2023.12.25 17:30
2023.12.25 17:30
群雄ひしめくUKインディー・シーンで現在最も革新的なバンドの一つに数えられるSquid。彼らが2ndアルバム『O Monolith』を引っ提げ11月に2度目の来日を果たした。
ポストパンクとジャズ、電子音楽を織り交ぜるサウンドが大きな喝采を浴びた昨年のSUMMER SONICから1年と3ヵ月、東京と京都で開催された今回の初単独ジャパンツアー。その東京公演当日、会場のWWW Xからほど近くにある渋谷のバーに集まったメンバー5人からオリー・ジャッジ(ドラムス、リード・ヴォーカル)、ローリー・ナンカイヴェル(ベース、トランペット)、アーサー・レッドベター(キーボード、パーカッション)の3人がインタビューに応じてくれた。
偶然性を重要視するライブスタイル
──2度目の来日、心待ちにしていました。初来日となった昨年のSUMMER SONICのライブも評判を呼んでいましたが、その時のお客さんの反応はどうでしたか?
アーサー あんなに多くの人が集まってくれたことに驚いたし、日本のオーディエンスはリアクションもすごくよかったので嬉しかったよ。
──Squidのライブはメンバー全員横並びのスタイルだからそれぞれが何をやっているか面白く見ることができるし、目をどこにやったらいいかという贅沢さもあります。
オリー Squidは全員が平等のバンドだから、誰か一人が目立つということなく、意図的に一列に並んでいるんだ。
──それは結成当初から?
3人 ノー、違うんだ。
オリー 会場が狭い時代は毎晩入れ替えてて、ステージからはみ出たり、客席のすぐ近くにいたりもしたんだけど、今は十分な広さが得られる会場で演奏できるところまで成長できたから、真ん前まで出てきてるんだ。会場の人には「スペースめっちゃ空いてるけど大丈夫?」とか聞かれるんだけど、全員でラインを作ってやるのは気に入っているよ。
──ワールドツアーだと普段使ってる機材を全部持って行くことができなかったりすると思うんですが、どうやってその穴を埋めたり、アレンジしたりしてるんですか?
アーサー サンプリングを使っていたり、ライブ用にアレンジもするよ。Squidのライブはインプロバイズ(即興で作ること)しながら演奏しているので、アルバム音源よりちょっとシンプルバージョンにしているんだ。
──ライブではインタールード的な演奏も多く盛り込んでいると思うのですが、それはもともと何種類かネタがあるのか、それともその場の即興で?
ローリー 両方かな。もとからインタールードが構成されているものもあるけど、少しアレンジしたり、セレンディピティ(偶然性)をすごく大事にしているので、その場でゼロから作ったりするものもあるよ。
──その時は誰が主導していくんですか?
オリー 最初はベースじゃないかな?
アーサー 誰でもいいんだけどね。
オリー 最初に演奏した人から始まるね。
──2ndアルバム『O Monolith』をリリースする際、未完成の曲もお客さんの前でパフォーマンスしたと聞きました。普段から相当な数のジャムセッションをスタジオでやっているんでしょうか。
ローリー 昔からジャムセッションはすごく大事にしているね。ステージで未完成なものを演奏して、そこで手直しして、またリハーサルに入って5人で一緒に曲作ったりとか手直しをしたりして仕上げていくんだ。
──結成時のお話を聞きたいのですが、もともといろんな楽器をできると人たちでバンドを組みたかったのか、それともメンバーがお互いにやりたいものを話し合いながら楽器を覚えていったのでしょうか?
ローリー 後者だね。友情関係があってから、徐々に楽器を覚えていったよ。
──なるほど。楽器はやってみたかったものを選んだのですか?
オリー もともとアーサーがチェロを弾けたり、ローリーがトランペットを吹けたりしたんだ。僕は全然歌ったことなかったのでドラムを叩いていたんだけど、やっていくうちにどんどん変わっていった感じだね。
──メンバーが楽器をいろいろ使えるようになるのを見て「もっと頑張らなきゃ」とか思ったりしますか?
アーサー 競争心という意味ではなく、一緒に頑張ろうっていう感じで、そういう気持ちにはなるね。例えば日本人のバンド、おとぼけビ〜バ〜と一緒にやったりもしているんだけど、他のアーティストと一緒に共演することでインスピレーションを得ることも多いかな。
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