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REPORT

ワンマンLIVE『春時雨』Zepp Haneda昼公演をレポート

ツユが放った高次元の“生演奏” 削ぎ落とすことで生まれる圧倒的な充実感

2023.03.12 17:00

ツユ ワンマンLIVE『春時雨』昼の部 -晴- より 撮影:堀卓朗(ELENORE)

2023.03.12 17:00

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連なる曲が奏でる一節の物語

次なるブロックでは少しだけ柔らかく緩んだ筆者の感情をズタズタに切り裂かんばかりの、何と楽曲7連発。しかも本ブロック3曲目「過去に囚われている」で“立ち止まらない私に出会えた”と思ったら「デモーニッシュ」は“悪魔と契約”して“あははははははは”であるし、“悪魔と契約”までしたのにも関わらず「ナミカレ」ではそれでも“社会の最底辺でこのまま朽ちてゆく”羽目に陥れられるという、怒涛のセットリストだったのだ。しかし「ナミカレ」に登場する「くらべられっ子」の一節を鮮やかに回収する形で「くらべられっ子」に繋げていった流れは爽快の一言。感情はぐちゃぐちゃをとうに超えているが、この童謡にも通ずるメロディラインを高速BPMで処理するという離れ業をやってのけたこの曲の威力はやはり抜群。文字通り色んなものを掻っ攫っていく快速チューンである。

礼衣がセリフを読み上げるシナリオ映像を挟みプレイされたのは、これはもう筆者が何を語るよりもMVを観て貰えば分かる「アンダーキッズ」。からの「あの世行きのバスに乗ってさらば。」と、その続編とも言える「終点の先が在るとするならば。」を続け様に、というより(これ観て貰わんと伝わらないのが歯痒いのだが)曲間はほぼゼロで、2曲を繋げて丸々1曲としてプレイ。後者の歌詞に“早まったあの私みたいに あなたにはなってほしくなくて”との一節があり、曲終盤の映像では今までの楽曲MVに登場したキャラクターたちのその後が描かれるという“救い”も示唆する本編ラストであった。

アンコールではまず「いつかオトナになれるといいね。」の冒頭のフレーズをオーディエンスと掛け合う事で声出し解禁を存分に楽しむ様子が見られ、メンバー紹介のソロタイムではmiroがドン・キホーテの一節を差し込むなど和やかな一面も見せてくれた。今後リリース予定という新曲の初披露もあり、最後は「ロックな君とはお別れだ」にて昼の部、ここに完結。

楽曲の放つ凄まじい情報量に終始圧倒されっ放しのライブではあったが、音源再現度の余りの高さ、その精度をああも極限まで高めて行くという過程においては人間らしいグルーヴの“揺れ”などを敢えて排除するという大胆な引き算、誤解を恐れずに言えば“生バンドでありながら生バンド的な演奏を否定している”様なパラドックスが何よりも体験として斬新であり、かと思えばぷすのギターヒーロー的な佇まい(メイン機であろうテレキャスをあんな楽しそうに弾きまくる人最近見ないからマジで最高でした)はロックそのものを感じさせたり、でもラストはロックな君と別れる曲だったしなあ……。と考えて行くと、情報量の多さを体現せんが為に実はバンドとしてのスタンスは超引き算であるなんて仮定が成立し、それ自体がパラドックス的な構造であるがゆえ、筆者は気持ち良く困惑していますという締めで、レポートを終わりたいと思う(笑)。


撮影:堀卓朗(ELENORE)

セットリスト

ツユ“ワンマンLIVE『春時雨』昼の部 -晴-”
2023年3月4日(土) Zepp Haneda(TOKYO) 

1. 傷つけど、愛してる。
2. 忠犬ハチ
3. 雨模様
4. 風薫る空の下
5. どんな結末がお望みだい?
6. かくれんぼっち
7. テリトリーバトル
8. やっぱり雨は降るんだね
9. 雨を浴びる 
10. 梅雨明けの
11. ナツノカゼ御来光
12. 過去に囚われている
13. デモーニッシュ
14. ナミカレ
15. くらべられっ子
16. 泥の分際で私だけの大切を奪おうだなんて
17. アンダーキッズ
18. あの世行きのバスに乗ってさらば。
19. 終点の先が在るとするならば。

EN1. いつかオトナになれるといいね。
EN2. 謎の新曲
EN3. ロックな君とはお別れだ

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作品情報

ツユ「傷つけど、愛してる。」

「傷つけど、愛してる。」配信ジャケット

「傷つけど、愛してる。」配信ジャケット

ツユ「傷つけど、愛してる。」

2023年1月15日(日)デジタルリリース
Vocal:礼衣
作詞・作曲・編曲:ぷす
Piano:miro
TVアニメ『東京リベンジャーズ』聖夜決戦編エンディング主題歌

配信はこちら

作詞作曲・ギター担当のぷす、ボーカル担当の礼衣、ピアノ担当のmiroからなる音楽ユニット。
2019年6月12日結成。ユニット名は、梅雨の季節に結成したことから名付けられた。
各音楽配信サイトでは常に国内外でランクインを記録し、人気プレイリストへの選出が続いているなど、全世界に多数のファンを抱えている。

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