久々の朗読劇で板谷由夏と初共演、多岐な活動への思いに迫る
カテゴライズされない今の状況が面白い。津田健次郎がボーダレスに活躍できる理由とは
2025.05.14 18:00
2025.05.14 18:00
ずっと好きなのは、エンターテインメントとアートのバランスがよい作品
──いざご自分で作るために動いてみて、どうですか。
面白いですけど大変だし、大変だけど面白い、みたいな感じですね。作る側は作る側で、出るのとは全然違うなと。ただ、自分で作品を作ろうとしてから、台本の読み込みが少し深まったような気もします。いや、深まってるといいんですけどね……わかんないですけど(笑)。
──やっぱり作る立場になると、見方とかが変わったりしますか?
それはそうですね。より全体を見るようにはなりますし。

──監督として自分で作品を作っていくと、自分の好みや色を確認していく作業になりませんか?
なりますね。自分の色はいっぱい出せるといいな、とは思ってます。何となく自分はこういうのが好みだよな、こういうのが好きだよなというのが自分の色になっていくような気はしてますけどね。
──津田さんご自身の好みとしては、どんなものが好きなんですか?
ただ、ノンジャンルなんですよ。ホラーと恋愛もの以外は大体観るので……もちろんホラーも観たことはありますし、恋愛ものもよくできてて面白いなとは思いますけど、でも観る機会はすごく少ないです。
──そうなんですね! ちなみにやっぱり、お仕事が忙しくなるとプライベートで作品を摂取する機会は減ってきちゃったりしますか?
圧倒的に減っちゃってますね……! いやもう、観ておきたいものはたくさんあるんですよ。でも、基本的に映画館で観たい人なんですね。そうすると、どうしても時間が合わなくて……。なかなかそうもいかなくて配信で観ることもありますけど、やっぱり映画館で観たいですよね。
──津田さんが最初に映画監督を志したのは高校生の頃だとお伺いしましたが、その頃から「好きな作品」の傾向は変わらなかったりしますか?
そうですね、変わらないと思います。結局、何が自分の心を揺らすかということはすごく大事なことなので、そこはあんまり変わらない。基本的にはエンターテインメントとアートがほどよいバランスで成り立っている作品、というのがやっぱり好きですね。ただ、僕自身の好みでいうと、実はすごくレンジは狭い人間だと思ってます。

──ちなみに今、エンタメで面白いと思っているものや、これおすすめです、という作品はあったりしますか?
小説なんですけど、去年、ガルシア・マルケスの『百年の孤独』が文庫化されて、文学界がもう大フィーバーを起こしていて。ずいぶん昔に読んで「すげえ!」ってなってたんですけど、改めて今回読み返してみたんですよ。そうしたらやっぱりすごかったし、面白いなこういうのって、と思いましたね。ああいうマジックリアリズムって日本ではあまりなじみがないものではあるので、こういう作品がもっと増えるといいな、とか思ってたりはします。
──ここでガルシア・マルケスが出てくるとは意外でした(笑)。かなり世界観も私たちが住んでいる日本とは遠いものですよね。
そうですね。あまりにも世界観が日本と遠いのが面白いなと思っていて。ちょっとやっぱりイカれてますよね(笑)。
──でも先ほど、お好きなものに関してエンタメとアートのバランスというお話がありましたけど、今の『百年の孤独』の話がちょっとリンクするような気がします。完全に理解できないものがあってもいい、という感じですか?
……感覚にフィットするというか、完全に理解はできないし、文脈がわかりにくいけど、肌感でわかるみたいな、そういうものもすごく好きなんですよ。それがもう少しわかりやすくエンタメになると僕的にはすごくバランスが良くて、受け取りやすいな、と思うんですよね。
──映像作品では最近面白かったものはありますか?
難しいなあ……いっぱいあるんですよ。でも本当にいっぱいあるから、あえて挙げるのが難しい。さっきのマジックリアリズムに関連して言えば、ホドロフスキーとか好きですよ。とくに歳を取ってからのホドロフスキー作品、『リアリティのダンス』とかああいうのは、なんか本当に自由で、面白いなと思いますね。

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