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REPORT

ワンマンLIVE『春時雨』Zepp Haneda昼公演をレポート

ツユが放った高次元の“生演奏” 削ぎ落とすことで生まれる圧倒的な充実感

2023.03.12 17:00

ツユ ワンマンLIVE『春時雨』昼の部 -晴- より 撮影:堀卓朗(ELENORE)

2023.03.12 17:00

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2023年3月4日、Zepp Haneda。開演時間ほぼ定刻の14時を迎えたところで場内は暗転。ステージ中央に据えられた円形のLEDにチャージャーの様な映像が映し出される。0%から100%へ充電完了といったところで、開演である。その狼煙として選曲されたのは今年初リリースでありTVアニメ『東京リベンジャーズ』聖夜決戦編エンディング主題歌としてデジタル配信されている「傷つけど、愛してる。」であった。

改めて全容が明かされた此度のステージはリズム隊をサポートメンバーに従えた5人の編成であり、円形LEDの背後には巨大なLEDも据えられ、そこに投影されるミュージックビデオと凄まじいスピード感で駆け抜けて行く歌詞に思わず目が奪われてしまう。そして耳に流れ込む、いや、いっそ雪崩れ込むとまで言ってしまいたいのはこれまた凄まじいスピード感で駆け抜けて行く音節だ。何処までも上昇して行く“全部 全部 全部”のリフレインに胸を締め付けられたかと思えば耳をつんざかんばかりのギターソロ。あっと言う間にクライマックスを迎え、曲は終了。良い意味で目にも耳にも非常に優しくない形(笑)で「ツユ ワンマンLIVE『春時雨』 昼の部 -晴-」ここに開演である。

ツユワンマンLIVE『春時雨』昼の部 -晴-
3月4日Zepp Haneda(TOKYO)公演より

その後のMCタイムはフラットな語り口の礼衣(Vo)による短めの挨拶といった趣きで再びライブは「忠犬ハチ」より再開。かの有名な渋谷のランドマーク、その実話をツユの流儀で再解釈したという楽曲であるが、先のフラットなテンションであった姿はどこへと思うくらい、礼衣がエモーショナルな歌声を響かせる。ぷす(Gt)が描く歌詞の世界観が完全に憑依したかの様なその姿とハチの生涯、その最期を知ってしまっている我々はバックLEDに投影されるどんどん痩せ細っていくハチの姿、そして曲中盤のテンポアップから怒涛の展開を見せる楽曲に完全にしてやられる。2曲目にして既に涙腺が崩壊したオーディエンスも少なくなかったのではないだろうか?

礼衣(Vo)

miro(Pf)のピアノソロからツユは立て続けに5曲を披露。曲間をアレンジで繋げて行く様な事もなく、きっちりと、そしてある意味では冷徹とも取れるくらいの音源再現度で、歌詞に描かれる挫折や喪失、阻害感や厭世感に満ち満ちた世界を叩きつけて行く。「かくれんぼっち」のオリエンタルな高速リフ、そしてEDMの意匠などを感じさせつつ“また幸せな温もりを この鉄の肌で感じたい”と言う感情のネガとポジがもたらす矛盾をポップなメロディに落とし込んだ「テリトリーバトル」が印象的であった。

ぷす(Gt)

再びのピアノソロを挟んだ後はツユのデビュー作「やっぱり雨は降るんだね」。4つ打ちのリズムに身体を揺らすオーディエンスにぷすが歯切れの良いカッティングで更なる躍動感を足し、ソロではギターをメロウに鳴かせる。続く「雨を浴びる」では礼衣が原曲のドラムンベース的なリズムトラックとは全く別で鳴らされる難解な歌の譜割りをいとも簡単に乗りこなしてみせる。

miro(Pf)

続いてはこの日3度目となるピアノソロ。本公演はこうした形でブロック毎に訪れる幕間をMCではなくピアノが繋ぐといった構成。一曲一曲の密度と濃度が高過ぎるが故のセットリストなのだろうか、ピアニストを擁するユニットならではの采配である。どしゃめしゃに降りかかる楽曲の雨霰にぐちゃぐちゃになってしまいそうな感情を救ってくれるかの様なmiroの指遣い、極度の緊張状態にひと時の緩和を提供してくれる、重要な役どころであったと言えよう。

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ツユしかつくれない音楽的パラドックス

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作品情報

ツユ「傷つけど、愛してる。」

「傷つけど、愛してる。」配信ジャケット

「傷つけど、愛してる。」配信ジャケット

ツユ「傷つけど、愛してる。」

2023年1月15日(日)デジタルリリース
Vocal:礼衣
作詞・作曲・編曲:ぷす
Piano:miro
TVアニメ『東京リベンジャーズ』聖夜決戦編エンディング主題歌

配信はこちら

作詞作曲・ギター担当のぷす、ボーカル担当の礼衣、ピアノ担当のmiroからなる音楽ユニット。
2019年6月12日結成。ユニット名は、梅雨の季節に結成したことから名付けられた。
各音楽配信サイトでは常に国内外でランクインを記録し、人気プレイリストへの選出が続いているなど、全世界に多数のファンを抱えている。

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