2023.01.05 12:00
2023.01.05 12:00
憧れのサウンドを次に繋げていきたい
──ちなみにロックバンド何が好き? って聞かれたらなんて答えるんですか?
洋楽だとオアシスとかレディオヘッドとか。邦楽だとスーパーカーとandymoriがめっちゃ好きですね。あと銀杏BOYZも好きです。音でかいんで(笑)。
──「永遠の少年」とかはandymori感ありますよね。
そうですね。で、銀杏BOYZっぽさも。なんか……ヒップホップとかって、今流行ってるのもあるし、ちょっと自分の好きなものを取り入れるとワナビーになっちゃうんですよ。でもロックって流行ってないし、逆にそういう憧れとか青春とかがわざとこぼれ出ているくらいのほうが、音が鳴った瞬間に意思表示ができるというか、共通の感性を示せるというか。そういうのをやるのが今かっこいいんじゃないかなって思って。僕はヒップホップもめちゃくちゃ通ってるので、そういうところのそのカルチャー的背景も含めて、ロックをやるっていうことをすごい考えた上でやってます。憧れのサウンドを次に繋げていきたいというのもありますね。
──なるほどね。確かにリヴァイヴァル的に昔のものを引っ張り出している感じじゃないですよね。乱暴にいうとマシン・ガン・ケリー的な、ネタとしてのロックみたいなのとも違う。
そうですね。だから、それはめちゃくちゃ走った後にポカリ飲んだらうめえよ、って感じです。それをこの時代にちゃんとわかってるやつがロック鳴らしたらかっこいいっていう。だから全然、遠くから的の真ん中を狙ってる感じじゃなくて、的に向かって大砲撃ってる気持ちです。
──というか、今ロックをやるっていうのはすごく必然な気がするんですよ。前にMegaさんがどこかのインタビューで「コロナ禍が終わったらカルチャーは飛躍する」ということを言っていたのを読んだんですけど、そういう意味では今はどうですか?
どうですかね。なんかグレーですよね、全部が。俺はもうライブでも声出していいと思ってるんですけどね。あと気づいたのが、別に僕ぐらいの知名度じゃ炎上しないんで、僕みたいなやつから動いていって、ユートピアを普通に築いていったほうがいいと思います。アンダーグラウンドカルチャーというかインディーズカルチャーというか。
──つまり、勝手にやっちゃえばいいじゃんっていう。
そう。もう世の中的にはライブハウスなんてアンダーグラウンドじゃないですか。高校生とかも知らないだろうし。だから勝手にやっていけばいいと思うんですよね。もう終わったことにしたらいいんじゃないかなと。「終わったことにしたら」っていうのはあれですけど、考えても仕方ないし、この数年で待っていてもどうにもならないんだなっていうことは証明済みというか。普通に楽しいことができるように、自分たちの意思で選択して、そういうのが好きな人が楽しめる場所として、僕みたいな「どメジャー」じゃないアーティストはそういう気持ちの人たちを引っ張り出すっていうのが大事なんじゃないかなと思いますけどね。
──うん。さっき未来について話をしましたけど、ここで歌われている未来って、まさにそういう感じなんですよ。いろいろ言うやつもいるし、時代がどうとかもあるけど、未来ってあるじゃん? 作るじゃん? みたいな。
もう全然そうですね。何でもできると思いますよ。僕は当たり前のように「もう声出して歌っていってよくね?」みたいな感じなんですけど、それってたぶん世の中的にはすごい挑戦的だなって思われると思うんですよ。だからむしろ何やっても肯定的な人は増えるんじゃないかなと思う。まあ、否定的な人も増えるかもしれないけど。ぬるっとあるところに同じことをしに行くんじゃなくて、それがちょっとでも革命に映ったほうが広がるのも早いと思うし。チャンスなんじゃないかなって思ってるんですけどね。
──だからその姿勢とロックってすごく親和性が高いですよね。
そうですよね。だから本当に必然だし。僕にとっては本当にめっちゃ走ってポカリ飲んだらうまいだろっていうのと一緒(笑)。この何年間かコロナっつって走らされ続けて、じゃあポカリ飲むかって。だから僕にとってはすごい考えてセンスをひねり出したわけじゃなくて、「そらそうだ」っていう感じ。
──そこにポカリあるんだから飲むよ、みたいな。
そう、目の前にそれがあるんだったらそうするだろうっていうことですね。
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