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「見える世界がどんどん変わるのが楽しい」真摯に芝居と向き合う斉藤里奈が想う“日々の尊さ”
2023.08.26 17:00
2023.08.26 17:00
届いてるって肌で感じられて嬉しかった
──演技を志すにあたって、いろいろ作品をご覧になったとおっしゃってましたが、斉藤さんご自身は見る側としてどういうジャンルの映画・ドラマ作品を好まれますか?
シンプルに好きだと思うのは恋愛系ですね。あとはSF系も好きです。でもお芝居を見るってなったら、ヒューマンドラマというか、人間のいろんな要素が入ってるのが好きです。あと海外の作品も見ていて。細かい芝居がふんだんに使われてるのを見て「ああ、なるほど~」ってなったりしてます。目線の使い方一つで意味が生まれるので、そういうところまでやれるようになったらいいなって思いながら、勉強として見てますね。
──いつか舞台に出ることがあれば、また感覚が変わってきそうですよね。
舞台も自分が大きく変わる経験になると思うので、いずれやらせてもらえるところがあればやりたいなと思います。
──キャリアを始められてから、映画に出演したり、ミスマガジンの受賞を含めてキャリアアップをされていますが、自分の世界がアップデートされて変わっている感覚はありますか?
見えてる世界がどんどん変わるのが楽しいって毎日思います。お芝居を始めてから、今までどれほど見落として生きてきたんだろうって感じることが増えて。外を歩いててもそうだし、人と会話しててもそうなんですけど、お芝居始めてから役を演じるために、その役が日々どういうことを考えているかとか、この時はどういう気持ちかとか、いろんな想像するようになったら、日常生活でも想像するようになったり、今まで感じ取れなかったようなことまで会話から感じられるようになりました。視野が広がりましたね。
──これから内面も外面も変化していきそうですね。
そうですね。でも、芝居を始めてから人と話すのが若干嫌になったりして。一瞬の顔の表情とか声の感じで、何かを察したり感じちゃうのが嫌になっちゃった時期もありました。
──今後こういう役をやっていきたいとか、憧れの方がいらっしゃったりしますか?
私の好きな俳優さんは吉高由里子さんと北村匠海さんなんですけど、北村さんは透明なお芝居で、見ていて違和感がなくて、すごく日常に馴染んでるけど目立つというか。そういう不思議な魅力を放った芝居をする方だなって個人的に思っています。吉高さんも表情とか目の使い方とか、声が特徴的なところもあってそれを上手く活かしている唯一無二な方なので、憧れですね。
──斉藤さんも声に特徴ありますよね。
確かに言われますね。だから声の使い方の幅とかも吉高さんを見て勉強しています。声が特徴的な人はどういう話し方をして、どういうテンポなのかとか、抑揚もチェックしてます。
──今回の映画では強めでしたね。
そうですね。強いところは強く言って。暗めに静かに話すトーンが魅力的だって言ってもらったことがあって、それを魅力的に見せるためにどうしたらいいか考えてやっていました。
──映画の公開を迎えて、舞台挨拶などで映画を見られた方の生の反応を実際に目にされていかがでしたか?
こんなところで笑いが起きるんだとか、反応を生で見れてすごく面白かったです。私たちは撮影している時の思い出があるので「このシーン、面白かったな〜」っていう意味も込めて笑ったりして見てたんですけど、そうじゃない初見の人がどこで笑ったり、どこで「おおー」ってなったりするのかなって気になりました。この映画は笑えなかったら失敗だと思うので(笑)見てる方がすごく笑ってくれて安心しましたし、届いてるなって肌で感じられて嬉しかったです。
──今回が初めてだった長編映画、これからもっとやっていきたい夢が膨らみましたか?
膨らみましたし、たくさんの人が見てるっていうのを実際に体験して、改めて作品づくりっていいなって感じました。今までは自分が出る、自分の仕事としてやるっていう方に目が行ってて、「どれに出たいな」とか「あれやりたい」とか自分中心で目指してたんですけど、この作品からは作品として自分が出てるものが世に出ることの尊さを実感しました。それで見てる人のマインドがちょっとでも変わるっていうのが、すごいことだなって思いました。
──そういえば、(同じ現場にいた)瑚々さんがさっき「里奈と一緒に帰る」とおっしゃってましたが、名前で呼び合う関係なんだって(笑)。
瑚々が一番年下なので、私たちはメンバーで一番年齢が離れてるんですけど、一番仲良しで。みんなで集まったりする帰りはいつもご飯一緒に食べたりとか。
──プライベートだと6人の中だと斉藤さんはどういうポジション?
リーダーって感じはそんなになく……一歩引いてる感もあるんですけど、わざと引いてるというより、素がそういう人間なので(笑)。みんなが楽しそうにしてるところに、たまに入って楽しくっていう感じですね。
──今日お話しして論理的な思考と言われたり落ち着いているって言われるのもすごく納得してしまったのですが、実はすごくテンション上がってるみたいなことってあったりするんですか?
全然あります! それが表に出ないタイプってだけで、心の中での感情の機微がたくさんあるので。だからディズニーとかめっちゃ好きですし(笑)食べ物食べるのがすごい好きなので、美味しそうなものを目にしたときは一番テンション上がってますね。
──このインタビュー中、“尊い”っていうワードを何度かおっしゃっていて、斉藤さんにとって一つのキーワードなのかなと思ったのですが、今、一番“尊い”と思うものはなんですか?
餃子とビールが大好きなんですけど、9月に大事な撮影があって、今ダイエットと禁酒期間中なんです。だから、今一番目の前に出されて尊くなるのは餃子とビールですね(笑)。