよ。
やつい 役者の無力さを学ぶのね。待ちの仕事だ、自分で選ばれるような人間になってくださいって。
溜口 自分で売り込みもしなきゃいけないし、結構シビアですよね。そこで作品に関われなかったら卒業制作やってないってことになって、卒業できないんです。
やつい そこまでリアルなんだ。結果どうだったの?
溜口 運よく監督に使ってもらえて、卒業できたんです。
やつい よかったね。……ん? “澤口”なんだ?
塚本 見つけちゃった(笑)。下の名前も違うんです。
溜口 僕は芸名なんですよ。
やつい 澤口佑樹くんじゃん!
溜口 劇団にも入ったんですよ。劇団員の先輩に“サワダさん”という方がいて、似ちゃうからって。劇団の中でも一番年下だったので、主催の方から“溜口”に変えようって。下の名前も同じ“樹”を使う先輩がいたので佑太朗に。
やつい 名前を取られちゃったんだ。『千と千尋の神隠し』みたいに。
溜口 (笑)だから塚本と出会った頃にはもう溜口でした。
(後編に続く)