2023.01.05 12:00
2023.01.05 12:00
ロックは人間が持つエネルギーがないと伝わらない
──今回の『2100年』というアルバムを僕はすごく前向きなものとして受け取ったんですよ。もちろん今までもMegaさんは前向きな音楽を作ってきたと思うんですけど、今作はより強い前向きさになっている感じがするなあと。
なんか、メッセージを放っている対象がより抽象的になったんですよ。若者を鼓舞したいっていう気持ちも、近くにいる若者が嫌いだったら出てこないじゃないですか。でも情報が入ってこないことによって人と人との距離感が僕にとって適正なものになり始めて、「みんな頑張ってるな」って思うようになった(笑)。あとは年齢的なことでも、22歳なんで、大学卒業する歳じゃないですか。そうなると周りのいた人も「俺やらないとな」ってやつと、漠然と掲げてた夢を「やめるわ」ってやつが出てきて。結構みんなちゃんとやるようになったなっていう印象があるんですよ。だからそんなにこう、「わかってねえな」みたいな状況がめっちゃ減ったと思います。ちゃんとやってる人はちゃんとやってるって感じるし、そうでもなかったやつはやめていくし。だから僕の歌もその人たちが聴いて「そういうマインドで生きていきたいな」ってなれるようなポジティブ性になってきたのかもしれない。
──今回のアルバム、背中を押してますもんね。最後の曲とかは特に。
そうっすね。いや、背中を押してるつもりはないんですけど、そういうことを言っても自分の周りにいる人にとってはそんなにキザではないっていうか。発言することに恥ずかしさはないって感じですね。
──そういう方向性とロックというスタイルがすごく合っていると思うんですが、そもそも今回、なぜロックだったんですか?
もともと僕、ロック好きなんです。だけどいろいろな音楽をやっていた理由っていうのが、ロックって、もちろん極めるのは難しいというか、いくらでも天井が上に上がっていくものだと思うんですけど、曲を作る段階においては基本的にギターを鳴らしてドラムがいて、ベースがいて、で成立するんですよ。だから、言い方悪いけど簡単に曲ができる。簡単なことは別にやりたくないっていうか、わざわざやらなくていいかなっていう主義なんでやってなかったんです。でも今って世の中的に、顔を隠して歌ってる人とか、別のものをやりながら音楽をやっている人とか、めちゃめちゃいるじゃないですか。その中でヒップホッパーとロックンローラーだけは、その人、人間が持ってる確固たるエネルギーがないと絶対に成立しないっていうか、伝わらないなと思うんです。僕は結構いろいろできる器用な面もあるんですけど、世の中に対する反骨心とかは自分の強みだと思っているし、だったら「自分がやるしかねえな」っていうか、自分がそういう音楽をやるのが一番いいんじゃないかなって。
──それでやってみて、どう思いました?
結果的にやっぱりロックめっちゃ好きだなって思った。最初はいろんな曲を作ろうと思ったんですけど、いやもう、これはロックアルバムの方がいいでしょうみたいな。ロックが一番いいジャンルだなぐらいまで思うようになって、それで結局ロックアルバムになりました。
──たとえば2nd EPの『東京熱帯雨林気候』のときもロックだったじゃないですか。あのときとは違う?
あのときは……もう全然覚えてないですけど、ロックがめっちゃ好きだからロックをやってたわけではないと思います。他のジャンルにもそれぞれ良さがあって、その中でロックを選択したっていうか。でも今回は「いやもうロックでしか、今のこのパッションを出せないでしょ」みたいな感じでロックを選択してる。で、ロックの虜になっていってるって感じですね、自分自身が。
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