映画 『徒花-ADABANA-』で感じたこと、心の転機を語る
「もっと弱いところをシェアしていい」水原希子が大切な人から学んだ“幸せの築き方”
2024.11.04 17:00
2024.11.04 17:00
芸能人だって恋をするのはごく自然なこと
──水原さんを見ていると、めちゃくちゃ人間らしい人だなと感じます。ちゃんと本音で生きている気がして。
そうですね。直感のまま生きているところは正直あるかもしれない(笑)。母子家庭ということもあって、私は長く母と妹を自分で養わないといけないと思い込んでいたんですね。そうした家族を守りたいという気持ちが力になることもあれば、時に漠然とした不安につながることもあって。でもそれをなかなか家族にぶつけられなかった。
それが、最近やっと見せられるようになりました。確かに私はこれまで強くたくましく生きてきたように見えるかもしれない。でも私にも心があって、すごくナイーブなところもあるんだということを自分自身が認識できるようになって、それを家族という最も身近な相手とシェアできるようになった。
自分がどういうことを感じているかを知ってもらうって、すごく大切なこと。その方が向こうも私という人間をより深く理解できるし、そこから会話も生まれる。友達には自分の弱さをオープンに見せられていたんですけど、家族に対して長らくその作業を怠っていた気がします。でも今はある意味運命共同体として、私という人間の中で生まれる感情を家族と共有できるようになった。その分、私も家族も孤独を感じなくなったというのは、ここ最近の中でも特にハッピーな変化の一つですね。
──オープンという話でいくと、水原さんは恋愛についても隠すことなく発信されますよね。日本の芸能界ではなかなかないことだからすごいなって。
最近日本でもオープンにする人が増えてきましたよね。私はすごくいいことだと思います。だって楽な方がいいじゃないですか。アイドルとかだったらちょっと難しいかもしれないですけど、芸能人だって人間なんだし、恋をするのはごく自然なこと。それを隠して苦しい思いをするくらいなら、オープンにして楽になった方がいいと思うし、幸せな姿をいろんな人に見せることで幸せを伝播させていった方がいいんじゃないかと私は思うんです。
──水原さんは基本的に嘘が苦手そうですね。
苦手ですね(笑)。いい嘘だったらいいと思うんですけど、基本的にあんまり嘘はつきたくない。
──自分を誤魔化したり変にカッコよく見せようとしないところも素敵です。
あ、でも私にも言わなくていいかなと思って隠してたことがありますよ。それは恋人に対してなんですけど。
──へえ。そうなんですね。
たとえば過去にこういう悲しいことがあったとか、そういうことを今付き合っている相手にわざわざ言う必要がないと考えるタイプでした。きっと恋人の前でいい子でいようとしていたんだと思います。
自分ではそんなふうにいい彼女を演じているつもりはまったくなかったんですけど、あるとき、今の恋人に言われたんです、「僕のためにいい子でいようとしなくていいよ」って。正直、最初は何を言われているのかまったくわかりませんでした。
でもよくよく考えていくうちに、確かに彼を困らせないようにしているところがあったなって。たとえば、仕事ですごく疲れた日があったとしても、私はそれをいちいち彼には言わなかった。むしろ彼に「今日はどうだった?」と話を向けて、場を盛り上げるようにしていたところがありました。でもそれって、きっと彼は私のネガティブなところとか見たくないだろうし、嫌な話なんて聞きたくないだろうなって勝手に判断して、元気な女性を演じていただけなんですよね。
──そんなふうに知らぬ間に空気を読んで、ケアする側にまわっている女性というのは日本に多いと思います。
でも今の彼は──彼はアメリカの人なんですけど、元気な女性を演じている私より、今日私にどんなことがあったのか、そこで何を思ったのかを聞きたいし、もしも苦しい思いをしているなら苦しいと言っていいんだよと言ってくれる人。彼の言葉で、自分が彼から嫌われないように振る舞っていたんだなと気づけたし、そこから彼に対してもオープンになれました。だから、今はすごく幸せ。
大切な人に弱い部分を見せるって自分の心にもすごくポジティブな影響がある。だから、もし無理して強くあろうとしている人がいるなら、もっと弱いところをシェアしていいんだよと伝えたいですね。
『徒花-ADABANA-』場面写真 ©︎2024「徒花-ADABANA-」製作委員会 / DISSIDENZ