特別対談「日比谷音楽祭が目指す音楽の新しい循環」 #1
“感動体験”を原点に、亀田誠治×小山田壮平が考える仕事を超えた音楽の魅力
2023.10.02 17:30
2023.10.02 17:30
「音楽の新しい循環をみんなでつくる、フリーでボーダーレスな音楽祭」をコンセプトに2019年からスタートした日比谷音楽祭。日比谷野音100周年イヤーとなる今年はコロナ禍を経て4年ぶりに通常開催され、ジャンルの垣根を超えたアーティストの音楽が日比谷公園のさまざまな場所で鳴り響いた。
そして11月5日には、100周年のクロージングイベント「祝・日比谷野音100周年 “CLOSING EVENT” YAON FES. ~次の100年へ。」が開催される。日比谷音楽祭とも強く結びついた同イベントを前に、実行委員長を務める亀田誠治の呼びかけで今年の日比谷音楽祭に出演したアーティスト3組との特別対談が行われた。トップバッターは亀田がその音楽性やしなやかな活動スタイルに共感するという小山田壮平。両者に日比谷音楽祭を振り返ってもらいながら、新しい音楽の循環の形や、これからアーティストや音楽業界を目指す若い世代に届けたい想いを語り合ってもらった。
心に響くパフォーマンスをしてくれる確信があった(亀田)
──どういった経緯で小山田さんに日比谷音楽祭のオファーをされたんですか?
亀田誠治 4年ぶりのリアル開催ということで、マスクも外れてお客さんも声を出せるっていう状況の中で、今まで以上に日比谷音楽祭の“親子孫3世代ボーダーレス”っていうキーワードをしっかり掘り下げようと思って、その中でどういうアーティストさんに声をかけていこうか、自分のアンテナでキャッチしたものを投入するんですけれど、以前からずっと小山田さんに出てもらいたいなっていうのはあったんです。で、その中で確か去年かな? 新たにプロジェクトを始められてますよね?
小山田壮平 ああ、「風CAMP」※ですね。
(※小山田壮平が仲間のミュージシャンに呼びかけ、2021年9月18日、秩父ミューズパークで開催を計画していたイベント。コロナウイルス感染症拡大により無観客配信ライブに変更して実施)
亀田 小山田さんのことはandymoriの時から知っていて、共通のエンジニアさんや当時の事務所の社長さんが小山田さんの才能をめちゃくちゃ自慢するんですよ(笑)。僕の中で小山田さんの音楽活動は時代が色々うねっても、自分のクリエイトしたいことをしなやかに続けて、コロナ禍の中で新たにフェスを始められてりするのを見て、「これは今年がチャンスだな」と思ったんです。進化していく日比谷音楽祭の新しい側面を見せる入り口に、キャリアがありながらしなやかに活動している小山田さんがいてくれたらどれほど心強いかと思って、もうはじめから出演ステージのイメージもあって、小音楽堂っていう森の中のステージの設定で、小山田さんがみんなの心に響くパフォーマンスをしてくれるっていう確信があったのでお誘いした次第です。
──小山田さんはいかがでしたか?
小山田 亀田さんは……僕中学の時に椎名林檎さんの「無罪モラトリアム」、あれをずっと聴いていまして、あとスピッツが大好きだから今も緊張してるんですよ。
亀田 いやいや(笑)。
小山田 だから亀田さんにお誘いいただいて本当に嬉しかったです。(日比谷音楽祭は)お祭りだし、フェスティバルっていう感じで軽やかな空気感でしたね。
亀田 そうですね。それに無料開催っていうことで基本的にお客さんも心を開いているというか、「次どんな人なんだろう?」みたいな感じで見に来てると思いますけど、小山田さんを見に来ておられる方もいらっしゃると思うので、そういった意味でアウェー感ってあまりなかったですよね?
小山田 あ、なかったです。フリーライブっていいなと思ってたのが、お祭りってお神輿担いだり見たりするのに基本的にお金取らないじゃないですか(笑)。
亀田 町内誰もが自由参加というか(笑)。
小山田 祀ってるだけというか。そんな感じがいいなと思いました。
次のページ