Bezzy[ベジー]|「人の魅力」にフォーカスしたエンタメメディア

「人の魅力」にフォーカスしたエンタメメディア

REPORT

tetsuya率いるコピーバンドが歓喜で満たした日比谷野音公演

極上の夢を見せたLike~an~Angelのパラレルワールド、圧倒的名曲群に新たな彩りを加える

2023.10.23 19:00

Like~an~Angel “PARALLEL WORLD 2023” より(写真:岡田貴之)

2023.10.23 19:00

全ての画像・動画を見る(全8点)

スタッフまでも一体となった感動の一幕も

そんな激アツギターバトルの終盤で爪弾かれる美しい調べに客席からは再び歓声が上がる。「MY HEART DRAWS A DREAM」だ。jekyllのファルセットとtetsuyaのコーラスが溶け合い、夜空へと突き抜けていく。曲後半では“夢を描くよ”の一節を会場全体で大合唱。歌詞の通りだが、まさに“Our hearts draw a dream.”の瞬間であった。それから「X X X」を艶かしく、そしてダークでヘヴィな「AS ONE」などを続けざまに披露した後に、tetsuyaはMCで自身が晴れ男である故、天候の心配は一切していなかった事や、ツアーもやりたいと思っている事などを明かしてくれた。

hiro(Gt)

MCを終えるや否や、tetsuyaは再びベースをキツく歪ませる。縦横無尽に指板を駆け巡るソロベースに息を呑んでいるとそのまま「STAY AWAY」へ繋げていくという華麗なアレンジに客席は狂喜乱舞。サビでは盛大なクラップが巻き起こっていた。続けてtetsuyaは“ブンブンブーン”と一声。先程の狂喜乱舞を“限界まで振り切ってくれ”る様な「Driver’s High」である。秋風に吹かれながら爽やかなメロディと小気味良く転がるバンドのアンサンブルに身を委ねるという、なんとも贅沢な体験。というかそもそもこの会場の規模感にて「Driver’s High」の生演奏に触れる、という現象自体が本隊のラルクであれば到底起こり得ない出来事。冒頭に記した通り、これぞまさにパラレルワールドといった趣きではないだろうか。

バンドはそのアンサンブルを8ビートから2ビートへと更に加速させる形で駆け抜けていく。本編ラストにセレクトされたのは「GOOD LUCK MY WAY」であった。パラレルワールド真っ只中の客席に対して“まだまだ夢は醒めないね”なんて歌い出しなんかもう完全にこちらの気持ちが読まれているよう(笑)。tetsuyaのベースが主導するもとでのびのびとプレイするjekyll、hiro、saki、hibiki。彼らもきっとこのパラレルワールドの住人である事を心から楽しんでいるはずだ。

hibiki(Dr)

少しでもこの世界に長く留まっていたい客席からのアンコールに応え、メンバーは衣装をチェンジして登場。夢の続きは「Fare Well」から始められる。アルバム『True』の冒頭を飾る荘厳なミディアムナンバーだ。少しひんやりとした夜空の下で聴くにはうってつけの選曲。間奏ではhibikiのマーチングの上でtetsuyaが華麗にアルペジオのフレーズを奏でていく。シングル『Vivid Colors』のカップリングである「Brilliant Years」ではhiroの鋭いバッキングの上でsakiがアコースティックギターにスイッチ。印象的なフレーズの数々を流麗な指使いでキメていった。

さあ、極上のパラレルワールドもいよいよ幕引きの瞬間が近付いている。銀テープ降り注ぐ中で演奏されたのは「Link」。間奏のパートでは客席も精一杯のクラップでアンサンブルに参加。ふと舞台袖に目をやるとなんとスタッフさんもそれに合わせてクラップしているではないか。演者と観客とスタッフが一体となって楽曲にさらなる彩りを加えるという、なんとも感動的な一幕であった。

jekyll(Vo)

堂々のラストは「あなた」。ここでステージ後方のロゴが下がり巨大なミラーボールが出現。幻想的に空間を照らし出す中でjekyllが渾身の歌声を聴かせる。このライヴが終わったら、終わってしまったら、パラレルワールドのその先へとまた踏み出して行かなねばならない我々をLike〜an〜Angelは祝福してくれているのだと、筆者は胸を震わせながら、そう思ったのである。

カーテンコールではtetsuyaの万歳三唱ならぬわっしょい三唱(笑)。そして“また遊びに来てくれる?”や“想像の上だった?”とにこやかに客席に語りかけつつ、最後は「まったね~!」と、いつもの挨拶にて大団円となったのであった。中盤のMCにてtetsuyaは冗談めかして“この楽曲の良さがあればベースは僕じゃなくても(笑)”なんて口にしてはいたが、とにかく改めて今までL’Arc~en~Cielが残してきた楽曲の素晴らしさに圧倒されるライヴであった事は言うまでもない。我々はパラレルワールドの先の日常へと戻ったが、Like~an~Angelの次は、一体どこへと向かうのか。続報が待ち望まれるばかりである。

全ての写真:岡田貴之

セットリスト

Like~an~Angel “PARALLEL WORLD 2023”
2023年10月7日 日比谷野外大音楽堂

01. In the Air
02. THE BLACK ROSE
03. The Rain Leaves a Scar
04. 死の灰
05. DAYBREAK’S BELL
06. CHASE -English version-
07. THE NEPENTHES
08. 真実と幻想と
09. MY HEART DRAWS A DREAM
10. X X X -English version-
11. EXISTENCE
12. AS ONE
13. Cureless
14. STAY AWAY
15. Driver’s High
16. GOOD LUCK MY WAY

【ENCORE】
EN1. Fare Well
EN2. Brilliant Years
EN3. Link
EN4. あなた

記事トップへ戻る

全ての画像・動画を見る(全8点)

L'Arc-en-Cielのベーシスト兼リーダーとして1994年にメジャーデビュー。
2001年リリースの「wonderful world / TIGHTROPE」でソロ活動をスタート。
2022年にソロデビュー20周年記念公演を日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)で開催した。
2024年2月から4月にかけて L'Arc-en-Ciel「ARENA TOUR 2024 UNDERGROUND」を開催する。

RANKINGランキング

RELATED TOPICS関連記事

  • “知的”よりも“感情的”な音楽を作ったとコメント KISSのポール・スタンレーがファンとの強い繋がりを作る方法を語る

    2023.10.05 19:50

    今年の12月2日にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで最後のライブを実施するKISS。50年にわたるキャリアを完結させる伝説的なロックバンドだが、バンドがファンと強い繋がりを持てている理由をポール・スタンレーが語った。 先日ドバイのニュース「Gulf News」に出演したポール・スタンレーは、知的な音楽を作るよりも感情に訴えかける音楽を作ることがキャリアを長続きさせる上で重要だとコメントした。 「俺はいつもこれを言うんだ。どんなに大きなショーだったとしても、クソみたいなバンドはクソなんだ。俺らは最初から全てを持っていたわけではない。最初は、若い頃に聴いて影響された音楽のような作品を作… <a class="more-link" href="https://bezzy.jp/2023/10/33787/"></a>

    #Kiss#ポール・スタンレー

  • ジェームズ・ヘットフィールドとの共通点も語る メタリカのラーズ・ウルリッヒが“今でもピークに達していないと感じる”と発言

    2023.09.28 19:40

    世界で最も成功したメタルバンドとして人気を誇るメタルバンド、メタリカ。今年の4月14日にリリースされた最新アルバム『72Seasons』は全世界15ヵ国で1位を獲得し、昨年には楽曲「Master Of Puppets」が人気ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン4の最終回にてフィーチャーされ、デビューから40年経った今でも高い人気を誇っている。 ドラマーのラーズ・ウルリッヒは、ポッドキャスト「Smartless」に出演した際に、今でも前に進み続ける原動力について語った。 「今でも私たちを前に進めるものは、“まだメタリカのピークには到達していなく、まだ一番良いアルバムは作れていな… <a class="more-link" href="https://bezzy.jp/2023/09/33421/"></a>

    #Metallica#メタリカ

  • 発売30周年を記念して世界的名匠がサウンドをアップデート L’Arc~en~Ciel、インディーズ時代のアルバム『DUNE』リマスター盤&アナログ盤をリリース

    2023.03.30 14:00

    L’Arc~en~Cielがインディーズ時代に発表した唯一のアルバム『DUNE』。1993年の初リリースから30周年を記念して、5月30日にリマスターが施された「スペシャル ジャケット限定盤」「通常盤」「アナログ盤」の全3形態がリリースされることが決定した。 高い芸術性と幅広い層に浸透するポピュラリティーを両立させ、存在としては孤高でありながら広く愛されるモンスターロックバンドとして世界に名を馳せてきたL’Arc~en~Ciel。『DUNE』はその原点とも言うべき名盤となる。 リマスタリングを手掛けたのは、幾多のグラミー受賞歴を誇るエンジニアであるSterling So… <a class="more-link" href="https://bezzy.jp/2023/03/22638/"></a>

    #L'Arc~en~Ciel

  • イナズマロック フェス 2022 特集 西川貴教ロングインタビュー【後編】──イナズマで得た家族、共に突き進む未来

    第2回 2022.09.11 18:00

    背負えるものは背負いたい ──家族というキーワードで、若干話が変わるのかもしれないですけど、今までの歴代出演者で、まさに自分たちが出た年もそうだったんですが、初回から出ているUVERworldの存在。「イナズマロックフェス」の、もう一つ代表する出演者を挙げるとするならば、みんな口を揃えてUVERの名前を出すのかなと。 そうですね、そう思いますよ。歴代最多出演だし。 ──UVERが出演した初年度、当時からすごいバンドではありましたけど、どちらかといえばフックアップに近かったのか、それとも西川さんが掲げた旗に「俺らも実はあの辺の出身で」みたいなシンパシーで集まってこられたのか、どちらですか? あの… <a class="more-link" href="https://bezzy.jp/2022/09/8236/"></a>

    #T.M.Revolution#イナズマロック フェス 2022#インタビュー#西川貴教

  • イナズマロック フェス 2022 特集 西川貴教ロングインタビュー【前編】──イナズマの進化がもたらした変化、滋賀に築き上げたもの

    第1回 2022.09.10 18:00

    組み合わせに振り回されないイベントを ──回収のしかたがとても上手だし、西川さんがトリのアーティストというより座長であって、血の通った関係性を最初から表に出していったところが、こちらが楽しめる要素として大きなポイントかと思いまして。 大都市圏のフェスはきちんとメディアもついてくるので、そのフォローがあって当日のニュースになったりするんですけど。今はフォローしていただくことも多くなってきたんですが、最初は関西とも東海とも違う“狭間”だったので、どこのエリアからもフォローされなかった。やってるらしいけど全容がわからない、アクセスも決していいわけではないとあって。人を集めること自体が大都市圏の20倍… <a class="more-link" href="https://bezzy.jp/2022/09/8233/"></a>

    #T.M.Revolution#イナズマロック フェス 2022#インタビュー#西川貴教

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram

COLUMN & SPECIAL連載&特集

ALL SERIES

RANKINGランキング

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram