本間昭光のMUSIC HOSPITAL 第8回 ヒグチアイ(後編)
ヒグチアイが目指すアーティスト像、寄り添う歌で立ち続けたい場所
2023.01.15 12:00
2023.01.15 12:00
一緒に考えてくれる人を探したい(ヒグチ)
本間 「ネオンライトに呼ばれて」はアレンジは誰になるんでしたっけ。
ヒグチ A.G.Oさんですね。
本間 どんな方なんですか?
ヒグチ もともと佐藤千亜妃ちゃんの音源を聞いてて、このアレンジの人にお願いしたいなと思っていたんですけど。そのあとCHARAさんとYUKIさんの二人の「愛の火 3つ オレンジ」っていう2020年のリミックスもやられてて、生音と打ち込みの音のミックス具合がすごく好きだったので。
本間 リズムの構築、面白いですよね。
ヒグチ 不思議ですよね。ドラマを見る層って20代前半の子が多いかなと思ったので、耳に残るものだったらいいなと思って。ドラマの舞台がニューヨークだから、ちょっとニューヨークっぽい感じにしてほしいとか雑なこと言っても、快くやってみますって言ってくれて。
本間 やっぱりリズムがほんと面白いなと思って。それこそ半歩先ですよね。サビはわかりやすいじゃないですか。それ以外のリズムのアプローチ感覚が今の人な感じ。いくつくらいの方なんですか?
ヒグチ 30代半ばぐらいに見えましたけど。
本間 キレキレの世代ですよ。今ね、輝いてるから。
ヒグチ 自分でこれから色々探して、新しい人とも一緒にやっていきたいんですよね。
本間 どんどん若い新しい人とやるのをおすすめしますね。
ヒグチ やっぱり一緒にやることで理解することも多いんですかね?
本間 理解するし、吸い上げられるし。ただ物足りなさも感じると思うんですよ。そこをどういう風に伝えていくかっていうのがアーティストの腕の見せどころだし、へこたれないくらいの人が結局残るので。
ヒグチ 色々一緒に考えてくれる人ですね。そういう人を探したいです。
本間 絶対見つかりますよ。20代、新世代ですからね。僕らの音楽の作り方が根本から違う、データコラージュやクラシックも知っているっていう人たちがどんどん出てきてる。個性的な名前が多くて覚えられないんですけど(笑)。
ヒグチ 確かに名前わからないです(笑)。
本間 普通に苗字と名前じゃなくて、変えちゃうから。私生活を見られたくないみたいな感じがあるのかなって。
ヒグチ たしかに。ほんとに存在するのかな、しないのかなみたいな感じで見えますもんね。
本間 そうそう。これがチームなのか、ひとりなのかっていうのも分からないんですよね。
ヒグチ 同じ人とずっとやるよりも色んな人とやるほうがいいと思われますか?
本間 ご自身の作品に芯があるので、色んな人とやってもぶれてる感じには見えないと思います。出来上がってから崩す作業っていうのは、自分で崩すの大変だと思うんで、それを委ねてみたり。変えられすぎたら、ここは違うって言って。
ヒグチ なるほど〜。ここは違うって言っても、柔軟に対応してくれる人ですね。
本間 きっと楽しんでやると思います。だから色んな作品を聴いて、自分のやりたい感覚、コード進行や雰囲気、リハーモナイズやリズムの再構築をしてくれる、この感覚の人とやりたいって方を見つけて一本釣りで頼んでいくっていう。コミュニケーションを取りながらだと半歩先が出てくるんじゃないかな。大変ですけどね、ライブでそれを一人でやるってなると。
ヒグチ それを楽しんでできればいいですよね。出会いも。
本間 きっとありますよ。楽しみですね、これから先が。
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