2023.10.13 19:00
2023.10.13 19:00
今までの僕らじゃない感じがきたと思った(ふじい)
──今作では改めてバンドをやる楽しさや喜びみたいなものがすごく素直に音になっている感じがしたんですが、そうやって本来の形でライブができるようになったというのも影響しているんでしょうか?
ふじい どうだろう。録り方が変わったのもあるよね。
かじ 今までは1人ずつクリックに合わせて録っていくっていうスタンスだったんですけど、今回は4人で「せーの」で録る感じだったんです。レコーディングっていうよりはライブする感覚に近かったので、それでみんなのグルーヴ感が前よりも出てるんじゃないのかなっていうのは思いますね。
えい でも曲については僕は変わってないつもりではいました。僕は作ってる側だからあまり分かってない。でもどうかな、みんな変わったとは言ってくれてますけど。
かじ 変わったね。
えい もしかしたらすごく柔軟に曲を書けるようにはなったかもしれないですね。お客さんの反応だったりを見た上で「こういうのがあったら嬉しいな」とか、そういうものがもしかしたら落とし込まれてるのかもしれないですね。
──今回「青春」をテーマにしたのはどうしてなんですか?
えい そもそも『Phantom youth』っていうのは「幻の青春」という意味で。僕は学生時代に……言葉が難しいですけど、いわゆる典型的な青春を送ってこれなかった、送りたかったけどできなかった人間だったんですね。でも今22歳になって「あの学生時代ってどうやったかな」って、それこそライブに来る若いお客さんとかを見て自分と比較してみたときに、「でもそれはそれで楽しかったな」って。すごくキラキラはしていなかったかもしれないけど、自分の中ではすごく光ってたな、今じゃできない尊い生活を送れてたなと思って、そういう意味でこのタイトルをつけたんです。だから「青春」をテーマにはしてますけど、いろんな捉え方ができるんじゃないかなとは思ってます。
──えいくんが過ごしていた学生時代というのはどういうものだったんですか?
えい もう、怒りとかマイナスなものしかなかったです。たとえば友達と喧嘩したら「絶対にあっちが悪い、俺が悪いわけない」みたいな。そもそも自分自身の性格も悪だったんですよね。本当にひねくれてたし、何かうまくいかなかったことに対して全てを投げ出すというか、他の人や物の責任にしちゃうっていうのがあったんじゃないかなと思っていて。だから本当によくなかった。すごくいけすかない青春を送ってたなあと思います。でも今はそれを振り返って、案外そうでもなかったなって思えるようになりましたけど。
──振り返ってみればそれはそれで1個の青春だったなっていう。
えい そういうことです。そういう人格もその当時にしか持てなかったものだったと今は思います。
──そういうふうに思えたのには何かきっかけがあったんですか?
えい バンドとかツアーとかを通してていろんな人たちとも関わることが増えて、自分の間違ってた……間違ってたというか、ここは直した方がいいんじゃないかっていう部分にだんだんと気がついてきた。ここをこう変えてみたらもっといい人になれるかもしれないみたいなことに気づき始めたんですよね。
──そのテーマはメンバーと共有しながら作っていったんですか?
ふじい いや、全然です。最初に「アオトハル」が送られてきて「この曲録るよ」みたいな。その瞬間に今までの僕らじゃない感じがきたなって思って、それに続けて「群青謳歌」と「こんな僕ですが、何卒」が送られてきたのかな。それで「ああ、そっち側なんだな」って。基本的に何も言ってこないんで。
えい いや、でも、「アオトハル」を送った後か前かに「俺らがやりたい方向性がある程度決まったわ」みたいなことを確か言ったと思うんですよ。
ふじい そうそう。それがあったから「もうこれなんだな」って。しかもしっくりきたんですよ。送られてきたサウンドと「青春」っていうテーマとbokula.はすごく合うなって。
えい でも、どこかできっかけがあったんですよ。それは何だったのかなって思い出してたんですけど、思い出せなくて。なんかのきっかけで……。
さとぴー フェスで誰かのライブを観たとか?
えい いやー……。
──「アオトハル」と「群青謳歌」と「こんな僕ですが、何卒」がまとめて出てきたということは、えいくんの中で何かがあったんでしょうね。
えい そうですね。初めてここまで露骨に出したと思います。でもそのきっかけが思い出せないんですよ。
かじ 高校のやつに会ったとかでもない?
えい ああ〜、あったかも。でもそれじゃなかったと思う(笑)。ただ少し心当たりがあるのは、改めて僕がバンドを始めたきっかけであるバンドを聴いたんですよね。KANA-BOONなんですけど。今も好きですけど、昔はイントロが始まって1秒で何の曲か言えるくらいファンだったんですよね。そのKANA-BOONを改めて全部バーって聴いてたんですよ。それが当時バンドを聴き始めたときの衝撃を思い出させて「これだ!」ってなったのかもしれない。それがイコール「青春」につながっていったのかなっていう。
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