2023.01.05 12:00
2023.01.05 12:00
東京生まれ福岡育ち、現在22歳のクリエイター、Mega Shinnosuke。昨年7月のEP『ハンサムなDANCE』に続く新作デジタルアルバム『2100年』は、資料に「渾身のロックアルバム」とあるとおり、どこを切ってもロックな1作になった。
まあ今でもロックをやったりやらなかったり、ヒップホップをやったりやらなかったり、ダンスミュージックをやったりやらなかったり、つまりはそのときどきの心の赴くままに自由奔放に音楽をやってきたMegaなので、もはや何をやろうと驚かないのだが、今回彼がロックを選んだのには、これまでとは違う確信と必然を感じるのである。何かと閉塞感のあるこの時代、コロナ禍も終わりそうで終わらないこの2022年の冬をドカーンと突破して、それこそ『2100年』というタイトルに象徴される未来に向かって突き抜けていくには、ロックのパワーと勢いとエモーションがどうしたって必要だったのである。
で、その確信と必然は間違いなくこのアルバムを聴いた人には伝わる。伝わらない人もいるだろうけどそういう人は置いていく。これを聴いて何かを感じたやつは、Mega Shinnosukeと一緒に未来のユートピアに向かおうぜ。そういうアルバム。たっぷり語ってもらった。
「未来」って言葉が好きになった
──2022年のMega Shinnosukeはどうでしたか。
うーん、リリースパーティーとかも確か2022年なんですけど、あれと1年前の『CULTURE DOG』ツアーが同じぐらいの記憶なんですよ。どっちもめっちゃ前って感じ。僕、3ヵ月前とかだと本当にめっちゃ前みたいに感じるんですよ。だから1年振り返ってどうでしたかって聞かれると、マジなアンサーとしては「あんま覚えてないっす」っていう(笑)。タームがどんどん切り替わるんで。でも……常に何もやってない、やれていない気持ちではいますね。今年はこれだけ頑張った、みたいなのはないです。
──そういう時間感覚はずっと昔から?
高校を高2でやめたんですけど、その時ぐらいからこうなった気がします。
──その時間の早さみたいなのって、未来に対してもそう? 1年後、2年後のことって想像しますか?
それはしますね、常に。でも変わるんですけど。だから絶対実現させてやるみたいなのはあんまりない。逆に言えば、3ヵ月後のことは考えてるかもしれない。
──いや、最近のMegaさんの曲に「未来」って言葉がいっぱい出てくるなと思って。
はい、好きなんで、未来。
──でも前はそんなに使ってなかったですよね?
いや、使ってたんじゃないかな……2022年になってから使うようになったのかな。どうなんだろう。でも増えましたね。それは「未来」って言葉が好きになったからなんですけど。あ、でも1個あるのは、何か「未来に向けて」みたいな感じって、学生のときって「考えましょう」って提案されて考えさせられるじゃないですか。進路とかもそうだけど。そうやって受動的に未来を考えさせられる瞬間が完全になくなって、自分から能動的に未来について考えるしかなくなったという。あとは前までは地元にいた周りの人とか環境があんまり好きじゃないみたいなことを歌ってたんですけど、そういうことがなくなって、今は周りに肌感が合う人が増えてきたから、あんまり周りのことにくよくよしなくなったじゃないけど、考えを持っていかれることが減って、自分の未来について考える時間が増えたのかもしれない。
──その周りが嫌だな、自分と合わないなという気持ちが反抗心や反骨心になって表現が生まれることもあるじゃないですか。
そうですね、実際それでした。
──それは今はどうなんですか?
それもあるけど、あんまりそうしていても意味ないなっていうふうに思ってる自分もいる。わかりやすいことでいうとSNSをやめたんですよ。だから僕は友達とか周りの人のことをSNS上では知ることができない。そういうことを始めて、より周りからの情報から脱却できた感じになってきてるんです。もっと大きいところでは、音楽業界全体とか、今の世の中の人がこういう音楽を聴いてるとか、音楽関係なくてもこういうコンテンツが流行ってるとか。そういう広いところでは反発心を感じることはあるんですけど。
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