2024.05.19 12:00
2024.05.19 12:00
失敗を恐れずに、挑戦はやめたくない
──青木さん自身も“父親”でいらっしゃいますが、ご自身はどのようなタイプの父親だと思いますか?
わかんないです(笑)。自分はこうだ!って言える人いないんじゃないですか? あくまで主観だし、客観だとまた全然違うし、誰が言うかによって全然見え方違いますから。
──なりたい父親像という意味でも同じですか?
そうですね。子供と同じように親も成長していて、子供が生まれた瞬間に親としての産声も上げているので、結局並走でしかないんですよね。「あの親子の感じいいな」って思っていても、実際本当はすごく大変ということが現実でもあるので。だから、優しく接してあげられる瞬間とか、日常で怒ったり機嫌が悪くて当たったりしても「ごめんな」って謝れる素直な心を持って向き合えることが、いい父親像……と言ってしまうとプレッシャーになってしまうんですけど、素直に楽しくやっていけたらいい関係を築けるのかな。まだまだ一年生でもがいております。
でも今回の作品において間違いなく言えるのは、自分が父親になったからできた表現はあったと思います。役者という仕事をやるときって想像力を膨らましながら、いくらフィクションであっても、本当に自分の目の前にあるリアルに起きたこととして信じ込んで演じているわけなんですけど、親子における感情だけは、もちろん同じ状況ではないですけど、体感していないとなかなか表現として難しかったかなって僕自身は思いました。石原さんもこのタイミングだからだとおっしゃっていましたし、それは僕も同じですね。
──具体的なシーンはありますか?
佇まいの問題なので全シーンですね。石原さんは出産を経ての作品だと思いますし、僕自身も子育てを経験しているということで、子育ての大変さとかをお互い認識し合っている中でこの台本を共有して、タイミングが重なったからこそできた表現だったと思います。
──子育てを経験したからできた表現、とのお話ですが、青木さんご自身は人生において無駄な経験はないというお考えでしょうか。
そうですね。無駄だったかどうかは死んだときにわかるかなと……(笑)。人は失敗から得られることも本当に大きいと思います。その方が染み込むとも思うので、失敗を恐れずにトライしていくっていうこと、ダメでもともとっていう感じで、いろんなことをやっていきたいですね。ただ生きてる時間は限られていますし、あんまり考えたくはないんですけど、20代のように体が動かないということを考えると、やれるうちに挑戦したいことの順番や優先順位は整理しなきゃなって。何でもがむしゃらにやるよりは、整理して、挑戦はやめたくないっていう気持ちはありますね。
──無駄かどうかより、経験することに意味があるということですね。
実際無駄かもしれないですけど、それをやっぱり再利用したいですね。今回は本当に使えなかったことがあったとしても、次そういうものを生まないようにどうしていくかって考えられたら、それで再利用できているので。タイパとかコスパばっかり追いかけたくはないですけど、時間は有限なので、より多くのものに触れたい。そのために整理が必要な年齢になってきたなと思います。
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