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INTERVIEW

主宰演劇ユニット「ピンク・リバティ」新作が6月14日に開幕

山西竜矢が森田想、岡本夏美と描く素直な人間模様 『点滅する女』で目指す“中間”の表現世界

2023.06.11 12:00

2023.06.11 12:00

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笑えてもいいし、泣けてもいい(山西竜矢)

──今回の『点滅する女』を観た方にはどんな感情を持って帰ってもらいたいと、今思っていますか?

森田 この作品は、すごいメッセージを叩き付けるようなものではなくて。「こんなふうにできましたけど、どうお考えですか?」っていうか……。

岡本 「委ねる」みたいな。

森田 そう! 委ねるタイプの作品だと思っていて。観終わったあとにどっしりしたものを持って帰ってほしいとかは全然思わなくて、純粋に「面白かったな」と思ってもらえるような、エンタメとして持って帰れる作品なのかなと思います。

岡本 確かに結構その要素は強いですよね。ポスターからは感じられないエンタメ感がめっちゃある! ポスターの印象で「劇的な悲惨なドラマなんじゃないか」みたいなこと、結構言われるんです。

森田 ポスター、土っぽいもんね。

岡本 そのコントラストがいいですよね。

山西 僕もそう思っているけど、宣伝的にたぶん問題あるよね(笑)。

──ポスターの印象で劇場に来ると、そのギャップも楽しめるということで(笑)。岡本さんは観た方にはどんな感情を持って帰ってもらいたいと思っていますか?

岡本 この間、山西さんが「絶対に感動してほしいわけじゃない。笑ってる人もいれば泣いてる人もいていい」みたいなことをおっしゃっていたんです。「同じものを提示している中で、笑いたい人がいてもいいし、泣きたい人がいてもいい」って。それを聞いてすごく納得して。私は普段から「絶対に泣かなきゃいけない」とか「絶対に笑わなきゃいけない」という空気にしたくないということをすごく思っていて。実際、自分が何かを観ているときに、笑う空気に飲み込まれて笑っている自分がいると、どうしても冷めちゃうんですよね。「結局、これって私の感想ではないのでは」って。

山西 めちゃくちゃわかる。

岡本 ですよね。だから『点滅する女』も、黒か白じゃなくて、いろいろな色がある中で、その人が感じたものを素直に受け取れる舞台にしたいなと思っています。「ここが感動できるポイントなんだろうな」というところでも、感動させに行きたくはなくて。1歩引くというか、冷静でいるということは少し意識しています。

山西 僕もそういう作品はあんまり好きじゃなくて。今ってコンテンツがすごく多くて、目立つためにも“超泣ける”か“超笑える”みたいな、わかりやすい作品が流行りやすいと思うんです。それ自体がダメだという話ではないですが、実際の世界とか人間ってもっと中間だと思うんですよね。怖い人でも素敵なところがあるし、逆に、素敵だなと思った人が実は家族の前ではめちゃくちゃ怖いとかってあるじゃないですか。だから、笑えてもいいし、泣けてもいい。そういう“中間みたいなもの”というのは、自分の中の大きな方針としてずっとあって。ただ今回の『点滅する女』は、そういう僕の作品の中では、幅広い方に喜んでもらえるものになっているとは思うので、本当に軽い気持ちで……と言うとちょっとアレですけど、ハードルを下げて観に来てほしいなと思っています。

岡本 本当にふらっと観に来てほしいですよね。高校生はチケット代1000円ですし。私、これ本当にすごいことだと思っていて。

森田 高校生割引があるのっていつもなの?

岡本 いや、そんなことない! そもそも、今回はチケット代が安いです!

山西 そうだね。

岡本 えっ、……破産します?

山西 いやいやいや! 頑張ります(笑)。

岡本 やっぱりお金を頂くからには、ちゃんとしたものを見せなきゃいけないじゃないですか。だから私、いつもチケット代って気になるんです。自分が観る立場になっても、演劇って安いものではないし。だけど今回は「演劇はチケット代が高い」と思って敬遠している人にとっても気軽に来られる金額だと思うので、本当にカラオケに行くみたいな感じで来てもらえたらうれしいです。

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作品情報

ピンク・リバティ 新作公演『点滅する女』

ピンク・リバティ 新作公演『点滅する女』

日程:2023年6月14日(水)~6月25日(日)
会場:東京芸術劇場 シアターイースト
チケット:前売 4,800円/当日5,000円/前半割 4,500円(6月14日~6月16日)/高校生 1,000円
チケット一般発売:2023年5月6日(土)10:00~

公式サイトはこちら

スタッフ&キャスト

作・演出:山西竜矢
音楽:渡辺雄司(大田原愚豚舎)
出演:森田想 岡本夏美
水石亜飛夢 日比美思 斎藤友香莉 稲川悟史(青年団) 若林元太 富川一人(はえぎわ)
大石将弘(ままごと/ナイロン100℃) 金子清文 千葉雅子(猫のホテル)

<ストーリー>
初夏。緑眩しい、山あいの田舎町。
父、母、兄と共に実家の工務店で働く田村鈴子は、家族の間にある静かな歪みに悩んでいた。表面的には仲の良い田村家だったが、5年前、家族の中心だった長女・千鶴が亡くなってから、その関係はどこかおかしくなっていた。
そんなある昼下がり。一人の見知らぬ女が、田村家を訪れる。
「千鶴さんの霊に、取り憑かれてまして」
女の奇妙な言葉をきっかけに、ぎりぎりで保たれていた彼らの関係は、大きく揺り動かされ─

一年半ぶりのピンク・リバティ新作公演は、喪失に苦しむある家族に訪れた幻想的な夏の一幕を、ブラック・ユーモアを交えて軽妙に描き出す、さみしくも美しい家族劇。

<ピンク・リバティとは>
山西竜矢が脚本・演出をつとめる演劇ユニット。2016年の旗揚げ以降、東京を拠点に活動する。リアリティある日常生活の情景が奇妙な世界と混ざり合っていく、不穏かつ幻視的な作風が特徴的。人間が元来抱える行き場のないさみしさをユーモアを交えながら描き、空しくも美しい情景として昇華する劇作はどの作品にも通底している。

1989年12月26日生まれ。香川県出身。
同志社大学法学部卒。俳優としてキャリアを重ねる傍ら、脚本・演出について独学で学び、2016年演劇ユニット ピンク・リバティを旗揚げ。近年は映像作品も手掛け、21年には初の長編映画『彼女来来』で若手映画監督の登竜門 MOOSIC LABにて準グランプリ含む三冠を達成したほか、北米最大の日本映画祭 JAPAN CUTSで新人部門最高賞の「大林賞」を受賞するなど、高い評価を得る。その後も長久允監督・森田剛氏主演の短編映画『DEATH DAYS』のメイキングドキュメンタリー『生まれゆく日々』の監督・構成、ドラマ『今夜すきやきだよ』の脚本を担当するなど、ジャンルの垣根を越え精力的に活動している。

2000年2⽉11⽇⽣まれ、東京都出⾝。
2013年に『鈴⽊先⽣』(河合勇⼈監督)で映画デビュー。その後、『ソロモンの偽証<前篇・事件>/<後篇・裁判>』(共に15/成島出監督)や『⼼が叫びたがってるんだ。』(17/熊澤尚⼈監督)などに出演。2018年には、松居⼤悟監督の『アイスと⾬⾳』で初主演を務める。以降も『朝が来る』(21/河瀨直美監督)、『タイトル、拒絶』(21/⼭⽥佳奈監督)、『わたし達はおとな』(22/加藤拓也監督)、『THE LEGEND & BUTTERFLY』(23/⼤友啓史監督)など多くの作品に出演し、2023年には『愚純の微笑み』(宇賀那健⼀監督)で主演を務め、同年の主演映画『わたしの⾒ている世界が全て』(佐近圭太郎監督)では、マドリード国際映画祭外国映画部⾨にて主演⼥優賞を受賞している。2024年6月21日公開の映画『朽ちないサクラ』(原廣利監督)他、公開待機作多数。メインキャストで出演中の連続ドラマ『シークレット同盟』(ytv)が4月4日から、『滅相も無い』(MBS)が4月16日から、それぞれ放送中。

1998年7月1日生まれ。神奈川県出身。
『non-no』専属モデル。2013 年ドラマ『夜行観覧車』(TBS)でドラマ初出演を果たし、女優デビュー。近年の主な出演作に、ドラマ『きれいのくに』(21・NHK)、映画『ハニーレモンソーダ』(21)、『おとななじみ』(23)、舞台『愛するとき 死するとき』(21・小山ゆうな演出)、劇団時間制作第二十五回本公演『12 人の淋しい親たち』(22・谷碧仁演出)、『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(22・TX)などがある。

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