芸人結成物語 by やついいちろう 第13回
ダウ90000(前編)──好き嫌いじゃなく「面白い」と確信した8人組ができるまで
2023.10.17 18:30
2023.10.17 18:30
加入して“本当の自分”を出せた道上
やつい で、次に入ったのが女性たち?
道上 私は年はおんなじなんですけど、上原と飯原が入った1年後の大学2年生のときに入って。私だけ放送学科で違う学科で。もともと日芸は演技がしたくて入ったんですけど、第一希望が映画演技のコースで、そこは落ちちゃって。親に「近いから放送でも受ければ?」で受かって。学校の中で演劇サークルとか事務所に通うとかで演技をやろうと思ってたときに、風の噂で“はりねずみのパジャマ”が面白いらしいぞって聞いたんですよ。
やつい すげえ、もはやヤング三谷幸喜だよね。再来だと。三谷さんも日芸だよね?
蓮見 そうです。クドカンさんもですね。
道上 それで事務所に入るかサークルに入るかでずっと揺れてて、事務所は1個決まったは決まったんですけど、一回“はりねずみのパジャマ”を見てみようと思って文化祭で公演を見たらめちゃくちゃ面白くて。
やつい 上原くんと飯原くんも出てたんだ。いなくなった子たちも?
蓮見 もういないですね(笑)。すぐ辞めちゃったんで。
やつい え、もういないの? 1日もいないじゃん。
道上 (笑)それを見て、せっかく面白いものを作れそうな人たちがいる学校に入ったのにわざわざ外行くんだったら、他の大学でも変わんないんじゃないかって思って、事務所を蹴ったんですよ。この人たちと一緒にやってみた方がいいと思って、大学2年のときに「入りたいです!」って言って。
やつい 「入りたいです」って言ったとき蓮見くんはどんな感じだったの? 一番上でしょ?
道上 私以外にも節目節目で入りたい人がバーって来てたんですよ。
やつい そんだけ売れてたら初期メンバーは光ってるでしょ? キャンパスの食堂とかで「うわー!」みたいな。園田くんは水をガーって飲んで。
蓮見 ずっと水飲んでる(笑)。
園田 もうやってないですよ! すぐ封印したんで(笑)。
道上 園田さんをはじめて見たときは覚えてるんです。蓮見さんに似た人って。
蓮見 痩せてたんですよ。園田が全部出てて俺がずっとサボってた授業、俺だけ単位取れたんだよな。教授が間違えてて(笑)。
園田 それもだし、水のときも「蓮見くんのつまんなかった」ってなってたんですよ。
蓮見 俺、風評被害受けてたんですよ。「君、水の子だろ?」って。
道上 この2人(上原と飯原)はさすがに覚えてないですね……。
やつい まだ駆け出しだったし、別にもうひとりすごい人もいたしね。
道上 そうなんです。2トップで覚えてて。もうひとりの人は、何言ってるかわかんない、会話ができないというか。1個先、2個先のことをしゃべってる感じで。
やつい 本当の天才だ。女の子はいなかったの?
道上 いましたね。
蓮見 まだ全然少なかったですけど。
やつい ヒロイン系のやついないなとかは思った?
道上 当時はそこまで頭が回ってなくて、単純に面白い人たちについて行こうって。周りの人たちとは全然違うタイプの人間というか、どちらかというと私は上下の関係を守って「バーベキューだイエイ!」「飲み会イエイ!」って楽しむ感じの子で、こういう感じの人たちいなくて新鮮で、面白いなと思ったから、そっちにも飛び込んでみようって。
やつい パーティー系はあっちで遊んで、カルチャー系はこっちで入ってみたいな?
道上 パーティー系は1年生でもうお腹いっぱいになっちゃって。“はりねずみのパジャマ”に出会ったら視点が変わっちゃって、私もそっち側だと思って流されていきました。
やつい 嗅覚があったんだね。蓮見くんは道上さんが来たとき覚えてる?
蓮見 覚えてます。最初すごい緊張してて、誰とも喋らない子だったんですけど、打ち解けたらすごい距離が近い子だったからちょっと怖かったですね。いないタイプが入ってきちゃったんで。
やつい パーティー系だもんね。
蓮見 やべえ、どうやって扱えばいいんだって困ってたんですけど。元々おんなじタイプの子だったから、スッと馴染めたんですよね。すごい覚えてます。なんだ全然暗い子じゃんって。
道上 安心しました、頑張らなくていいんだって。
(後編へ続く)