2023.12.25 17:30
2023.12.25 17:30
“ポストパンク”と称されることについて
──ライブを見ていると本当5人が仲いいんだなっていうのが、曲のグルーヴ感からしてもわかります。みんなでエフェクターショップに行って「これ欲しいんだよね」とか会話してるのかな?とか思ってました(笑)。
オリー もちろん、そういう会話はあるよ。いつもエフェクトペダルのことを話してるよね。
アーサー 新しい楽器も大好きだけど、そこまで僕らはハイテクじゃないんじゃないかな(笑)。
ローリー 壮大なサウンドを作るにあたって、最新の高いものを使っているわけじゃないんだよね。
──5人が奏でている一個一個の音を抜き出してみると、単独で成立するというよりは、それぞれの音が絡み合うことで成立しているのがすごいなと思ってまして。
ローリー ありがとう。ジャムをしながら有機的に生まれてるものだね。
──日本でよく言う“ポストパンク”はダンスとパンクの要素が強いイメージなんですが、Squidはそこから距離をとっている印象があります。
アーサー バンドを結成したときに自分たちを“ポストパンク・バンド”と言ったこともないし、思ったことも、意識したこともないんだよね。とにかく実験的なことをやろうってことだった。もちろん一部のポストパンク・バンドからインスピレーションを得たことはあるけど。だからだと思う。
──2000年代のイギリス・アメリカでは“ポストパンク”と呼ばれるバンドもすごく多かったと思うんですが、そんな中でSquidの個性が勝っている秘訣はそこなんですね。
アーサー 僕らは全員の影響を受けた音楽が違うんだ。だから意見が一致することがない(笑)。違う意見が出てくるからこそ、予期していないものが生まれるんじゃないかな。
──意見が食い違う時には自然にまとまるのか、それともちゃんと話すのでしょうか?もしくは飲みながら?
3人 (笑)
オリー 何も話さないこともあるね(笑)。
ローリー 例えば、エゴを抑えてリハをやった何日か後とか、自分の意見を忘れて集まった時に面白いものが生まれたりすることもあるんだよね。
──そういう時、メンバーごとの役割はありますか? 怒りっぽかったり、まとめ役だったり。
オリー みんな人間だからいろんな感情は出てくるよ。
アーサー 朝コーヒー飲む前はよく喧嘩するね(笑)。
──そういうルールがあるんですね(笑)。
オリー 誰も口に出してないけど、あるかもしれない(笑)。
──それはバンドを組む前から?
ローリー 一緒に曲を書くようになってから、よりお互いのことを知るようになったと思う。
アーサー 友達と仕事をするっていうのは、試行錯誤しながら学ぶことが多いんだよね。まだ学びのスタート地点にいるんじゃないかな? これからもっとお互いのことをたくさん知っていくんだと思う。
──個人的に今のUKシーンが面白くて、Black Country, New Roadにもインタビューさせてもらって、7月にはフジロックでblack midiを観ました。彼らとは対バンをすることがあると思いますが、「日本こうだった」みたいな話を聞くこともありますか?
オリー あえて他のバンドとは距離を取っていて、個人的にオフは昔からの友達と会うようにしているんだ。それに、彼らはツアーでいろんなところに行ってしまって地元にいないことが多いしね。自分たちもツアーに出てるし。
──今回のアルバム『O Monolith』は、ツアー終わってすぐにレコーディングしたと聞きました。次の作品の構想は?
アーサー 3rdアルバムの楽曲は既に書き始めていて、すごく満足できるアルバムになりそうなんだ。ただ、今年はあまりに忙しかったから、12月は全員のんびりと休暇を取るよ。
──そういえばオリーは『AKIRA』のサウンドトラックをお持ちだそうですが、渋谷は『AKIRA』の聖地ですよ!
オリー そうそう、すごいよね。
──あれって激レア盤だからよく持っているな、と驚きました(笑)。
オリー Amoeba Musicのロサンゼルス店で買ったんだけど、ほんとに、めちゃくちゃ高かった(笑)。
通訳:湯山恵子