本間昭光のMUSIC HOSPITAL 第8回 ヒグチアイ(後編)
ヒグチアイが目指すアーティスト像、寄り添う歌で立ち続けたい場所
2023.01.15 12:00
2023.01.15 12:00
休符、余白が力を持つ(本間)
ヒグチ 2023年は5月6月にライブが決まっているので、そこに向けて動いてて。もうちょっと自分の思うことを説明できるようになりたいと思っていて。音楽的な勉強を最近していなかったので、進めたいなと思います。たくさん音楽を聞きたいですね。
本間 本当にすごいと思いますよ。それでまた進化するんじゃないかなって。今のJ-POPの人たちは、休符を演奏する感覚をみんな忘れてるって思うんですけど。でも休符をうまく使うっていうのができるような人になれると思うんですよね。
ヒグチ 最後に一つ質問いいですか? 私は東京国際フォーラムAで定期的にライブができるアーティストになりたいと思ってるんですけど、そうするには何が必要だと思いますか?
本間 足りないものはないと思うんですけど、国際フォーラムAって奥が遠いんですよね。言葉や表現の強さを高めるってことのが、遠くに届けることにつながると思うんですよ。横も広いし奥も長いので、バンドでやるにしてもバンドも内側に固まっちゃう感じになっちゃうんです。あそこを落とせたらもう無敵になるんじゃないかなって思います。言葉をどう強くしていくか。余白を楽曲につけていくようにすると、「あの曲ね」っていうときにその言葉が出てくる。
ヒグチ なるほど。その言葉ですね。
本間 それがね、どこかに落ちてるんですよ。
ヒグチ まだ見つけてないなあ(笑)。
本間 本屋さん行って色々見てると、見出し一つにしても面白いことがたくさんあるんですよね。ただ単に流し見してるだけでも違ってくるんです、インプットされてくる。日本の文芸作品のほうが海外のやつより面白かったですね。旅行雑誌とか見てると意外とキャッチフレーズが面白いのがあったりするんですよ。
ヒグチ へえ~!
本間 そういうのも使えるんじゃないかなって思ったりします。あとは歌詞カードも縦書きのほうが日本はいいんじゃないかなっていうのも思ったりしてて。ユーミンの『ひこうき雲』のアルバムの歌詞カードって縦書きだったと思うし。椎名林檎さんも縦書きが多いですよね。国語の教科書っていうのは縦書きですから、日本語って縦書きなんだなって。そういうところにもヒントとか落ちてると思うんですよね。段落分けにしてもそうだと思うんです。歌詞カードで、井上陽水さんはここだけ二段下げてくれと言ってたみたいで。
ヒグチ そうなんですね!見てみます。
本間 そういうところに余白の文化ってあるんだろうなって思って。詩集とかも余白だらけじゃないですか。その余白が力を持つんですよね。メロディーはいつでも書けると思うので、ニュアンスとして一番強く響くメロディ、そしてコードワーク。コードワークも複雑にしなくていいと思いますよ。できる人はシンプルにするっていうのがかっこいいんで。
ヒグチ 国際フォーラムAでやる際はぜひ見に来てください!
本間 夢がありますね! 楽しみにしてます。