2025.04.26 17:00
2025.04.26 17:00
人間関係はバランスを対等にすることが大事
──撫子さんは国民的女優というイメージを守りながら、密かに食を楽しんでいます。堀さんにも人には言えない至高のひとときはありますか。
え〜、なんだろうな〜。言えないことがないんですよね。

──確かにそんなイメージです(笑)。
あ、でも、家の中にいるときはあんまり見せたくないかな。結構だらしないので。もうソファの上で溶けています。溶けすぎて、ソファになってる(笑)。
──原型をとどめていない(笑)。
でもありません? このポージングでずっといたら痺れちゃうなとわかってるのに、そのままいちゃうことって。で、あとで本当に痛くなるみたいな。家ではそういう時間が多いです。パジャマも可愛いのとか買ったりするんですけど、結果、上下全然違うのを着て髪もボサボサ。もちろんすっぴんなので、そこはあんまり見せられないと思う。
──メイク動画とか拝見していたので、常に美意識が高いイメージでした。
頑張るのはメイクをしてからです(笑)。メイク前はもう全然。それこそ実家に帰ったら昼過ぎまで寝てるので、邪魔者扱いを受けています。好きなんですよ、実家に行ってソファの上でお昼寝するのが。だから、休日は実家に帰りたいんですけど、邪魔だから来ないでって言われています(笑)。
──家事とか、そのあたりはちゃんとやるタイプですか。
自分の家のことはちゃんとします。運気とか結構気にするので。
──なるほど。じゃあ、部屋が散らかってるみたいなことはない。
ないです。私自身がいちばん汚い(笑)。あの部屋で私だけ浮いています(笑)。

──第2話で「ちょうどいい幸せ」という言葉が出てくるじゃないですか。あれってすごく大事だと思っていて。堀さんは普段からよく「自分の機嫌は自分でとる」ということをおっしゃっていますけど、そのマインドと通じるところがあるなと。
これだけSNSが盛んになると、気づいたら誰かと比べちゃって謎に落ち込んだり、誰かが行ってるお店を見て「私もこういうところに行きたい」と惑わされることはあると思います。そういうときはSNSを絶って、スマホも置いて、数時間でいいから自分だけの時間を過ごしてみるのがオススメ。
そしたら「あの人はすごくおいしそうなものを食べてたけど、私は別にお茶漬けで満足だし」とか、「あの服がほしかった気がするけど、よくよく考えてみれば別にいいや」って冷静な自分を取り戻すことができる。私はよくお風呂のときにそういう時間をつくって、ちゃんと地に足をつけてやっていくように心がけていますね。
──とはいえ、人って急に「寂しい」という感情に襲われることってあるじゃないですか。
ありますよね。そういうときほど人に依存しちゃったり、暴飲暴食をしちゃったり、変な買い物をしちゃったり。
──ああいうモヤモヤをどう自己解決すればいいんだろうと悩んでいる人は多い気がします。
私の場合、そういうときはほしいものは買うし、会いたい人には会いに行くのをモットーにしています。我慢してもモヤモヤがたまるだけなので。ストレス発散にもなるし、そういう不安定さも人間らしい部分じゃないかなって思うんですよね。
──自分が寂しいときだけ構ってくれる相手を探すのって、人を都合よく利用しているみたいな罪悪感に駆られないですか。
(スパッと即答で)ないです。だって、自分も都合良く利用されてると思うから(笑)。
──清々しい……!
私、甘えられることが多いんですよ。だから、むしろ人に甘えることを今年のテーマにしていて。おっしゃる通り、どちらか一方だけがもたれかかっている関係だと、私もしんどいし、向こうも申し訳なくなると思うんですね。そのバランスを対等にすることが、大人の友情における信頼と平等性につながっていく。だから、自分が甘えたいなと思ったときは甘えて。その代わり、その人が甘えてきたら思い切り甘やかしてあげる。ただし変に距離感が近くなりすぎないように。お互いが同じバランスであることは、私が人間関係で大事にしていることの一つです。

──ちゃんと一線を守るって大事ですよね。
大事だと思います。
──お話を聞いていると、おそらくそもそもそんなに依存体質ではない?
全然。どの国でも一人で生きていけると思っています。
──やはり強い。
だって、人間って一人で生まれてきたんですよ。だから極端なことを言うと、一人で生きていけないと人間とは言えないと思う。ただ、実際に一人で生きていくのは心細いから、ベースは一人ということを守りつつ、その中で協力し合ったり、何か手を貸してほしいときは、その時々でベストな相手に寄りかかる。その上で、誰といても、一人でいても、変わらない自分自身であることが私は大事だと思っています。
── 一人でいることが苦手な人たちに、堀さんからアドバイスをするとしたら、なんと言ってあげたいですか。
無理やりにでも環境を変えてみたらいいと思います。私自身がそうでした。岐阜から一人で東京に出てきて、一人で生活して、突然センターに立たされて。自分が思い描いていたものとは全然違う環境にポーンと放り出されたことで、ちゃんと自分軸を持っていないと生きていけないなと思った。そこで性格が変わったんです。甘えられる環境にいる限り、人はなかなか変われない。何ヵ月か海外に行ってみるとか、職場を変えてみるとか、友達と会う回数を減らしてみるとか、環境を変えてみたら、自然と鍛えられると思います。

ドラマ『女優めし』場面写真 ©︎藤川よつ葉・うえののの/集英社 フジテレビ