映像を彩るテーマ曲はSADFRANKが歌う「愛の讃歌」カバー
北村匠海がまなざしで表現した怒りと希望、宮沢りえ圧巻の演技が光る『しびれ』90秒予告解禁
2026.07.31 08:00
©2025「しびれ」製作委員会
2026.07.31 08:00
9月25日(金)より全国公開される内山拓也監督の最新作『しびれ』の90秒予告編が解禁された。
新藤兼人賞ほか数々の映画賞新人賞に輝いた『佐々木、イン、マイマイン』(2020年)、続く『若き見知らぬ者たち』(2024)を手がけてきた内山監督。本作では故郷・新潟を舞台に、居場所とアイデンティティを模索する少年の物語を自伝的に描く。
主人公は、日本海沿いの町で暮らす大地。幼少期に暴君のような父の影響で言葉を発せなくなり、母の亜樹と苦しい生活を送っていたが、父の行方を求めて生家を訪ねたことをきっかけに運命が動き出す。物語では、彼が大きな愛を知るまでの20年間がリアリズムに根ざした視点で描かれる。
そんな大地の青年期を演じるのは北村匠海。母・亜樹役を宮沢りえ、父・大原役を永瀬正敏が演じるほか、少年期の大地を榎本司・加藤庵次・穐本陽月の3名が演じ物語を牽引していく。
今回解禁されたのは、大地が母親から届いた手紙を読むシーンから幕を開ける本予告。映像はそこから大地が冬の新潟で母・亜樹と暮らした日々の断片へと続き、少年期を演じた榎本と加藤、幼少期を演じた穐本の姿が映し出される。後半では親子の激動の日々を予感させる炎やうねる日本海、鉛色の曇天といった壮大な情景が挟み込まれ、一方で小さな浴槽で母子が向き合う場面からは束の間の幸せと母親からの確かな慈愛がにじむ。「母が嫌いだった。それでも今は寂しい。」というキャッチコピーが切なく映像を彩ると、ラストには車を運転する成長した大地の横顔に微かな光が宿る。セリフのないまま変幻自在なまなざしで怒りと希望を表現した北村と、一人の女性の20年を演じ切った宮沢。ふたりの演技の凄みが光る90秒となっている。
そんな息子と母のドラマを盛り上げるテーマソングに起用されたのは、ロックバンド・NOT WONKのギター・ボーカル、加藤修平のソロプロジェクトSADFRANKによる「Hymn To Love」。2020年にリリースされた同曲は、内山監督が『しびれ』の撮影にあたりキャストやスタッフへ世界観共有として聴かせていた、エディット・ピアフの名曲「愛の讃歌」(英題:Hymn To Love)のカバーとなっている。その理由について監督は「楽曲自体は恋人に宛てたものですが、この普遍性は時代や国境を超えて、家族、親子、友人、国など様々な解釈がなされ、愛についての象徴として広く届いており、自分にとっては“母”への愛として浸透しています。『しびれ』は“愛の讃歌”であると思っています」と述べている。SADFRANKの「Hymn To Love」は監督が北村に渡していた役作りのためのプレイリストにも収録されており、監督と北村にとって創作の源でもあった大切な楽曲だという。
なお本作は国内外の映画祭でも高い評価を集めており、2025年11月に選出された第26回東京フィルメックス・コンペティション部門では審査員特別賞を受賞。2026年2月には第76回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門にも出品され、5月の第4回横浜国際映画祭では作品賞にあたるグランプリ、最優秀監督賞、最優秀男優賞(北村)、優秀女優賞(宮沢)の4冠を受賞した。さらにこの7月にはダナン・アジア映画祭のアジア映画コンペティション部門でも審査員特別賞を受賞したほか、第28回台北映画祭では世界的な映像作家に焦点を当てる“Filmmakers in Focus”に内山監督が選出されるなど、大きな話題を呼んでいる。
